2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧

10月の展覧会

徳川美術館はかなり行きたい展示。 あと和歌山市立博物館も地味に行きたい。 東京近郊 期間 タイトル 備考 出光美術館 -10/12 躍動と回帰 桃山の美術 畠山記念館 10/3-12/13 桃山茶陶と「織部好み」 根津美術館 -11/3 根津青山の至宝 静嘉堂文庫美術館 10/31…

茶道規範49 要録 茶盛之事

茶入の話。 一 茶盛ハ其ノ形ニ因テ勝劣アリ 肩衝ヲ一番トシ文林二番丸壺三番尻豊四番茄子五番棗肩衝六番鶴首七番角木八番矢頭九番飯銅十番ナリ 右ノ形ノ外ハ縦ヒ古キ物又ハ唐物タリト云共難用之芋子ノ類強チニ不用右ノ内タリト云共猶又恰合ニ因テ善悪アルベ…

茶道規範48 要録 炭

炭ヲ置法之事十文字ヲ嫌フ 灰ノ隅ヘ不可掛 五徳ヲ不可頼 尤モ爐壇ニ不可當 「炭つがば五徳はさむな十文字縁をきらすな釣合をみよ」炭の置き方は十文字を嫌う、というのはそれなりに古法なのが確認できる。 灰の縁にも炉壇にも当てるな、五徳に寄りかからせる…

茶道規範47 要録 四方釜

(略) 四方釜ハ五徳ニ不掛ト云共風爐ニハ専一ニ用ユ (略) 一 釣釜之事鎖ハ老若共ニ用ユ 廣座席ニハ必ズ用テ吉 四方釜ハ必ズ釣テ用ユ 爐ノ五徳ニハ不居 (略) 宗偏が宗旦から拝領した四方釜。 炉に使う時は釣釜にして五徳は使わない。 風炉の時は五徳オッケー …

茶道規範46 要録 風爐の季節

風爐ハ元ト春秋ノ差別ナク暖氣ノ時用ユ。 火ハ極陽ノ純精故ニ上レリ 爐ハ下ニ有テ火氣強熾タリ是ヲ以テ冬専ラニ用ユ 暖カナル時ハ必ズ風爐ニ上テ涼シカレシム其文字ヲ以テ考フベシ (略) 宗偏は、暖かい時は風炉で寒い時は炉である、と考えていた。炉は畳より…

茶道規範45 要録 第二 廬地之制大概之事

(略) 打水之事寒暑ノ時ニ不拘廬地ニ流如ク可打 毎戸ニ打掛吉 末流ニ打ベキ時分有テ客ノ可歸時ニ打ヲ立水ト云リ不可用 暑天ニハ間モナク水ヲ可打 酷寒ノ節水其儘凝ル程ナラバ不可濺 雪ノ後ハ水不打也通リ道ノ飛石ノ上堆土ノ道通リバカリ雪ヲ帚除べし 朝ハ必ズ…

茶道規範44 要録 爐同縁之事

炉縁の話。 一 春ハ洗縁ヲ用ユ 陽氣埃ヲ擧ル故ニ見テ惡シ故ニ客毎ニ洗ヒテ用ベシ 澤栗ノ目通ヲ以テ作ル 冬ハ塗縁ヲ用ユ。 洗縁ノ古ビタルヲ掻合ニ漆塗テ用是侘ナリ 又不侘人ハ眞塗ヲ用 是ハ檜木地也 (略) 春は「洗縁」を使う。 ぽかぽかして埃が立ち易いので…

茶道規範43 要録 座席之段々同床之事

一 掛物之事墨蹟ヲ用ユ 名僧ノ要文要語ト云共茶主ノ歸依ニ因テ用捨アリ 五山派ハ不用 子細ハ當道祖師タル利休宗易無他念紫野大徳寺ヲ歸依タリ 且一山悉茶道ノ門弟也 是以テ今ニ至テ彼ノ僧ヲ尊教ス 然ニ宗易敗死ノ時 大樹君秀吉公一山之僧徒等御怒リニ遇フ 是…

湯木美術館 禅僧と茶道具

禅僧ゆかりの茶道具を集めた展示。入り口近くの置き合わせが目を惹く。ツルリとした唐金撫肩の風炉に、荒れた肌の小雲龍のミスマッチ。 撫子文朱手付の茶器は紅一点。 目を上げると即全の青交趾尺八、ただ、孤蓬庵と鵬雲斎を取り混ぜたのはいかがなものか。…

