2012-02-01から1ヶ月間の記事一覧

3月の展覧会

今月気になるのは松本市立博物館かな。 行く機会多分ないけど。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 -4/8 茶会への招待 三井家の茶道具 畠山記念館 -3/18 畠山即翁の茶会 光悦雪峯茶碗を中心に 根津美術館 -4/8 虎屋のお雛様 花月の茶 Discovery Mu…

へそ茶13 火攻めの茶會

若井兼三郎翁根岸御隠田に別宅の出來上りたる秋の末つ方、當時隣家なりし益田無爲庵の別荘より上野の山に掛けて、紅葉の見事なるを御馳走にせんとするが、 若井兼三郎は明治の道具商。道具商というと単なる骨董屋みたいだが、そういう域ではなく、むしろ海外…

源喜堂書店古書目録二十一号

年イチくらいの楽しみ、源喜堂書店古書目録二十一号が出た。古書目録と言っても、楽しいのは掛軸や短冊にめくり。今回は遠州関係が多い気がしなくもない。 手頃だが怪しい品もあって楽しめる。例えば「仙涯義梵書幅」2万3千円。 字だけのセンガイかー。微妙…

へそ茶12 唐紙障子

江戸千家川上不白の流れを汲む川上宗壽なる宗匠ありけり、 (中略) 或る時、其出入先にて、根岸の里に住ひける某華族の新席開き茶事に招がれ、時刻より早めに參着せしに、其餘りに早過ぎたる爲か、待合の入口も開き居ざれば、頓て玄關より取次を乞ふて、川上…

へそ茶11 交趾と高知

故杉本尚徳氏世に時めきし頃、或る人の茶會に交趾臺牛の香合出でゝ一座の賞翫大方ならず、杉本氏は交趾と聞き、扨は土佐の高知にて製造されたる陶器ならんと思ひ、止せば好いのに、先刻御承知の如き面持にて、自身が嘗て高知に赴きたる時、同地の窯元を訪ひ…

へそ茶10 十能自慢

故大住清白は石州流を學び、根岸の里に住して衒氣多き茶人なりしが、或る時濃茶手前中、過つて釜の蓋を爐中に落としければ、一座驚きて手に汗を握りけるに、主人は泰然として驚かず、頓て水屋より同形なる換蓋を持出したる其蓋を見れば誂ひ向に釜に取合ひた…

へそ茶9 主客双惡

明治十二三年頃關蘆雄と云へる茶人あり、 江戸千家川上不白の別號孤峰の號を讓り受けて、大宗匠然と構へ居るを、人々面憎しとて何か一本參らせんと待ち構へ居りしに、或る時伊藤雋吉男を始め其他當時の茶人數名を招待せし其中に一人面識なきものあり、 関芦…

へそ茶8 裸體で茶の湯

藤谷宗中宗匠は加賀の人なり、 (中略) 其名未だ世に知られざるが爲め、門に來る者は誰彼となく教授せし中に、俄富限の出來星紳士あり、 (中略) 酷暑中來りて例の如く稽古を始めけるが、元來肥滿したる人物なれば苦熱に堪へず、時に宗匠本日は別に相弟子も居…

へそ茶7 盗まれたし

鑑定について。 茶人の道具を買入るゝに人に依り樣々の癖あり、 道具屋と差向ひて直覺的に面白しと思へば其時勝負、即座に買入るゝ者は道具屋に取りて上々の客なり、 自身に決斷し兼て、豫て師匠番に相談の上、取捨を決するは其次なり、 念には念を入れて出…

へそ茶6 獨りよがり

茶事の趣向は奇抜なるも良し、優美なのも好し、洒落たるも宜しけれど、主人が獨りよがりにて容易に心の讀め兼ねるを其趣向の鍵を捜り當てゝ、然も其思ふ壷に嵌らんとするは、客に取りて中々の難事と言はざるを得ず、 茶事の趣向はいろいろあっていいけど、亭…

へそ茶5 二人は御免

昨日に続き相客の話。 茶會には相客の選定こそ専要なれ、正客窮窟の人なれば、次客三客に洒落の人を交へて一座の調和を取らしむるなど、其組合せは毎度茶人の苦心する所なり、 茶会が成功するかどうかは客組み次第なので、客組は座が盛り上がる様に組みなさ…

へそ茶4 茶室の被告

馬越翁は茶室以外にては磊落不羈の快男子なれども、一旦茶席に入る時は謹直寡黙なる全く別人の如く、其言葉の節々も改まりて人より物を問はるれば、ハツハツと平伏して手をモヂ/\しながら低聲に返答し、殆んど相手の顔を見上ぐる能はざるが如きの所作あり…

へそ茶3 茶杓の當推量

古筆了仲老は自ら茶杓鑑定の大家を以て任じ居れども、百發一中位の割合にして滅多に的中したることなし、 其的中せざる時は樣々の抗議を申し出で、是れは古人の見誤りならん、夫れは茶杓と筒の入れ違ひたるなあんなど、自説を取つて容易に降服せざる流儀なる…

へそ茶2 自賣自讃

まずタイトル。自賣自讃は自画自賛のもじりだろうが、自画自賛が悪い意味で使われる様になったのはいつごろだろう?という疑問が。 茶道具屋の最も心配なるは、自ら賣りたる茶器の臨席したる茶會に出づる事なり、相客が何と其茶器を評すべきや、幸にして結構…

