2012-09-01から1ヶ月間の記事一覧

絵巻切断

NHK取材班/美術公論社/1984年。切断された佐竹三十六歌仙絵巻の流転を描いたNHKの取材番組。その記録。 大正(1919年)に37分割された佐竹三十六歌仙絵巻。当時の政財界の大立者達がそれぞれの断簡を入手する。NHKが手に入れた情報は二つ。断簡のそれぞれを当…

10月の展覧会

うむ、すばらしい豊作。 特に大阪歴史博物館の三代木津宗詮と、徳川美術館はなんとかして行きたいところ。 東京近郊 期間 タイトル 備考 出光美術館 -10/21 東洋の白いやきもの 併設 仙涯 五島美術館 10/20-11/18 時代の美 奈良・平安編 畠山記念館 10/6-12/…

淡々随筆7 足るを知る

昭和16年の記事。 木の枝を自在とし谷川の水を汲み鳥の囀り野の花を友として一碗の茶を樂しむ春の野立はちやうどこれからです。 昔の人にとって、野点というのはピクニックみたいなものだったのだろうか? ウキウキしすぎだぜ。 最近では秀吉の故事にならひ…

淡々随筆6 お茶の菓子

昭和15年の記事。 お砂糖不足の今日でもなほ電話一本かければどんなお菓子でも即座に間に合はせることが出來るのは御代の有難さで御座います。 昭和17年の追記。 (附記) 此の記事を讀み直して、わずか二年足らずの間にすつかり時代が變つた事に驚きます。 昭…

淡々随筆5 手水の話

「席入りの時に、折角洗つた手で、草履を直すのは、何んだか矛盾してゐる樣に思はれますが」とこんな質問を初心の方からよくされます。 成る程考へ樣によりましては大きな矛盾です。しかし手水は唯手を洗ひ清めるだけのためではありません。 (中略) 茶の湯の…

淡々随筆4 四賓主

禪語の中に「四賓主」といつて 賓中之主主中之賓賓中の賓主中之主 といふ事があります。 (中略) 處が實際は主客合致どころか、客は亭主のアラを探し、亭主は客の穴を拾つて得意とし茶が濟んでから互ひに影々の競争をやる人が尠くありません。 客と亭主があら…

淡々随筆3 心の修養

大正12年の記事。 毎度申す事ですが、私は茶道の本旨は心の修養が第一であると思ひます。 (中略) よく月並釜に見聞する事ですが、小さい茶室に吾れ先にと入亂れ、茶さへ飲んだら用事はないと、ろく/\道具の拜見もせずに退席すると云ふ無茶人がある樣ですが…

茶筅ケースの作り方

先日のエントリでカラースター二つももらった記念。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20120920 ハサミだけで作れる茶筅ケースの作り方、の巻。まず材料。KURU×2 CASE 290円。 写真の硬めのウレタンスポンジは598円だが、これ一つで2個は作れる。硬いスポン…

淡々随筆2 守・破・離

總て修業道には守破離といふ三意が必要な事は改めて申す迄もない事ですが、中には此の順序を歩まず、直ちに破る方が多いやうです。 一體最初は習つた事を正しく守り、一寸も融通の出來ない實に几帳面極まるものですが、段々了解するに連れ、場合に依つては破…

淡々随筆

千宗室/文友堂書店/1942年。茶道全書第四篇として出版された淡々斎の随筆。 戦局押し迫った時期に出版できた理由が正直よくわからない。もちろん例によって戦争に対する言い訳は載っております。 皇紀二千六百年の輝かしい祝典が行はれようとして居ります此…

茶筅を運ぶ

茶筅を購入すると、ケースに入って売っている。でも、あのケース、茶筅の運搬に使うにはあまりよろしくない。ロック機構がないし、先端を圧迫しすぎる。こういう経験もあるし: http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20070927茶筅筒ってのもあるけど、あれ密閉…

宗旦聞書12 総括

宗旦文書は、宗旦からの聞書を誰かがまとめ、辻宗謙経由で田中仙樵に渡ったものである。仙樵はこの文書を大日本茶道学会の研修資料として配布し、自分の説の補強に使った。 でも、いったいどの辺が気に入ったのだろう? 割と凡庸な事しか書いていない気がす…

すき

昔の人は、あんまり漢字の細かい差異に気をつかわなかった。 音だけ有ってれば結構適当に漢字をあてたりする。 好きと数寄と数奇。 「すき」という音に、茶書ではこの三つの漢字をあてる。 「好き」はlikeである。「数寄」は狭義にはコレクションの事である…

宗旦聞書11 心得の事

一、当座怪我あやまちするとも少しも心にかけず其の座にて二度思ひ出すべからず 怪我は誰人もする事也され共一座のさまたげとならば心懸専要也第一不断の嗜薄き故なり 又しれぬ先の事思ひ斗らふべからず唯つかふ所に心を入れて脇へ心をちらすべからず 放心に…

宗旦聞書10 数寄と云ふに品々ある事

今度は「すき」の種類について。 一、茶呑ずき有茶たつるすき有、道具すき有、目利すき有、物このみ好有り、 作事好有、客人好有、料理ずき有、奇麗ずき有、吟味ずき有、 故実ずき有、茶の湯ずき有、此の外いろ/\有べし其の内にわがすき好む事に精が出るも…

宗旦聞書9 数寄者に品々有事

本書にはいろんな茶人がリストアップされている。 その冒頭を紹介しよう。 一、心に茶の湯有とも所作に不調法成有是を深き茶の湯者と云なり 一、所作は上手成とも心に茶の湯無き人有是を朝浅き茶の湯者といふぞ 一、結構成と見事成をあたゝかなる茶の湯と云…