藤田美術館 花hana華

全国ヘ巡回展を出した抜け殻の藤田美術館。こーゆー時こそ真の実力が試される。 ……抜け殻でした。つーか、客いねーでやんの。 仁清の花器はゴジャースでよかったけど。

茶道規範42 要録 茶湯約束ノ事

次いで茶道要録。 第一 茶湯約束ノ事一 凡茶ノ湯ト云ハ定リテ朝ノ事也 然ルヲ當世誤來テ燈ヲ見ヤウニ往來シ事ヲ約ス如此品多メ古實ヲ失フ故ニ今悉ク改之按ニ茶ノ湯ト云ヲ朝トスル事ハ茶ハ専ラ睡リヲ打ヲ以テ徳ト賞ス 故ニ夙ニ起夜半ニ勤ルノ助トス是以一日ノ…

茶道規範41 聞書の位置付け

昨日ので聞書は終わり。 長々やってきたが、茶道便蒙抄と聞書について一辺総括したい。 茶道便蒙抄は宗偏の頃…江戸中期の前半あたりの茶を反映している。聞書は大正時代に、それを解釈し直したものである。大正時代の宗偏流の危機感は口伝による伝授で、各地…

茶道規範40 聞書 蛭釘

茶道便蒙抄の自在の章にこうある。 一 ひるかぎ打ちやう扨自在くさりの名所不及筆口傳 蛭釘の打ち方は自在、鎖の重要な部分。 書き残せないので口伝とする。…公刊書で口伝にして、どうするんだろうか?という疑問はある。 さて聞書。 蛭鉤打やうの事。 外爐…

茶道規範39 聞書 四畳半の座敷に置棚の事

茶道便蒙抄にはこうある。 第六 四畳半の座敷に置棚の事一 袋棚は爐計に用るなり。 爐縁より八寸程さきへよせ。脇は表疊目四つ勝手の方五つたるべし。 (略) まぁ袋棚に風炉は置けない以上、炉の時にしか使えないわな。 聞書にはこう。 一 袋棚は爐計りに用ゐ…

茶道規範38 聞書 雪中に尋茶を呑む事

茶道便蒙抄の記述はとてつもなくシンプルである。 一 晝夜ともに雪降にかぎり何時によらず尋茶をのむべし 聞書は更に解説する。 是は雪降興を催し雪に乗じて友を尋ぬるの意なり。 主も其作前肝要なり。 別に雪中の茶事とて替る事なし。 又兼て互に雪降らば尋…

茶道規範37 聞書 跡見の茶の湯の事

茶道便蒙抄の「跡見」はシンプルである。 一 座敷置合は菓子の茶の湯に懸物と茶入の袋なき物なり。 食物は菓子にても出さず。 扨客行く時分は茶主より案内あるものなり。 但客の住宅茶亭よりも隔り候はヾ近所何方へ來り居候半の間時分御知らせあれと。 兼て…

茶道規範36 聞書 不時の茶の湯の事

茶道便蒙抄、聞書ともこうある。 一 何時にても隙次第に參り一服たべ候はんと兼て約束致し置か 又は亭主の數奇者なるを聞き及びて不圖參る事なり。 (略) 不時の茶の湯は、相手が有名数寄者でない限り「いつ来てもいいよ」という事前の約束が必要なわけか。 ……

茶道規範35 聞書 菓子の茶の湯の事

茶道便蒙抄第四。茶事の話である。便蒙抄にこうある。 第一 菓子の茶の湯の事 一 朝飯後夕飯後の物なり。朝飯後の約束ならば辰の刻に案内を乞うべし。夕飯後ならば未の中刻に案内乞うべし 聞書は続ける。 是は近所心安き衆中言合せ約束する事なり。故に前後…

茶道規範34 聞書 盆点の事

茶道便蒙抄の風炉/堂庫の項目は簡単である。 第十三 堂庫の事 一 茶立やう常に變る事なし。道具置合は圖の如くなり。是も壮年以後の物也 こんだけ。聞書は、上記に追加して、こうある。 といへども殊に五十歳以上の老人のする事なり。 年若にても不行歩の人…

