2014-07-01から1ヶ月間の記事一覧

玉川遠州茶道秘訣抄

星野宗悦/1918年。「初傅」「中傅」「臺子之行草」「奥傅」の4冊からなる秘伝書。玉川遠州流の秋田分派の本と思われる。全体としてはくずし字筆記を印刷和綴じにしたもので、奥書きだけ手書きなのかな。署名には「玉川遠州道茶好道派 家元」とある。冒頭は …

現実主義

裏千家は…一般への結界・関守石の効果に期待していない。

8月の展覧会

本当少ないね。今月行きたいのは吉川史料館「吉川氏の関ヶ原展」。こんな企画ありえるとは。 #お茶関係ありません。 東京近郊 期間 タイトル 備考 根津美術館 -9/7 涼風献上 夏の茶事 中部〜北陸 木村茶道美術館 8月 楽茶碗展、花入展 涼風茶席 福井市愛宕…

かながわ茶縁めぐり8 神奈川の菓子

本書では神奈川の菓子屋も紹介してくれている。 知識が無いので割とありがたい。 八幡宮をおとなえば、雅楽の音が遠く拝殿からきこえてきます。 その奏者に内記進氏がおります。 氏は奏者であると同時に菓子の技術者であります。 八幡様のほど近くに「美鈴」…

かながわ茶縁めぐり7 燃焼変化

炭の性質と寸法を定めるとうことは、すなわち炭を規格化したということです。 それはただちに炭手前の様式美につながってきます。 つまり炭組みが考察され、それぞれの流儀の仕方が生まれることになります。 (略) そう考えますと、それぞれの流儀の炭組と生…

かながわ茶縁めぐり6 炭の原則

本書では横浜青葉区にある、丸善製炭所にも取材している。http://yokohama-maruzen.co.jp/このへんに良質の櫟林があったからだという。本書では岸本定吉氏のよい炭の条件を紹介している。 第一は「しまりのあること」。やきしまった金属的な音がして重いもの…

かながわ茶縁めぐり5 小田原御陣と聚楽第の茶会

十八 小田原御陣と聚楽第の茶会 (略) 天正十八(一五九〇)年五月二十日朝、津田宗凡は秀吉の小田原攻略に参じております。 秀吉が小田原攻めに持参した鴫肩衝。 でも本題は小田原ではなく、凱旋後の聚楽第の茶会のお話。 利休はどんな辣腕をふるったのでしょ…

かながわ茶縁めぐり4 茶湯寺の百一日参り

九 茶湯寺の百一日参り (略) “ちゃとうてら”というのは、あのお茶湯からきた寺の名でしょうか。 茶の湯の儀式典礼が寺の名になっているのです。 (略) 開山さんは、東寺長者権少僧都義範であると『相模風土記』はいいます。 一〇八八年の開創ですから、義範の…

かながわ茶縁めぐり3 極楽寺の千服茶臼

七 極楽寺の千服茶臼 「鎌倉の極楽地に行くと、忍性の遺物として、千服茶臼と称する大形の茶臼がある。これは、忍性が施薬院で、保健の妙薬と称して、病弱の貧民に千服分の抹茶を碾き、施与したものだ。」 とあります(桑田忠親著『茶道の歴史』東京堂)。 (略…

かながわ茶縁めぐり2 寒雲亭と京の茶

四 寒雲亭と京の茶 (略) 和尚様に寒雲亭の由来をたずねると、もと裏千家に建っていたものが東京の久松家に移されたそうです。それがさらに鎌倉に移築され、堀越宗円氏所有となっていたものを、斎藤利助氏が昭和三十六年に寄進したものということです。 東慶…

かながわ茶縁めぐり

宇野克己/国書刊行会/1983年。 茶縁をもとめ、神奈川の寺々をめぐってみました。 (略) 今回は、茶道新聞『同門かながわ」に三年余にわたって連載したものをもとに、加筆増補しました。 神奈川の茶を書くだけで本が一冊書けることより、かながわだけの茶道新…

織田信長最後の茶会

小島毅/光文社/2009年。本能寺の変の謎を探る本である。 信長や室町時代に関して、司馬遼のおかげもあってさまざまな先入観がある。 古くは公家や坊主の陰謀論は認められてこなかった。 織田家の政権ももしかして中国の冊封体制の一環かもよ? みたいな結構…

茶室の話23 おわりに

昔は茶室を作る場合,多くは庭の中に独立して何物にも煩わされることはなく,前人の優秀作を写していればよかったが,今はそうではない. 庭中に独立した好条件は少なく,居室の一隅に炉を切って茶室に兼用したり,ビルディングの中に他の室と競合しながら不…

茶室の話22 茶室平面の記号での表現

そこで,3帖の畳と台目畳との組合せのすべての型を考えて,逆にこれら7つの形をあてはめてみよう. 140図のように台目畳が3帖の短辺につく型が2つ.長辺につく型が4つ、計6つの基本形が考えられる. これはとりあえず納得はできる。 それには床のまの位置を1…

茶室の話21 茶室平面の書き方

茶室の平面を書き現わすのに(1)方位を主として,北を上に書く方法. (2)客がにじり口から茶室に入り,床のまを拝見する順に従って,床のまを上に(にじり口を下に)して書く方法. (3)亭主が茶道口から入って点茶する順に従って、茶道口を左下(点前畳を左に)し…

