2015-10-01から1ヶ月間の記事一覧
ここは静嘉堂文庫美術館のリニューアルっぷりが確認したい所。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 11/14-1/23 三井の伝世の至宝 畠山記念館 -12/13 桃山茶陶と「織部好み」 根津美術館 -11/3 根津青山の至宝 静嘉堂文庫美術館 -12/23 金銀の系譜 …
利休蟄居の様子。 天正十九年辛卯正月十三日ニ在所界ヘ蟄居シ閉門不審庵ヲ出ル時ニ當テ小棗一ツト茶半袋ヲ左右ノ手ニ握リ袖中ニ納テ乗物ニ乗ント欲スルノ時家僕ヲメ硯紙ヲ請テ書ス 利休メハトカク果報ノ者ソカシ カンシャウセウニナルト思ヘバ」 ト堅紙ニ記…
居士ガ子息ヲ宗淳少庵ト云ヒ我家ノ箕裘ヲ恥ル事ナシ 一時京師ニ出テ試ルニ花洛ノ美我ガ道ノ好事其多メ且ヨシ ってことで少庵の話。少庵が京に上った理由は判らない。 おそらく道安との関係だと思うが、憶測に過ぎない。宗偏の語る少庵は、自分へのチャレンジ…
要録の付録、利休伝。まずは紹鴎の話。 (略) 其比其所ニ大黒庵一閑紹鴎ト云人アリ 茶道ニ巧ニメ雄逸比倫ナク其名天下ニ周シ世人擧フテ彼ガ門徒トメ茶流ヲ汲ミ其意味ヲ不甘ト云者ナシ 利休其高弟也然モ(略)其英達ノ性抜群ノ器タリ 利休は紹鴎の愛弟子、という…
要録もこれで最後。 第二十一 諸道具見物之事主點茶ヲ勤テ釜ニ水ヲ指シ水壺ノ蓋ヲスル時茶盛ヲ可請 茶入の拝見を乞うタイミングは水指の蓋を閉めたとき。 現代と一緒で安心する。 見ヤウ茶入ノ際ヘ寄リ先ヅ主ノ出シタル表ヲ能ク見覺ヘ両臂ヲ疊ニ付ケ右手ニテ…
一 薄茶可喫心得之事 というわけで薄茶の心得。というか、所望の仕方。 濃茶ノ跡ヲ先ヅ仕廻給ヘト云フ事不可有之 主ヨリ先ヅ仕廻ベキトノ斷アリ 古織公朝ヨリ晝夜咄ト茶ノ湯ノ約束有テ無隙故濃茶ノ跡火ヲモ不直薄茶ヲ點タリ是ヲ例スベカラズ 然レ共主ノ隙入…
茶ノ迹ニ湯所望之事茶之濃薄ハ其善惡ニ依テ如此 侘人ハ薄茶ヲ以テ茶ノ湯ヲスル事ナリ 第一ニ水ノ吟味ヲスベシ (略) 本朝ニモ秀逸タル名水多シ 是ヲ吟味メ可用 故ニ茶道ノ篤實ヲ感美ノ其水ノ抽ンデタルヲ試シ 為ニ湯ヲ請フ事アリ 如形茶ノ風味ノ好ヲ感ジ水モ…
濃茶ヲ點メ主出シタラバ衆中ヘ一禮シ次ニ亭主ヘモ一禮有テ少シ手早ク喫ベシサメザル為也 (略) この辺は今と違わない。逆に言えば濃茶が冷めちゃう!という心配は、300年経っても解消されていないわけだが。 茶ヲ請取テ色ヲ見深ク謹デ可戴 呑其口ノ付タル所ヲ…
後ノ座入先ヅ花入ニ心付ベシ 利休ヨリ以來古匠ノ作竹ノ花入多シ 故ニ第一花入ヲ可見 (略) 席入したら花入を注目しろ。花ではなく、花入である事に注目。 利休死後100年の間に、茶人の花入ビジネスが成立していたことに注意。 次ニ花ノ入タルト不入トヲ可見知…
第十六 中立之事菓子ヲ食ヒ終テ見合立ベシ (略) 各同輩ノ時ハ潜口ノ方ヨリ可出也 風爐ノ時ハ釜ノ煮音出ルヲ待聞テ立ベシ 煮音出ナバ一人ヅヽ立寄リテ炭ヲ見物シ直ニ可出 是ハ火移リヲ見ルバカリ也 中立の作法。風炉では懐石が終って炭手前してから中立なので…
