野点籠用小棗

普通の棗を外に持ち出した事がある。棗の蓋の裏まで抹茶まみれ、開けると飛び散りめちゃめちゃな事になった。だから野点籠に入れる小棗は中蓋付きでないと使い物にならない。

ところが中蓋付中棗というと800円の味気無い奴しか手に入らない。良くて蒔絵プリントが付く程度。あんまりなので乾漆で自作した。


まず800円の小棗の内側をシリコンで型取りし雄型を作る。

型に麻布を麦漆*1を塗ったものを巻く。きっちりきれいに巻くかどうかが仕上りに影響する。乾燥しては巻き、を繰り返し積層する。

型を外し、さび漆*2で底の形と下地を作り、砥石で研いで、黒呂色漆で塗って、上研ぎして摺漆すればでできあがり。とか簡単に書いたけど、想像以上に大変でした。でもノウハウできたぜ。


今回は雄型を使ったので、内径は800円の小棗と同じ。当然中蓋が流用できる。便利だ。


結構いびつでざらざらでこぼこ、蓋の合いも悪いが、まぁ侘びてる、の一言で解決した事にしておこう。
800円の奴よりモノとしていいか、という点は「いやぁ、乾漆で作ったんです、自分で」といえるインパクト重視として心の方で処理する。

横にある袋は、仕覆代わり。安いコブクサを解いて巾着に縫い直したもの。いいかげん。

*1:水溶き小麦粉と漆を混ぜた接着剤

*2:水練り砥粉と漆を混ぜたペースト