宗旦聞書8 茶を弄ぶ事7

一、侘たるといふ事悪敷心得る人はじだらくなり茶の湯ちいさく成物也 わびたると云は又格別の事なり 侘茶の湯はいよ/\ならぬ物とぞ 侘びというのを間違って考える人は自堕落になり茶の湯が小さくなる物だ。 侘び茶って云うのは難しいもんなんだぞ。 一、淋…

宗旦聞書7 茶を弄ぶ事6

一、今時の世上に茶の湯秘事などいふ事を聞に古の茶の湯者其朝夕取扱たる事とも也 夫は当座むかふ所の程に依てしたる事どもなり 今の人其理はしらずして珍らしき事などゝ思ひ時ならぬにする事故耳を取りて鼻をかむることしと也 今時は茶の湯に秘事があるなど…

宗旦聞書6 茶を弄ぶ事5

一、持る道具にも其人の心さまは知らるゝ物ぞ たとへば床の懸絵文字の碩なる頌文手跡のみにくきよりも主の心拙なく見ゆる さればとて過分の物を所持せよと云にはあらず たゞ安らかに夫となしに物からのよきがよし 道具にも四色の品有第一には葉茶壷第二には…

宗旦聞書5 茶を弄ぶ事4

一、茶の湯の未熟の内は心をすまし茶の湯の仕様を工夫すべし 爰に心入らず唯料理掃除のみ精を出す故根本の茶の湯出来べき様なし 若し茶の湯合点をして余力あらば手前をもたしなみ掃除をもせよとなり ビギナーは心を入れて茶の湯全体を工夫する方がいいよ。 …

宗旦聞書4 茶を弄ぶ事3

一、年寄ての茶の湯はいよ/\物事ねばくくどくなき様に所持軽く物すくな成起居すくなき様に何事も行がゝりに手間入らざる様に物を心安くすべし まして人真似する事人に負けじとする事手にも心にも協はぬ事聊もすべからず 老てはまけるが道理なり其の法をつ…

畠山記念館 ふしぎ発見!茶道具と銘をめぐる物語

五反田から日の当たる急坂を登って畠山に着く。当然滝の汗。 しかし、なんと畠山の入口に乾いたタオルが用意されていて、汗を拭くことが出来たのだった! なんともありがたいもてなしだ。 …でもタオルを巻いたまま展示室をめぐったのはおっさん過ぎたな。 そ…

宗旦聞書3 茶を弄ぶ事2

茶の湯は何のこしやくもなく素直に向ふ所の理に叶ひたるがよし 事多く珍ら敷事を好み道理に当らぬ仕ぐさ見せたれなる目に立つ事を嫌ふ 珍敷からぬ事を自然の働きにて珍しくも思はれ心を興するを勝れたる茶道者と云となり 茶の湯は変に工夫せず素直にやんなさ…

宗旦聞書2 茶を弄ぶ事

一、夫茶を愛する事和漢とも古より最重し故に鹿苑院殿数寄の道を省略し玉ひ代々これを弄びたまひ爾来其の流を汲人多しといへども平人のたやすくもてあそぶべき事に非ざれば利休に至つて物毎に其理をすこし博く学びてつゝまやかに知り真を以て草に改むといへ…

宗旦聞書

田中仙樵、小林茶侠/1963年。非売品。前書きにこうある。 此本は元と老友辻宗謙宗匠より転写を許されたる秘書にして容易に印刷抔に附す可き性質のものに非ずと雖も毎年夏期講習会の砌正しき古法を証明する為め本書を引用して茶道の講義を為すを常とす故に会…

スネガード使用感

正座をすると足が痛む。それを防御する為のキルトのレガース。キルトだけでは厚みが足りない気がしたので、中に5mmのウェットスーツ素材を入れてみた。 お稽古でこっそり着込む。 おお、おお、最高やん。ずっと座蒲団を敷いている感じ。足の甲もあんまり痛く…

茶道客の心得5 昔の茶事

例の風習について。 飯は杓子の先で極少量一文字に付けて置きます。 実は「裏千家茶の湯」でもそうなんだけど、昭和前半の茶書には「まだ蒸れていない飯を出す」という話は載っていない。 腰掛けに待つて居る客は銅鑼が鳴りましたなれば容を正して聴き入るの…

茶道客の心得4 煙草と扇子

これまた大寄せの作法。 お點前中は、みだりに話をしてはいけません。客同志勝手な事を話し合つたりすることは、特に氣をつけねばなりません。 又、煙草盆が出てゐましても、お茶が點つ頃までは吸はない方がよろしいし、吸ふ時にも、「お點前中煙草を失禮致…

茶道客の心得3 正客と末客

この本では、大寄せや掛釜での作法に結構なスペースを割いている。 さて人數が揃ひますと「どうぞ席へお通り下さい。」といふ案内がありますから上客、お詰(末客)を定めて席に通るのです。 大寄せであれば、その場で正客が決まるのは当然だとは思う。 この席…

茶道客の心得2 茶器拝見の心得

茶會に使用される茶器類の名稱及び、それを拝見する際の見處を知つておく事も必要だと思ひますから、少し説明致します。掛物 茶席には主として墨蹟物を掛けます。筆者は禪宗の有名な和尚の書かれたもの、茶道の方で有名な茶人、各流の家元宗匠の書かれたもの…