2017-01-01から1年間の記事一覧

京都国立博物館 国宝展

行ってきました国宝展2期。もちろん目当ては「龍光院の曜変天目」。あいにくの台風の雨のおかげでやや人入りの少なかった国宝展。30分程度の待ち時間で入れました。順路は最初に3階にエレベーターで上がり、ぐるぐる降りて来るのですが、龍光院の曜変天目は1…

龍光院の曜変天目

http://www.kyohaku.go.jp/jp/special/tenrankai/kyoto-kokuhou2017.html私は今、京博に行かねば!という強迫観念にとらわれています。展示期間半月もないのか…週末2回分。人を観に行くようなものじゃろうなぁ。

ごあいさつ

2007年の6月19日。私は本ブログを書きはじめました。本日はブログ開始10周年、と言うことになります。電波の届かないとこへ旅行に行く、病気、などの抜けはありましたが、おおむね毎日更新でここまで参りました。んでですな、10年という節目を迎え、これを機…

南方録と茶の湯

南方録の覚書を読み直してみた。南方録の覚書は、通常の茶の湯の伝書の形式をとっていない。普通、茶の湯の伝書は石州百ヶ条とか織部伝書のような、箇条書きを中心としたもので、南方録の記述は枝葉が多過ぎる。でも、この枝葉があるからこそ、南方録は歴史…

南方録14

○紹鴎ワビ茶ノ湯ノ心ハ、新古今集ノ中、定家朝臣ノ哥ニ、 見ワタセハ花モ紅葉モナカリケリ 浦ノトマヤノ秋ノ夕クレ コノ哥ノ心ニテこそあれと被申しと也花紅葉ハ、即書院臺子の結構にたとへたり、 其花もみぢをつく/゛\とながめ來りて見れば、無一物ノ境界…

南方録14

野点の心得について。 ○野ガケハ就中、其土地ノイサギヨキ所ニテスベシ、 大方、松陰・河辺・芝生ナドシカルベシ、 まずは風光明媚な所を選べ、という話。でも必ずしも「風光明媚」とは言ってないわけか。「いさぎよき所」という文の解釈次第だが、「いさぎ…

南方録13

○メンツノコボシ、トヂ目ヲ前ニセヨ、引切ノ蓋置モ目ヲ前ニセヨト、宗易ハノ玉フ、又道安ハ、トヂ目モ蓋置ノ目モ客付ニセヨトナリ、イカヤウカ決定スベキカト問候 ヘバ、 易云、惣而道具ダヽミニテモ棚ニテモ、道具ヲカザリツクニモ、炭ヲツギ茶ヲ立ルニモ、…

南方録12

小座敷の話。 ○小座敷ノ料理ハ、汁一ツ、サイ二カ・三ツカ、酒モカロクニスベシ、ワビ座敷ノ料理ダテ不相應ナリ、勿論取合ノコク・ウスキコトハ茶湯同前ノ心得也、 ○小座敷ノ花入ハ竹ノ筒、籠・フクベナトヨシ、カネノ物ハ、凡四疊半ニヨシ、小座敷ニモ自然…

南方録11

○掛物ほど第一の道具ハなし、客・亭主共ニ茶の湯三昧の一心得道の物也、墨跡を第一とす、 超有名な一節である。…もしかすると現代の茶の湯をこんな風にした一節である。天正の茶の湯は、必ずしも墨跡を掛けるとは決まっていなかった。 墨跡は愛好されたが、…

南方録10

○名物のかけ物所持の輩ハ、床の心得あり、 横物にて上下つまりたらば床の天井を下げ、竪物にてあまるほどならば天井をあげてよし、 別のかけ物の時、あしき事少もいとふべからず、 秘蔵名物にさへ恰好よけれバよき也、 繪にハ右繪・左繪あり、座敷のむきによ…

南方録9

○小座敷の道具ハ、よろづ事たらぬがよし、少の損シも嫌ふ人あり、一向不心得の事也、 今やきなどのわれひヾきたるは用ひがたし、唐の茶入などやうのしかるべき道具ハ、うるしつぎしても一段用ひ來り候也、 四畳半以下の侘び茶の道具は、なんか足りない感じで…

南方録8

○曉ノ火アイトテ大事ニス、 コレ三炭ノ大秘事ナリ、 「覚書」に秘事書いちゃうのはいかがなものか。 …「覚書」書いた段階での宗啓の伝授状況はどうだったんだろう? 秘奥まで進んだ後だったんだろうか? 易ノ云、曉ノ湯相ナレバトテ、宵ヨリ湯ヲワカス人アリ…

南方録7

○或人、炉ト風爐、夏・冬茶湯ノ心持、極意ヲ承タキト宗易ニ問ワレシニ、 易コタヘニ、夏ハイカニモ涼シキヨウニ、冬ハイカニモアタヽカナルヤウニ、炭ハ湯ノワクヤウニ、茶ハ服ノヨキヤウニ、コレニテ秘事ハスミ候申サレシニ、 問人不興シテ、ソレハ誰モ合点…

南方録6

○小座敷の花ハかならず一色を一枝か二枝かろくいけたるがよし、 勿論花によりてふわ/\といけたるもよけれど、本意は景氣をのミ好む心いや也、 四疊半にも成てハ、花により二色もゆるすべしとそ、 茶の湯の花は一色、というのは当時でも当然の感覚だったと…

