2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

3月の展覧会

春展示は4月が本番ですが、3月になって関西が充実しはじめました。 今年はいろいろ廻る予定。 東京近郊 期間 タイトル 備考 サントリー美術館 -3/1 天才陶工 仁阿弥道八 畠山記念館 -3/15 THE琳派 根津美術館 3/7-4/6 菩薩 暮春の茶 永青文庫 3/21-6/28 細川…

奈良大和路茶の湯逍遙3 西大寺の大茶盛

平城宮跡に近い真言律宗総本山西大寺は、鎌倉時代の抹茶の飲み方を今に伝える大茶盛の行事で知られている。 すなわち、毎年一月十五日、巨大な茶碗に点てられた茶を数人で飲み回す茶の会である。 (根拠部分略) やはりこうした大茶碗による茶の飲み回しが叡尊…

奈良大和路茶の湯逍遙2 奈良時代の料理と菓子

奈良時代に中国から穀粉(米粉か小麦粉)に水を加えて捏ねて各種に造形し、ゴマ油で揚げた「唐菓子」が伝わった。 (略) 今でもその名が残る煎餅は、日本の駄菓子の代表ともいえるくらいポピュラーなものだが、そのルーツをたどっていくとこの奈良時代に伝来し…

奈良大和路茶の湯逍遙

神津朝夫/淡交社/2015年。奈良近辺の、茶の湯史跡を紹介する本。 研究書ではない。ガイドブック、というわけでもない。 エッセイというかなんというか、ふらふらした感じの本。だから「逍遙」なんだろう。 「平城京と茶」より。 奈良時代はちょうど唐で陸羽…

詩集利休10 戦中の詩集

本書収録のタイトルを羅列してみる。 庭 千利休 千宗旦 茶碗のうた 古田織部 古田織部 竹の中なる大圓世界 藪内紹智 高山右近 小堀遠州 花 金森宗和 茶杓 片桐石州 片桐石州 茶碗 山科丿貫 石 藤村庸軒 ある朝 松平不昧公 岡田宗偏 愛と眞と善の茶の湯 國歌…

詩集利休9 片桐石州

片桐石州 目 耳 手 體 坐つてゐる 香爐のやうな坐 何時までの坐なるらむ 影が出没する 壁の中 何程多くの妄想の蜘蛛を 封じ込めたであらう 入りし影は 光を背負うた黄鳥となつて とび立つ 庭前に 降り積つてゐる白雪 床の一朶の白梅は 禁色になつた 雪を活か…

詩集利休8 金森宗和

金森宗和 宗和── 鹿群が 紅葉の深山を すぎゆく 光景を 想つてゐる 動く古鏡 生きてゐる蒔繪 稻妻が 奔る 大きい神變の圖案 慴伏した萬象 山里は 音もない その時 ぢくざくの 光炎の廻廊を 渡つて 宗和は中天へ通ふ 姫宗和といへる 臈たけたる名の中に 堅い…

詩集利休7 小堀遠州

小堀遠州 雲に飛ぶ 鶴の崇さ 翔跡は見事な宮殿楼臺を 描いてくれた 夜半の目覺めの蟋蟀 林泉影 林泉影とすだいてゐた 木靈の精が 通ひ小町のやうに 訪ひ來る 解脱のために 意華匠嚴の工經を 誦して貰はむが為に この人は 足掻きせわしいはやり駒を 光藏の方…

詩集利休6 高山右近

高山右近 涼然と聳えてゐる 秋風の中の大城 天主閣 いづこへ 旅く鳥らなるらむ わたる群鳥が 鳴きつれてやがて霞む 茶室の中に 宇宙大の圓が描かれる なんといふ ひろい心だ なんといふ 高い信だ なんといふ 深いめぐみだ 茶室は主客を容れたまま 金色の浮御…

詩集利休5 藪内紹智

藪内紹智 あかつき闇に篝火が消えた なまじい明々と火の氣があつた故に 闇の深さが積つたか 殊更闇い 闇い 爐邊 そこに孤りの座 いにしへの時劫が刻む 落松葉の眠り 露地は音もない 静寂の垣 思念の籬 炭火が祭禮の心のやうに■*1つて來た 劒仲 劒仲 誰かが呼…

詩集利休4 古田織部

古田織部 織部茶碗を前にする時には 義しい叛骨が威儀を正して坐つてゐる 寂として 雲は白く遠く この岸に 人影もない 織部よ 竹むらがそよいでゐる どこかで聲がしてゐる 誰が織部を探してゐるのか 噫 上玄から雲際へ 相貌が歩むのを見た 姿相が 懸るのを見…

詩集利休3 千宗旦

千宗旦 からうめがさいてゐる きろいそめいろが しみる たびびとが それをみる しぐれが やまぢをぬらしてとほつた こころすまさうと このやまざとの かけひのみづ 稲妻し ひのくちみぇ かそけきこゑ あめつちのちから まつかぜのおと まつかぜのおと ねざめ…

詩集利休2 千利休

著者は1950年にお亡くなりになっているので著作権は切れている。 なので全文引用を行うよ。 千利休 一滴の露の中に遠い山波が數へられる 一座の壷の中に 水々しい空が 波涛の響を鼓の音のやうにかくしてゐる 日本の味爽が 柝を打つやうに 明けやうとする 雁…

