2011-10-01から1ヶ月間の記事一覧
戸田勝久/中央公論美術出版/1969年。紹鴎大好き戸田宗安先生の武野紹鴎に関する研究書。まずは武野家の歴史。 紹鴎の祖父仲清は、甲斐の武田氏を本宗とし、為信、信清、仲清の三代、同族である若狭の守護武田氏に属してゐた。 若狭武田氏の一族であるという…
「男子厨房に入らず」という。昔、斉の宣王が、王の資質に関し孟子に質問した。 それに対する孟子の「(食材が死ぬのをみて忍びない気持ちになっちゃうのはまずいので)君子遠庖廚也」という言葉が元になっている…んだそうだ。男尊女卑的思想の発露とされてい…
包丁式、というのがある。 正装した亭主が、包丁と箸を使って、直接は触らない様にしながら魚をさばく芸である。鎌倉から室町にかけ武士の嗜みとして普及し、細川幽斎も上手だったらしい。 亭主が 様式化した手順で 調理する課程を人に見せる というのは、茶…
茶室、というものを考えるにおいて、考える要素はそんなに多くない。 小間あるいは広間 くぐり 待合 腰掛 雪隠 飾り雪隠 水屋 だが、この中に、台所が入る事はあまりない。 古書をひもといても、飾り雪隠のセッティングにエラい分量を割いている割りには、台…
近代禅僧の人名事典。一人異彩を放っているのが天田愚庵。 天田愚庵[あまたぐあん]=愚庵鉄眼[ぐあんてつげん](1854〜1904)磐城国城下に生まれる。18歳で上京、神田駿河台のニコライ神学校に入学。 翌年退学して、落合直亮に国学を学び、山岡鉄舟に禅を学ぶ…
古本屋で、見掛ける禅の本。有馬頼底や立花大亀だったりもするが、一番多いのは鈴木大拙だと思う。全集もでてるしな。 その洪嶽宗演の通訳をつとめ、講話を英訳し書物としたのが鈴木大拙(1870〜1966)であった。 鈴木大拙は、洪川宗温ついで洪嶽宗演に参禅し…
茶の湯と禅のかかわりを示す文の中に以下の記述がある。 また虚堂知愚に師事して大悟した南浦紹明は、帰朝の折に虚堂から餞別として台子と皆具一式を贈られたといわれている。 直截その証左となるものは現存しないが、その背景には日中両国での禅院における…
グラビアページにある道具。 その作者である坊主に関し、値段の相場感と、その出身を調べてみた。 藤井誠堂 茶杓 43,800 大徳寺 方谷浩明 茶杓 117,000 大徳寺 後藤瑞厳 茶杓 180,000 大徳寺 鵬雲斎の師匠 竹田益州 茶杓 40,000 建仁寺。大徳寺に住んでた事…
淡交2002年増刊号。構成はこんな感じ。 近代の禅僧ゆかりの茶道具(グラビア) 茶禅一味の濫觴 近代の禅事情 近代の禅僧略歴 まずグラビアで茶杓とか掛軸とか見せて、近代の禅僧にもこういう茶の湯道具がありますよ、とお見せしますわな。次に室町の禅僧と茶に…
とっても無くしやすい茶扇子。補充の為に購入したら、扇子の面に「利休百首」が印刷されていた。 …これ、何のためにあるのだろう? 利休百首についてお稽古中に聞かれたとき、とっさに開いて読み上げるのだろうか? カンニングIQ=ゼロって感じ?妻の扇子に…
野々田式のヒーターには「表千家」「裏千家」のバージョンが有る。つまり、両千家の炭の置き方を反映したモールドが為されたヒーターとなっている。 他の流派はどうすればいいのか良くわからないが、正直、気にしている人なんているのだろうか? 例えば、表…
巻末には、和英辞典…というか単語帳が付録に付いている。 あし ashi 足 ■ foot ⇒複数形はfeet みたいな感じで。 かがみびしゃく kagamibishaku 鏡柄杓 訳語がないものをわざわざ載せているのは「無理して訳さなくていいよ」ということなのかな?でも なつめ …
本書では、盆略点前、茶箱点前、立礼をイラスト付で解説している。 盆略点前は、もっとも基礎的で立礼にも応用の効くお点前として。茶箱点前は、旅行者に相応しいお点前として。そして立礼は、春秋棚を買ってもらいたいから。 …いやマジで立礼の解説は、春秋…
◆座る Sitting◆Keep your back straight and perpendicular to the floor. 背筋をまっすぐにのばす。Round your arms naturally. 腕は自然に曲げる。(後略) …この本には、正座の仕方が淡々と書いてあるんだけれど、これって、正座ができる人に、お茶の正座と…
この本が提示している10の質問は以下の通りである。 How long does it take to learn Tea? For what occasions do you do Tea? Can almost all Japanese do Tea? Which practitioners of Tea larger in number,male or female? What does the guest have in …