南方録5

○露地ノ出入ハ、客も亭主もゲタヲハクコト、紹鴎ノ定メ也 草木ノ露フカキ所往來スルユヘ、如是、互ニクツノ音、功名不功物ヲキヽシルト云ヽ、カシガマシクナキヤウニ、又サシアシスルヤウニモナクテ、ヲダヤカニ無心ナルガ巧者トシルベシ、得心ノ人ナラデ批…

南方録4

○露地ニ水うつ事、大凡に心得べからず、茶の湯の肝要、たヾこの三炭・三露にあり、 能ゝ巧者ならでハ、會ごとに思ふやうに成がたき也、 大概をいはヾ、客露地入の前一度、中立の前一度、會すミて客たゝるゝ時分一度、都合三度也、 昼、夜、三度の水、すべて…

南方録3

第3センテンスは南坊宗啓までの茶人の系譜である。 ざっくり省略して最後の所。 (略) 愚僧モ二代ノ菴主、南ノ坊ト申テ、茶修業ノミノ隱者、大笑ゝゝ、 南方録の「覚書」は、南坊宗啓が茶の湯に関し利休から学んだことを書き記し、 最終的に利休に内容確認し…

南方録2

第2センテンス。 ○宗易へ茶に參れば、必手水鉢の水を自身手桶にてはこび入らるゝほどに、子細を問候へば、易のいはく、露地にて亭主の初の所作に水を運び、脚も初の所作に手水をつかふ、これ露地・草庵の大本也、 手水鉢の心得え。利休の茶では亭主が手桶を…

南方録

何回か扱ったことのある南方録。偽書である、とか、そういったいろいろを忘れて、茶の湯の思想書として肯定的に読み直してみる。当然、覚書から。 ○宗易ある時、集雲庵にて茶湯物語ありしに、茶湯は臺子を根本とすることなれども、心の至る所は、草の小座敷…

実山の動機

南方録には、大別して三つの位置付けがある、と私は考えている。 実山が入手した真の利休茶書である。 実山かその周辺が書いた偽書である。 誰かが書いた偽書で、実山はだまされたのである。 場合分けとしてはこんなもんであろう。九州の事蹟が多いなどの理…

南方録と立花実山11

「南方録」は実山の編集あるいは著作ではないかといわれながらも、それを直接的に裏づける資料は未だ見つかっていない。 しかし実山の死より四、五十年後の福岡の茶人許斐積翠が著した「南派茶伝集」の中に次のような史料を見つけることができた。実(山)公在…

6月の展覧会

うーん、宇和島の気になる…。 東京近郊 期間 タイトル 備考 出光美術館 -6/4 茶の湯のうつわ 出光美術館 6/10-7/17 水墨の風 畠山記念館 -6/18 茶の湯の名品 根津美術館 -7/2 はじめての古美術鑑賞 五島美術館 6/24-7/30 料紙のよそおい 静嘉堂文庫美術館 6/…

南方録と立花実山10

「ふすべ茶湯」とは自然の風物を背景にして催す茶会であり、 土を掘って石を組んで炉を造り、また樹の枝に釜をつるしたり松葉や柴をくすべて湯を沸かすなど、季節によって場所によって工夫を凝らすところに妙味があるという最も野趣豊かな野点のことである。…

南方録と立花実山9

実山は主君光之の側勤めであったため、参勤にも毎回供奉しており、その回数は「梵字艸」にも記しているとおり合計三十八回を数えている。 またしばしば特別に暇をもらったり、参勤の前後に許可を得て別行動をとっている。 そのような機会を利用して書画・茶…

南方録と立花実山8

実山所持の道具に関して。 実山は宝永五(一七〇八)年六月三日綱政の命によって中老の野村太郎兵衛祐春に預けられ、鯰田に幽閉されている。 「長野日記」によれば、このとき実山は茶道具などの家財を除いて武道具のみを藩に召し上げられている。 実山が書き留…

藤田登太郎茶陶展

畠山記念館で開催中の藤田登太郎茶陶展。今年はGWでなくこの時期開催。昨年末交通会館で開催された展示の内容と、今年焼いた瀬戸黒を中心にした展示。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20161216瀬戸黒の技法に、引出黒と置黒があり、それはどう違うか、と…

南方録の会記に頻出する「ス」の一文字。これは「又」であり、「そして」程度の意味であり、一般的な風習ではない(でなきゃいろんな研究者があーでもないこーでもないといわない)が、実山の周辺では行われてきた記述法である、という。 これはおそろしいこと…

南方録と立花実山7

南方録の会記には「ス」とだけ書いた行がある。これをどう解釈するかは長年の課題だった。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20091015 福岡の南方流の中心となっている博多円覚寺の前住持で、元南方会会長を務められた龍淵環洲和尚にお会いしたことがある。…

湯木美術館 江戸時代のやきもの

「ひとめでわかる京焼300年の歴史」とのこと。楽、仁清、乾山、道八、木米。堂々たる京焼の歴史である。長次郎の五月雨。「長次郎!」としかいえない作行きだが、長次郎としてはやや低調か。空中の芋頭水指。南蛮風の荒々しさがここちよい。のんこうの割山椒…

藤田美術館 ザ・コレクション

現・藤田美術館の最後を飾るコレクション展。茶道具限定ではない。利休作二重切花入「よなが」。利休作だと思うとありがたいが、よくよく見るとそんないいものでもないような…。 古瀬戸肩衝茶入「在中庵」。箱も展示されていてうれしい。さすがの迫力。 交趾…