へそ茶

高橋箒庵/箒文社/1915年。但し私の持っているのは1987年の復刻版。「桜井宗梅先生の還暦を祝う会」発行の復刻非売品。 桜井宗梅は箒庵の娘さん。1987年還暦って事は、1927年生まれ。って事は箒庵66才の時の娘さんか。 山下和美の“数寄です!”に出てた人だと…

茶碗を育てる

昔買って、あまり使ってあげてなかった唐津を「育て」はじめた。単に毎日使っているだけだけど。 でも、なんか「育たない」なぁ。 釉薬がほぼ全面に掛かっているので、あまり変化とかしなそうな気がする。 …。 茶碗を育てるって、何だろう?茶渋を付ける事?…

ぐるっとパス2012

ぐるっとパス2012が発表された。http://www.rekibun.or.jp/press/pdf/120209_press.pdf 茶の湯的な意味で、2011年との違いは「戸栗美術館が追加になりました」これだけか。戸栗じゃなあ。趣味が合わねーんだよな。という事で、全然メリットねー。 今年も残念…

江岑夏書6 二露

一 路地ニ水打事、客待うけ前、水打申候、 客來て、水打候事惡敷候、 扨、小座敷へ入、膳上候前ニ水打候、 当時の千家では、客が来る前と、客が席入りして懐石が出る頃の二露だった様だ。 我々が親しんでいる三露とは全然違う感じになる。整理するとこんな感…

江岑夏書5 濃度

割と有名な奴。 一 こい茶立候時、左之手をそへ申事惡敷候、 右ニ而茶洗持てふり申候、旦も手ハ御そへなく候、 臺天目之時ハ手をそへ申し候、 濃茶を点てる時、左手を添えるのはよろしくない。 右に茶筅を持って振る時、宗旦も左手は添えなかった。 台天目だ…

江岑夏書4 道具と趣向

一 口切ニ道具出、其まゝ其冬中出、扨、明ル正月朔日ニ道具替申候、 扨、三月初ニ風炉へ上ケ替候、惣而、道具一色成共替候へハ大方皆替申候、 道具取あり惡敷成候ゆへニ候、茶之湯ハ道具之取合かん用に候、 口切に道具出し、そのまま冬中出し、元旦に道具を…

江岑夏書3 置き合わせ

一 水指置合の事、いろりノ時ハ、いろりとのよき此ニ置候、 又、風炉ノ時ハ、ふろの方へよき此置合申候、左ハすてニ、 水指の置合、囲炉裏の時はいい感じの場所に置きなさい。 風炉の時も、いい感じの場所に置きなさい。左は捨てなさい。 …。現代の感覚で言…

江岑夏書2 四方釜

四方釜之事、少望ニ而易へ被申、紙形切候て、旦へ則、渡被申候 (中略) 少、氣に不入候て、九ツとやらんいさせ候、一ツ/\あしきとて、たい所ニ而うちわらせ候、 (中略) たゞいま宗佐ニ在之釜、八ツめノかま也、 七ツめのかまは山しな宗甫在之候、 九ツめノ…

江岑夏書

江岑夏書は表千家江岑宗佐の覚え書き。表千家伝来なので、一応史料としては一級の筈。 寛文2年からの記載という事になっている。息子随流斎へ宛てたものらしいのだが、千家の家元に伝えるマニュアルにしてはあまりにそっけない様な気がする。 この書の有名な…

茶室風

この前の茶室リスト。もちろんインターネットで調べたものである。んで、その調査の中でいろいろ見つかったのが「茶室風露天風呂」である。 例えばこんなの:http://www.sakadojo.com/modules/contents1/content/index.php?id=2 http://www.chouseikan.co.jp…

昔、九谷に行った時のこと

結構昔のこと。金沢に年イチくらいで遊びに行っていた。目的は新竪町のフェルメール。そこの歪んだイギリスのガラス達。まだ茶をやるなんて想像もしなかった頃だが、まぁ今思うと茶人趣味だわね。…つーか、フェルメールのガラス器は薄く美しくを願うガラス骨…

九谷焼 吉田屋

加賀藩の支藩、大聖寺藩。昨日のリストにある長流亭は、この藩の藩主休息所である。そして大聖寺藩の領地に、九谷はある。 九谷焼の吉田屋は、大聖寺藩の支援の元、古九谷の再興を試みた。 文政の近辺では前田利以などの茶人大名を生み出した大聖寺藩。加賀…

現存茶室

現存茶室をリストアップしてみた。条件は江戸時代中期以前の建築であって明治以降の再建でなく、ある程度遺構が残っているもの。そしてそれなりに見所のありそうなもの。あと京都以外。京都は多過ぎるし。 都道府県 茶室名 作者 現所在 移築元 見学 北海道 …

2月の展覧会

今月のラインナップだと…地味にDiscovery Museumが良さそうかな? 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 2/8-4/8 茶会への招待 三井家の茶道具 畠山記念館 -3/18 畠山即翁の茶会 光悦雪峯茶碗を中心に 根津美術館 -2/12 百椿図 椿をめぐる文雅の世界 …

槐記23 唐物

享保十九年七月八日: 或人ノ申セシハ、凡ソ今ノ世ニ、茶入ニ唐物々々ト申スハ、皆藤四郎ナリ、 定メテ唐ノ土ニテ、唐物ニ寫シテ作リタルナルベシ、 唐ヨリ傳來シタル物ニテハナシト承ハル、左ニテ候ヤト伺ウ、去レバトヨ、是レ古來ノ定説ニテ、左申スコトナ…