淡交社編集局/淡交社/2004年。外人さんを入門させる時の茶の湯マニュアル…なのかな?目次はこんな感じ。 外国人から多く寄せられる10の質問 Warigeiko Bonryaku-demae Chabako-demae Ryurei-style-temae Glossary 外人さんとお茶のつきあいをする上で、淡交…
礼には真・行・草がある。…のは判っている。 判らんのは立礼の時の礼の仕方だ。 亭主は立った状態で礼をすればいいが、客はそうもいかない。 腰掛けた状態での礼が必要になってしまう。 椅子に座った状態でのおじぎはただでさえカッコ悪い。しかし、これが武…
カルチャーの教室には、何種類かしか掛軸がなく、代わり映えしない。正直、飽きている。 皆が、飽きている。…けれど。 たまたま師匠が不在の時、師範代が軸の読み上げをした。 「掛物はいつもの『一期一会』です」 笑いをこらえるのに必死。顔面過緊張で痙攣…
この本には売る側として、骨董商 近善商店の竹内善次さんがゲストになっている回がある。 竹、どうもそれでなくても我々業者は贋物をお素人におつゝけて居る様に思われますので誠にお話がしにくいのですが、又私がお話したことで、業者−註、同業者とい云う意…
志野茶碗について。 筆、(中略) あの荒川豊蔵君が今日では志野焼の家元みたいに、無形文化財に指定されましたね。 贋物を作っていて文化財もどうかと思いますがね。 主、荒川のものは今日では随分高いのですよ、本物とたいしてかわりません。 荒川豊蔵につい…
歴史有る八百善さんちはそれなりに道具持ちだった。 で、道具屋さんにねだられたり、数寄者に(勝手に)持ってかれたりしたらしい。 この炉縁は私のお茶の先生の石塚宗通と云う人が愛玩して居つたもので、石塚さんの手に入る前五六十年も経て居るのでしょう。 …
八百善の主人は掛軸の表装に一家言ある方だったとか。 筆、掛物に使う布(きれ)のお話に入りましょう。主、これが我々の一番苦労する処ですね。古いものに古い布と云うことになりますが、大体掛物に使う布は掛物に使つてあつた布が一番よろしいのです。 布の…
私の目から鱗の落ちた話。 今日やたらに鎌倉時代の芦屋釜だとかと騒ぎますが、鎌倉時代の釜ならばとつくに底がぬけています。 底の抜けた釜は大概屋外に捨てられて了います。 その底を入替て大切に使う様になつたのは茶道が勃興してからのことですから、三百…
正直意外だったのだが、八百善主人のお茶道具に関する見識。 貫之(八六八−九四六)、道風(八九四−九四六)と申す頃に今日の高野切とか、本阿彌切等を書いたとは思えませんね。 …言いにくい事をずばり言うなぁ。多分、この本の出た頃は死に絶えていたとは思うが…
八百善に対する、鈍翁の注文。 又こんな御注文もありました。 向附にまぐろのとろが欲しいと云うのです。 トロを向附というのは「そりゃどうよ?」という感じもするが、当時としては斬新な食材だったのかもしれない。 この当時のまぐろは小売しているもので…
八百善は(ほとんど滅びた)江戸懐石の名店。 筆、只今お話の料理屋が今日では殆ど没落して了いましたね。 一つには関東の大震災とか又戦災などもありましたが。主、全くです。勿論種々の原因もありましたが、江戸料理そのものが今日は全くみかけられなくなり…
江守奈比古/海南書房/1964年。江戸懐石の八百善のじいさんに、江守奈比古が昔語りを聞いた本。 多分なんかの雑誌の連載なのだと思う。聞書、即ちインタビュー型式なので、若干江守奈比古の誘導尋問的な部分もなくもないが、八百善の博識には舌を巻く。が途中…
人はどこから来てどこへ行くのだろうか?おのれの器量でどこへなと行きなよ、と俺は答える。 …まぁそんな事はどうでもいいんだ。そんな事よりぐっと深刻な問題が人生にはあるだろう? そう、茶扇子の話だ。 この前、お稽古に行く準備をしていたら、茶扇子が…
茶事で、お茶が済んだ後に宴会があるのは後段と呼ばれる。 侘び茶では、後段付きというのはすこぶる評判が悪い。 侘びという価値観に合わないからだろう。 さて、茶事の終わった後、亭主は独座観念とか言って「みなさん、どこまで帰られたろうか」とか思いを…
懐石の手順にへんなものが入っていた。 らう茶の事是も肴の一種也 白檀かんせう肉桂胡椒桂心挽茶丁子七味を粉にしてうすのりにてかため すはまがた(洲浜型)に切りたる物也 酔をさますによし 物さへるにも盛合せにする也 透頂香等も盛合す也 謎の漢方デター!…