茶道規範33 聞書 盆点の事

茶道便蒙抄に、盆点の仕方が書いてある。 一 盆立にする茶入は唐物日本物に不限名物なる時は盆にのせ立てよし(略) 一 柄杓蓋置は年若きものにても手水の間に釣棚か堂庫に置てよし(略) 一 客案内あるを聞(略) 一 主茶立に出る時茶碗を建水の座に(略) 一 右の…

茶道規範32 聞書 同客方の事

風炉の客の心得。茶道便蒙抄と聞書、同じ内容の部分。 一 風爐にて御茶申べくとある時は時節に搆はず足袋を履かずして參るべし。 風爐は初に書たる如く世間暖氣にて釜をあぐるなれば亭主の意に應ずるこヽろなり。 (略) 江戸時代も、大正時代も、風炉の茶は裸…

茶道規範31 聞書 茶を立る事

茶道便蒙抄、聞書変わらず、こんな始まり。 一 柄杓蓋置持出圖の所に置き客へ膝御直しの辭儀あるべし。扨主もとくと居直るなり。 (略) 江戸時代も、大正時代も、お茶を点てる時は「気を付けィ」なんだ…。 つまり、お茶を点てるって事は凄く真剣なこと、とい…

茶道規範30 聞書 風炉

風炉についての項目。 聞書にて追加された項目。 一 唐金風爐は四疊半眞の臺子の時用ゐるなり 不斷に用る時は黒塗丸板あり寸法もあるなり 茶の湯には堅くるしく見ゆる故に宗偏も宗伯も用ゐられず。 此風爐には雲龍からけなと五徳据ゑ相應なり透木厚朴を用ゐ…

湯島天神 利休を超えた織部とは──?

現在は湯島天神で開催されている織部に関する巡回展。織部の消息、好み道具、織部焼などがバランス良く、網羅的に展示されている。織部の釜の好みが、非常に保守的で地味なのに驚かされる。伊賀焼をたっぷりみれるのも面白い。半畳の畳に、織部茶会の道具組…

茶道規範29 聞書 炉開き

ここからは茶道便蒙抄第三。風爐主方の事、から始まる。 風爐に揚る時節不定と心得るべし。 利休正月三日に。長閑なる時風爐に揚らるヽ事あり。 是にて了簡あるべし。 風炉と炉の切替えは、決まってない。 利休は正月三日があったかかった時、風炉にしたこと…

茶道規範28 聞書 炭所望の事

茶道便蒙抄にこうある。 一 薄茶過。もはや歸り候半とて互に暇を請。 扨今一炭見物致度と必望てよし。 (略) いまだ客緩々と咄時は。炭澤山に置茶を立るなり。 客はや歸る時は與計の炭なる故成程かろく置事なり。 客が帰りそうな頃に、もう一度かるーく炭手前…

茶道規範27 聞書 道具とも所望して見る事

道具の拝見。茶道便蒙抄; 一 茶入は亭主濃茶を仕廻水壺の蓋をする時茶入御見せあれと望むべし 茶杓は主茶碗を取りに出たる時望みてよし。茶入の袋も見度ば此時望み然るべし。 (略) 江戸時代の作法。水指の蓋を閉めるとき、茶入の拝見を乞う。 茶杓、仕覆は…

茶道規範26 聞書 茶立る時の事

茶道便蒙抄と聞書両方とも、これではじまっている 一 主勝手口の障子を明茶を點るべき哉と伺ひたらば然るべきの由挨拶致すべし。 (略) つまり、江戸時代も大正時代も「お茶だしていいっすかね」「どぞ」でお茶がスタートします。なお1977年の「茶の湯テキス…

茶道規範25 聞書 膳出る事

茶道便蒙抄にない項目が、宗偏時代から大正の間の変化を現す、わけですな。 一 貴人御亭主にて膳御持あらば座より先へ辷り出中にて膳を取り戴くべし (略) どういうわけか、聞書の方が貴人に関する記述が多かったりする。 これは江戸時代を通過した結果かもし…

茶道規範24 聞書 座入して作法の事2

座入作法の続き。さて、座り方に関し、この章に非常に興味深い部分がある。茶道便蒙抄にこうある。 一 茶主出て膝を直し候へとの時宜ある時。主客同輩ならば膝を直すべし。 故は亭主膳をすゆる時かしこまり請取べき為なり幾度も此心得なり 亭主が出て「膝を…