2014-10-01から1ヶ月間の記事一覧

茶事談2 本朝茶祖珠光傳1 珠光爆誕

本書には珠光の伝記が載っている。 …というか、それがこの本のメインテーマというか。すっごく長いので注釈除き、何日かにわけて引用する。まずはその誕生から。 往昔和州南都中ノ御門ト言所ニ村田木工市検校ト言者アリ 珠光の父は村田杢市検校と言われるが…

茶事談

南秀女/皇都書林/1760年。江戸中期の茶書。 著者に関しては不詳。 和漢茶之濫觴夫茶道ハ隠君子ノ玩弄ニシテ風雅礼式ヲ専トス 中華ニテハ初ハ南邦ノ人ノミ茶ヲ飲事ヲ知テ北國ノ人ハコレヲ知ズ 呉ノ孫皓韋昭ニ茶ヲ輿テ酒ニ代シメ 又謝安陸納乃家ニ詣リシ時茶菓…

科学と実践

昨日の記事の件だけど…。 長時間の正座に耐え得る軽い体重。蓋置を取る時、あるいは右手で左脇の帛紗を取る時、邪魔にならない平たいおなか。 そういう物を科学的ダイエットで手に入れていない俺が四の五の言う事じゃなかったわ。サーセンでした。

科学的トレーニング

「肉体改造」。スポーツ新聞によく躍る見出し。でもこの言葉が私は嫌いである。だって、スポーツ選手が、自分の競技に特化するために筋トレをするなんて、やって当然な事に、名前を付けて騒ぎたてるなんておかしいじゃないか。 それはさておき。茶の湯も科学…

11月の展覧会

全国で展示が多過ぎてめまいがしそう。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 -11/24 東山御物の美 出光美術館 -12/21 仁清・乾山と京の工芸 畠山記念館 -12/14 大名茶人 松平不昧の数寄 根津美術館 -11/3 名画を切り名器を継ぐ 五島美術館 -12/7 存…

千宗旦古流伝書14 四畳半切濃茶点前

この流派の炉の濃茶の点て方なのだが、茶を練って出すトコまでごく普通。 茶巾取出シ其侭水指ノ蓋上ニ戻シ ただ、茶碗を拭いた茶巾を、そのまま水指の蓋上に戻す、というのが珍しい。んで、茶を出すトコですが 茶ノ点チヲ改メ鉤畳乃処ニ居直り法ノ処エ出シ進…

千宗旦古流伝書13 薄茶点前所望

水指置両器置建水柄杓帛紗図ノ処ニ置キ所望す 客帛紗ヲ借用セントスル時ハ御帛紗借用ト云腰ニ納メ建水運フ 又所持の服紗ヲ用エル時ハ亭主の服紗ハ図ノ処ニ置替建水運ヒ夫レヨリ如常 点仕舞ハ建水之処ニテ持下リ服紗モ元ノ如ク置キ無調法ノ挨拶ス 主人詰ノ席…

千宗旦古流伝書12 流し点

流し点の手順などはごっくごくふつー。だが気になったのはこの一文。 此点前ハ充分客エ茶ヲ出シ客帰ラレントスル時尚一服点テル時ノ格 濃茶やってお薄やって、でも話が尽きない時に客の方向いてお茶を点てる。確かに理に適っている。いきなり流し点しちゃう…

千宗旦古流伝書11 拝見

拝見の挨拶の例が本書には長々載せられている。一部抜粋する。 正客 御面倒ヲ掛マシタ此御茶入ハ何レノ御焼デ御坐リマス 主人 一向主人モ心得マセンカ御鑑定ハ如何テ御坐リマシヨウ 正客 私共モ分リ兼マスカ 主人 或人ハ高取ニハアルマイカノ様ニ申居ラレマ…

千宗旦古流伝書10 灰型

灰山の上置灰器中ノ灰ヲ匕ノ背ニテ押ヘ匕ノ先ニテ極ヾ少シツツ端ニ取リ即チ笹波ノ如ク取山ノ上掛ルベシ 取りあえずやり方は普通。でも灰形はちょっと面白い。遠山にしては沢山ピークが有るし、壁面からかなり離れたトコにピークがある。ちょっと複雑過ぎる気…

千宗旦古流伝書9 本風炉の拭ひ様

一ヨリ四マデ棗拭フ如キ折リ方五ニテ一ツ廣ケ 隅ノ方手ノ平ニ掃ク様ニ持ツへし 六ヨリ左ニ持替 同上隅処手ノ平ニ着ク七ニテ右ニ持替棗拭フ折方ニテ小板左ヨリ右エ二ノ字ニ拭ク 右側ハ上ヨリ回リ三度左側ニ下ヨリ回リ二度 「棗拭く」で判るが、この流派は風炉…

千宗旦古流伝書8 獨楽中來客ノ事

一 主人獨楽中ニ客ノ來リタル時ハ「唯今獨楽ヲ致居マス取直マス坐シ取敢ス一服差上マス」ト述へ茶ヲ点テ進スメ道具ヲ引入中ナレハ取直シ進セルハ勿論ナリ 一人でお茶を楽しんでいる所に来客があった時は「今自分用にお茶点ててただけなんで、一辺片付けます…