茶室の話20 3帖台目の茶室

3帖台目の茶席には多くの型がある. (中略) これは3帖の畳と台目の点前畳の付き方によるものであるが,これらの間の関係を明らかにし,更には進んで, より多くの型の茶室の平面を見出して設計に役立てたいと思う. ということで、著者は三畳台目の名席を分…

茶室の話19 にじり口と貴人口の併存

近頃作られる4帖半の席には,たいていにじり口のほかに貴人口がつけられる. 4帖半でにじり口だけだと暗く陰気なので,陽気で風通しもよく使い易くするために貴人口をつけるという茶法の変わりだが,半面,茶席本来の姿である外界から隔離した静かな別天地と…

茶室の話18 貴人口

貴人口という語は近頃使われるようになったもので,古くは,腰障子2枚とか,ふすま2枚とか書いて,潜り口と区別していた. そういえば貴人口、という用語を古書でみた事がないかもしれない。 紹鴎や利休の初期の4帖半には,庭からの出入口も立ったまま出入り…

茶室の話17 にじり口

にじり口の大きさは 高さ 巾 不審庵 3帖台目,台目切り 68.8cm 62.4cm 又隠 4帖半,半切り 68.2 64.2 官休庵 1帖台目半板向切り 67.3 63.0 今日庵 1帖台目向板向切り 67.3 63.0で,大体高さ67〜68cm,巾62〜64cmの片引板戸の小さい出入口であるが,特殊の寸法…

茶室の話16 逆勝手の実例

昨日の「逆勝手廃止論者」への反証。 しかし逆勝手の向切りの席は数は少ないが昔にもあり,今でも作られている事実を無視することはできない. 試みに逆勝手向切りの実在の茶室をあげると, 表千家の無一物 …… 2帖+台目2枚 慈光院の3帖茶室 …… 2帖台目向板 …

茶室の話15 炉の切り方

建築家としての、著者の炉の切り方の原則。 1.著者の五炉のうちから選ぶこと.くれぐれも,逆勝手の4帖半切り(略して半切り)や,台目切りや,隅切りには手を出さぬこと. これは先述の通り。 2.本勝手の半切りと台目切りは,作られる全茶室の約80%で多い.…

茶室の話14 茶書の八炉解説

本書では先行する茶書の「八炉説」についても概説してくれている。 79図は河原書店編の「茶室の見学」の挿図であり,主婦の友社編の「茶の湯全図」のものもほとんど同じ. (略) 「炉の切り方は以上に尽きます」と簡単に解説してある. これを見た者は,八炉…

茶室の話13 茶室の八炉説

建築主から炉を切ることを求められると,若い建築家はまず茶室の本を見て炉の切り方を学び,そのうちから自分の設計した室に当てはまる炉の切り方を採用するだろう. ところが,茶室の本のなかで,炉の切り方を解説したものには,必ずといっていい程茶室八炉…

茶室の話12 あるビルの茶室

つい先頃,若い建築家A君から55図のような平面図を送ってきた. 床のまを縁側に接して作り,客を縁側内の明るい場所に坐らせ,亭主はその反対側で点茶をするという建築家的常識から,茶道口を床のまの左につけてあるが,この茶道口から茶室に入ると図の位置…

茶室の話11 炉の切り方

ここで炉の切り方の良否を,知らない若い人のために,ざっと書いてみよう. お茶を少しでも知った方には判り切った事だが,少しの間目をつぶっていただきたい. これもお茶を知らない建築家が茶室を作っている、という事が歴然の説明。 53図の1は,4帖半の席…

茶室の話10 ある公民館の茶室

ノンフィクションの話である. ある町の公民館の設計メンバーの若い建築家が,49図のようなプランを持参して,これでよいのか見て欲しいという. 下の図の、上の間取りがそのソレである。 「炉の位置がAでは具合が悪いですね」 「全然知りません」 「知らず…

茶室の話9 給仕口をつけない席の平面図

図がみにくいが 1.仁和寺の遼廓亭 2.大徳寺珠光院の閑隠席 3.大徳寺玉林院の蓑庵 4.裏千家の又隠1は三角地板を踏んで客席へ運ぶ. 2と3は36図のキエにあたる所が半間あるからここを通って運べる. 3は給仕口が無くとも茶事は進行するが,あれば便利である. …

茶室の話8 建築家の作った茶室

建築家の設計した茶室のなかには,形もよく,工費も合理的だが,茶事に使い難いとの非難を受けるものが時々ある. これは茶室のよい形だけに心をひかれ,その使い方の研究をおろそかにした結果ではあるまいか. (中略) そしてこの手違いは2帖台目や3帖台目の…

7月の展覧会

もちろん、展示がほとんどないのがこの季節。「五先賢の館」が一番気になるかな…。 東京近郊 期間 タイトル 備考 根津美術館 -7/13 カラフル 鳴神月の茶 中部〜北陸 昭和美術館 -7/6 茶人のデザイン 木村茶道美術館 〜7/27 茶入茶器展、懐石道具展 涼風茶席 …

茶室の話7 不審庵の風炉

不審庵に風炉を置いた写真がこれ。 解説にこうある。 不審庵では点前畳の先に茶道口があるので,ここへ風炉を据えることができない. 炉の時、台目畳には水指だけ。その脇をバックして入って来るのが戻り茶道口。 でも風炉だと風炉+水指が有るので脇が通れ…