茶室の話23 おわりに
昔は茶室を作る場合,多くは庭の中に独立して何物にも煩わされることはなく,前人の優秀作を写していればよかったが,今はそうではない.
庭中に独立した好条件は少なく,居室の一隅に炉を切って茶室に兼用したり,ビルディングの中に他の室と競合しながら不利な条件のもとに茶室をでっち上げたねばならぬことが多い.
昔と違い、大金持ちばかりがお茶をやるわけではないからなぁ。
ま、逆に言うと、普通の建築物の基準で作ればいいのだ、とも言える。
基本的に茶室と言うのは、茶人が自由かつ無知な発想で指図するのを、大工が苦労して形にするものだ。
でも住居やビルの一室をそういう風には作れない。
建築家の優位がそこにはあるはずだ。多分。
建築家がタッチしても自由な条件で作る最良の茶室の手本はあるが,制限された条件のもとで作る次善の茶室の手本が無い.
今,われわれの欲しいのは,あらゆる場合の次善の平面の多くの予備軍である.
最後の最後で著者は自分の発見にこだわってしまった感じがする。
本当に必要なのは、ある程度お茶が判っていて考えることのできる建築家であって、平面構成のパターン会得した素人じゃ無理じゃないかなー。
床柱だの天井だのうるさいこともっと一杯あると思うし。