千宗旦古流伝書7 点前中ニ席入之事

点前の最中に客が来た場合のやり方。 一 ニジリ口ニテ其ママ御坐リマス 主人御通リト答 客席ニ入リ床前ニ礼シ遠見シ詰ノ坐ニ着ク 先客ニ對シ挨拶ス 主人ハ此時茶ヲ点テ客ノ方エ振向キ茶碗ヲ法ノ所ヘ出シ而シテ後入ノ客ニ向ヒ挨拶ス 又茶点仕舞ノ時ハ水指引入…

千宗旦古流伝書6 女点前

本書には「千宗旦古流」の薄茶女点前についてまとめた章がある。 一 帛紗ノ腰ニハサミ様及ヒ抜取様図ノ如シ 一 茶巾ヲ持チナガラ両手ニテ茶碗ヲ取上ケ其茶碗下ス時モ両手ナリ 一 茶ヲ点テ其茶碗右ニテ右ノ膝頭脇エ仮置シ体客ノ方エ向キ通リ 両手ニテ客前ニ出…

千宗旦古流伝書5 客作法

浄水ニテ手ヲ洗ヒ口ヲスゝギ水杓元ノ如ク左向キ横ニ置キ席ニ入リ から始まる客作法。一貫してる。これも割と普通の客作法、しかも薄茶部分限定なんだけど: 主人茶点前トナル「ヲカマイナク」ノ挨拶アリタル時花及花器ヲホメル 莨ヲ用イントスル時ハ「御点前…

千宗旦古流伝書4 小板本飾薄茶点前

この流派の薄茶点前。 一 先ツ第一ニ手ヲ奇麗ニ洗ヒ清メ水指持出 冒頭に「手を洗えよ」と言っているのが好感が持てる。 後はごくごく普通に、本当にごく普通に点前が進むのだが。 茶碗前ニ引帛紗ノ先ヲ右ニテ下方エ折リ左ノ大指ト人指トヲ上ニ出シ置 右ニテ…

千宗旦古流伝書3 茶巾の扱い

さて、茶巾の畳み方。二つ折り二つ折りに細くし、二つ折り二つ折りに短くする。 これも表千家と同じである。…三折りに細くして三折りに短くする裏千家が特殊なだけな気もするが。 茶巾で釜の蓋を取る取り方の図解が珍しい。服紗にはこういう図解がないので、…

千宗旦古流伝書2 ふくさの扱い

最初は割稽古的な部分。ふくさのさばき方である。 左ふくさを右手下げて左手で握り込む。ふつーに表千家式と思われるが、茶杓の拭き方が割と珍しい。 普通は内側に折り込む三角形を、折り込まないまま拭きあげる。…これ、べろんべろんしないだろうか? 自分…

千宗旦古流伝書

手元にある割と謎の伝書。 そんな古いものではなさそう。冒頭の「古流真台子伝授系統」より。 千宗易→千宗淳→千宗旦→自笑→至道→┌歓喜心院宮 ┼祖国 └芳川盛政→┬無上々院宮 └芳川盛兼→┬田珠 田禅 ├廬蓬 ├順道 ├数政峯→織田大信→ ├真空 ├国府谷盛義 倉田起身 └…

茶道筌蹄11 総括

復帰しました。茶道筌蹄を総括していなかったので、まずそちらから。 茶道筌蹄の五巻は茶碗、茶杓、建水、茶会道具に楽家歴代…と続く。茶道筌蹄の大半は、道具名の列記と簡単な説明、誰の好みか。こればっかりである。茶道書というより、ハンドブックの様な…

10月の展覧会

秋本番。 日本海側を辿って九州まで行って、瀬戸内太平洋側を辿って戻って来たい感じの豊富な展示ですね。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 10/4-11/24 東山御物の美 畠山記念館 10/5-12/14 大名茶人 松平不昧の数寄 根津美術館 -11/3 名画を切…

お知らせ

更新一週間程お休みします。

茶道筌蹄10 薄茶器

そして茶道筌蹄の四巻も茶入やら棗やら裂地やらの羅列。 棗當時は紹鴎形を冩す 其故は元伯より江岑へ紹鴎の墨書にて底に判ある大ナツメへ茶を入れて譲る 後に江岑朱漆にてとめる 今一つを元伯蓋の裏に判を書き仙叟へ譲られし故なり 江岑所持は如心斎三井へ譲…

茶道筌蹄9 竹

実は茶道筌蹄の三巻はひたすら「道具の名前連呼」になっていていまいち挙げる所がなかったり。ただ、以下のエピソードはどうか。 一重太閤小田原城を攻られしとき居士供奉し陣中に有ること久し 或時伊豆韮山城内に大竹あるを聞き矢文を以て其守将北条美濃守…

茶道筌蹄8 真壷

茶道筌蹄三より。 真壷呂宋 むかしは是非真壷へ茶を貯へしなり 夫故壷なきものは口切の茶湯をなさざりしとなり 尤呂宋を上品とす 「昔は必ず真壷に茶を貯蔵していました」という記述は、江戸時代末期にはそういう風習が廃れていたことをしめす。 たぶん、現…