茶菓子出タラバ喰散サヾルヤウニ奇麗ニ食フベシ 毎度書いている気がするが「禁則があること」=「そーゆー事をする奴が多かった」である。 扨楊枝ヲ必ズ懐中シ座中ニテ不可遣 (略) この「楊枝をつかう」は、「菓子を食うのに使う」ではないだろう。おそらく…
第十三 飯膳之事主膳ヲ持來ラバ請取テ可戴 扨膳部ノ置合ヲ能ク可見 善惡共ニ如元タルベシ 三ツアラバ三ツ 一ツカ二ツカ皆ナ其儘ニメ少モ置ヤウ違ヒナキ事肝要也 手水の時もそうだったが「亭主がどう配膳したか」を覚えておくのが凄く大事だったようだ。とい…
第十二 炭見物 附 遇所望時之事茶主釜ヲ揚タル時先ヅ炭ノ流レタルヲ可見 尤モ三人一同ニ不可見 其後下火ヲ直シ灰ヲモ仕廻タルヲ見可 次ニ一ツ置タルヲ可見折々ニ見テ吉トス (略) 炉の場合の炭手前の拝見。風炉はしない。「折々に見てよし」からすると、ワン…
第十一 入座之法之事潜口ノ戸ヲ静ニ可開 然共密ニ開ルニハ非ズ 荒クナク音ノ有ヤウニスベシ (略) 躙りの戸は静かに、しかし音のするように開けるべし。 濘(スベリ)入居返テ履ヲ潜下ノ壁ニ立掛置ベシ (略) 座中ノ法二人立事ヲ嫌フ (略) 履物の処理と、拝見の…
扇子の使い方は 扇子ハ禮義ノ一具トテ必ズ持ツ 座中ニハサヽズメ持ベシ 最モ不可遣 現代とまったく変わらない。だが、扇子自体が、現代の茶扇子とは大幅に違うものであった。 扇子ニ形アリ 長サ一尺七分ニメ まず、大きさが32センチもある。 現代の男性用茶…
第九 手水之事水門ヘ立寄リ先ヅ柄杓ノ置ヤウヲ能ク見テ同友ニモ能ク見セシムベシ 鉢ノ形ニ因テ置ヤウアリ善惡共ニ如元置ベシ是法ナリ (略) 手水についたら、まず柄杓の置きようを見て、相客にも見せて、その格好の良し悪しに関わらず亭主が置いた様に戻すこ…
宗偏の語る季節感は風炉と炉、あと花ぐらいに限られる。だが。 夏冬ノ時節ニ不限爐風爐ヲ用ユル事當流ノ事也 原則論としては、宗偏の茶の湯では、季節と炉風炉は関係がなかった。 然リト云共炎天ノ時分甚ダ涼キトテ爐ヲ用ニハ非也 とはいえ、夏にちょっと涼…
茶之湯五時之事 五時トハ朝晝菓子夜咄蹟見ヲ云リ (略) 朝茶事は略す。現代でいう暁の茶事である。 晝ト云ハ尤モ午未ノ間也 飯ノ出ル所ハ大方未ノ刻タリト云共其前ヨリ行ク事 薄茶ヲモ飲テ互ニ談ゼンガ為也 晩トハ不言メ晝ト云事茶道ノ法ナリ 昼茶事は13時ぐ…
一 數奇之事字書曰一者奇也二者偶也ト注ス 数奇の字は字書では一は奇、二は偶と注されるということで、数寄という言葉から。 数寄でなく数奇であるのが面白い。 (略) 李廣傳云太将軍陰受上誡以為李廣老數奇也母令當單于 奇数の定義は省く。 史記の李広伝に「…
凡茶之湯ノ起リト云ハ古人世事ノ忙々タルヲ避テ聖道ノ學ニ志シ人倫遠ク物静ナル山林ニ入テ容膝ノ居ヲ設ケ自己ノ心法ヲ觀ズ 茶は遊びではなく、日々の忙しさからの逃避として、市中の山居で自分さがしするとこにあるんよ。…うん、嘘ではない。 其ヨリ先家業事…