詩集利休

斎藤潔/赤門書房/1943年。戦局厳しい昭和18年に出た、たぶん最初で、もしかしたら最後の、茶の湯の詩集。 詩集利休敍夕月夜すこしある茶はかせの心法澄み極まり、 美の業つひに造りぬる永祿天正の昔おもへば、 近く異邦的三代に生き來しわれらの、 慕はるる…

茶式湖月抄15 臺子大金小金之割方

本書の4巻からは道具の説明に「捨て壷のこと」「掛け物は道具の第一」など、南坊録由来のエピソードが収録されている。んで、南坊録の小台子3つ折りの曲尺割。南坊録を読んでも判らないことは、その引用を読んでも判らない。 どういうつもりで引用したのだろ…

茶式湖月抄14 紹鴎好香合

本の形状の為にちょいとスキャンがピンぼけだが、香合。紹鴎の時代に香合を使っていたか、かなり疑問はある。 だって炭点前しないもん。 でも、それは置いといても、なんか紹鴎っぽいよね。このライン。紹鴎の好み物を見て美意識を真似て作ったから紹鴎好み…

茶式湖月抄13 そくしやう

觸杖。砂雪隠にぷりっといたした後、砂を掛けて隠すための道具である。 実際には飾りであって使わないと思うが。仙叟はトイレ道具にまで好み物があったとは。 磨き抜かれた美意識に、従来型の觸杖が許せなかったのかもしれないなぁ。…あんまりこんなのに名前…

茶式湖月抄12 仙叟六角縁高

…なんだろう。この円盤獣みたいなものは…。縁高というよりも三方の一種の様な感じだが、仙叟はいったい何を作ったのか?形も扱い方もさっぱり判らん。私が知らないだけで、この奇怪な器具を現代の裏千家では使っているのだろうか?

茶式湖月抄11 利休好一閑四方硯箱

さて、規矩を正す図面集の第一段がこれ。…利休存命の頃にはまだ飛来一閑はいないんじゃがのう。どう発注したんじゃろうのう?

茶式湖月抄10 規矩

茶式湖月抄は全五巻。二巻からは道具などの図解。なんで二巻から図鑑になるかが冒頭に書かれている。 大旨湖月集すでに世に行はれ。 數奇者諍ふて繙き専珍重すと聞く。 茶式湖月抄の前に茶式湖月集と言うのがあったのだろうか? それとも茶式湖月抄の一巻が…

茶式湖月抄9 隅炉

一 隅爐妙喜庵点とも云点やう風炉の通なり 妙喜庵点とは言った物である。明治5年の段階では藁小屋になっていた待庵はこの時期復興していたのだろうか? それとも江戸時代からの知識でこう書いていただけなのだろうか? 但し水指のふたは客付へ取也 手燭は水…

茶式湖月抄8 大板

一 大板 (略) 世に云大板は炉蓋ほど有て真塗なり 流義の形にてなし千家の大板といふは長板を二つに切たる形なり 世に云半板といふは流義の大板の事なり 炉蓋は木地なり常に釜不掛節用也 世間で云う大板は炉蓋ほどのサイズ(一尺四寸四方)で真塗である。これは…

茶式湖月抄7 道幸

一 道幸 若き人にても遣て宜し大目畳の道幸戸向へ引 若い人も使っていい。 台目畳の道庫の戸は向こうに引く。道庫は本来、道具を運べない老人のものの筈だが、老人用とは限らない、と著者はいう。台目畳の場合、点前座は前後につまっているので、戸は逆方向…

茶式湖月抄6 丸卓

一 丸卓 利休好み 本書には利休好みの丸卓しか載っていない。不思議に思って確認すると、現代の表千家でも宗旦好みの丸卓を使っていない様だ。 本書は表千家準拠、ということなんだろう。でもなんで使ってないんだろう?不思議不思議。 棚物置やう下の棚板木…

茶式湖月抄5 茶事箇絛 茶筌

一 茶筌 真 數穗 五十七 草 アラ穗 三十二 行 中アラ穗 四十六右の内何れにても用 その内數穗は臺天目の類に用也 まず数穂が荒い。現代の数穂は72本くらい。 この細かさは、案外裏千家のリクエストによるものだったりしないだろうか?また、濃茶薄茶という用…

茶式湖月抄4 茶事箇絛 濃茶の事

茶入の牙蓋のこと。 茶入の蓋にすあらは茶杓をそむけ茶杓を釜付におく 牙蓋に巣が在る時は、茶杓は巣の反対側に。茶杓は釜付に置いて、巣は下座に控えなさい。…読み取りにくいったら。 瓶子つまみ大きなるは扱ふてもよし口傳 但し唐物倭物にても尻張の様なる…

茶式湖月抄3 茶事箇絛 炭の事

一 炭の事 香合塗物にても夏冬の差別なく用ゆ 往古は夏塗物冬焼物を用ひ来りしが今は其形により差別なく用也 如心斎風爐の節備前布袋の香合用ひし事有之よし 明治の始めには「夏=風炉=塗物か木地」「冬=炉=焼物」というコンセンサスが崩壊しかかっていた…

茶式湖月抄2 珠光

東山殿 慈照院足利義政将軍 御時代 南都 称名寺僧珠光始めて點茶製して一休禪師より參問す一休是を證明して曰茶は心眼を覺し大ひに吾宗禪定の一助なりとて秘重せよとし宋國經山寺虚堂禪師の墨蹟を珠光に輿ふ是我朝専ら點茶を用る中興なり 珠光は初めて抹茶の…