足利義政の話。 将軍家義政公ノ時文明中家督ヲ御息義義尚公ヘ譲リ東山慈照院ニ籠居有テ専ラ茶ヲ好玉フ 是皆碾茶ニ非ズト云事ナシ 此時ニ當テ茶道ノ達人多ク出來レリ 其後天龍寺ノ僧大明ヘ往テ茶器多ク持來レリ即チ天竜寺時代ト云是也 策彦謙齋是也ト云リ 従…
要録下巻。巻頭は 夫茶者南方之嘉木也トハ唐之陸羽之茶經一部ノ發言也 から始まる、茶史の蘊蓄。こっちを一巻として先に出したら、本書が「南方録」と呼ばれていたかもしれない。茶徳、茶の字の変遷などや: 煮茶ト團茶トノ差別ハ宋ノ仁宗帝ノ朝ニ蔡嚢君駁謨…
道具與道具取合之事夫レ器ト器ノ取合物好ノ肝要數奇者タルノ眼也 方ニ圓ト大ニ小ト高ニ低ト廣ニ狭各體用相應アリ 是レ道ノ元ニシテ易ニ所謂一陰一陽道ノ始ナリ 不得止ノ理也 道具の取合せは、茶人の一番大切な部分。 四角と丸を、大と小を、高と低を、広と狭…
竹ノ花入之事相州小田原陣ノ時利休始テ作ル節一ツ入テ伐リ尺八ト號シ秀吉公ヘ献ズ (略) 其時又節二ツヲ入口ヲ開テ伐リ園城寺ト號ス此筒ニヒビノ破目アル故ニ三井ノ鐘ニ託スルカ息少庵ニ與フ此制ヲ一重ト云フ 其後大竹ニテ二節二口ニメ二重ト云フ花生トメ終ニ…
其比類又多シ五徳アリ蟹アリ人形三並ビタル有リ紫銅青磁アリ夜學ト云フモ青磁ナリ 利休好ミノ陶アリ 五徳ハ輪ヲ上ニシテ爪一ツヲ前トス人形ハ(略) 今思うような蓋置は大体出尽くしている感じがする。 利休ごのみは陶器のもの…つくねだろうか?逆に言うと言及…
建水に関する記述はめずらしい。 建水其ノ品類多シ金ノ物ハ必ズ用ユ 最モ平常モ用テ吉也 (略) 金物の建水は台子に使うもの、という観念。室町の茶の湯ではそんな事は無かったのだが、江戸時代にはそうなっていた。 もしかすると皆具も成立していた可能性があ…
茶杓の歴史。 鄭恩*1ガ茶譜ヲ按ズルニ撩雲ハ茶具十六箇ノ内竹ノ茶匙也ト云リ 撩ハ取物ヲカカゲル(木+龍)ト注ス 竹ノ茶杓唐明ニ初ル 倭朝ニハ往昔象牙ヲ以上テ作ル 中国の茶書、茶譜には「撩雲」という竹の茶匙があったという。 竹の茶杓は中国が起源である…
この本から、江戸時代中初期の茶筅事情がちょっと判る。 一 茶筅*1之事圖アリ 又タ蓬莱流ト云フアリ京師畑枝ノ與太郎ト云フ者爾今在テ造ル 穗ヲ太クアラ/\トシ眞穗ヲ太クヤスラカニ外ヘハヌルト内ヲ直ニスルニ付テ眞穗少長クナル也好テ用ユ 與太郎の茶筅は…
茶巾之事照布又タ高宮曝ヲモ用ユ 長サノ定メナシ茶碗ノ大小相應ノ心得アリ露ヲ能ク取ベキ為也 (略) 末流ニ寸法ヲ定メ色糸ヲ用ユ堅ク不用 (略) 茶巾は大きさで吸水力が違うから、茶碗にあわせて作りなさい。 他流でやっているような、寸法を決めたり色糸でか…
茶盞其品彙多シ 唐茶碗・高麗・瀬戸・伊勢・内焼・イラホ等ヲ専ラ用ユ 尤モ形恰合ニ因テ好惡アリ 又タ形ニ付テ名トスルモアリ 茶碗はいろいろある。 唐物、高麗、瀬戸、伊勢、内焼、伊羅保等を主に使う。 格好によって好嫌いあり。 あと産地じゃなくて形で名…