2013-04-01から1ヶ月間の記事一覧

5月の展覧会

今年も展示の本番。名古屋から大阪を3日ほど行脚しないと見切れない感じ。 個人的には蓬左文庫が気になります。 東京近郊 期間 タイトル 備考 五島美術館 -5/6 春の優品展 出光美術館 5/25-6/30 古祥瑞と染付 畠山記念館 -6/16 麗しの漆 畠山記念館 5/9-5/12…

茶道聖典10 宗瓦宛露地入の傳書

元禄十五年版の「茶之湯六宗匠傳記」に収録された九月十四日 利休判のあった伝書…の写し。 右、利休翁の筆作まぎれなし、原寫本のすきうつしに仕候。 とか巻末に書かれてもちょっと困っちゃう。利休名で9月とある以上、天正13年〜18年の間だと思われる。 宛…

茶道聖典9 木村常陸介宛の傳書

菊月十五日 利休 の奥書きのある伝書。 内容は、まずちょっと精神論。 一、茶ノ湯ノ道に定る事はなし。 一、昨日は今日をくやみ、朝は夕を後悔する事、尤に候 一、時宜は時によろしと書候、其時の能キ樣子が茶湯にて候。 一、初心なる時は、巧者の仕たる事を…

茶道聖典8 荒木攝津守宛の傳書

天正15年5月の利休宗易(判)の奥書きのある伝書。 一、先づ、床に畫か花か、一つ置き催して待ち、炭置きて、朧なれども、續がずして來客を相待つ也。 茶道四祖伝書の利休居士伝書にも同内容が収録されている。千利休全書の解題に云う。 【解題】本文は堀口捨…

茶道聖典7 川崎梅千代宛の傳書

天正15年5月の利休宗易(判)の奥書きのある伝書。群書類従にも収録されているらしいので、18世紀後半には有名な伝書だった筈である。 客之次第 一、茶給はるべきの状受けたる時に、忝く候、參るべしとの返事の状の表、其位々に慇懃に書きて、忝奉存候、必ず以…

茶道聖典6 萬貫屋新四郎宛の傳書

天正15年二月の利休宗易(判)の奥書きのある伝書。 臺子しきじやう(式正)の時飾り樣の事 袋棚の飾り樣之事 夜會之樣子 臺天目之習 から成る。内容的には野村宗覺宛伝書の抄録版である。 臺子の置き樣は別書にあり。しきじやうに飾る時は、茶入、茶碗、其外い…

茶道聖典5 藪内紹知宛の傳書

藪内紹知宛の伝書は2通から成る。一通は天正8年十二月 宗易(花押)。藪内紹知老宛。妙法院蔵。 一通は天正9年九月下旬 宗易(判)。紹知老宛。まずこの藪内紹知とは誰なのだろうか? 藪内流の剣仲紹智の事とは思えない。58歳の利休が、44歳の紹智を紹知老呼ばわ…

茶道聖典4 野村宗覺宛の傳書

台子、袋棚、盆点、夜会に関する伝書。 一、茶の湯は臺子根本也。臺子を略して風爐の茶、風爐を略して圍爐裏になる。 なんか利休が言いそうで、でも言いそうもない感じ。 一、茶立つる時は、先づ水翻にとりつきてよし。 右あかり(明り)ならば、水翻を左に置…

茶道聖典3 佐分宗二宛の傳書

臺子置合之事と袋棚之事を書いた書状。解題に 此の傳書は茶室研究家堀口捨巳氏の蔵本から採録した。 (中略) 臺天目の扱ひに於いて紹鴎時代の變遷を物語つてゐるあたり、茶の湯發展のあとを覗ふに足る。 とあるのは 一、臺天目にて茶呑時は、昔は其まゝ臺とと…

茶道聖典2 南坊宛の傳書

島津家伝来堀越宗圓所持。天正元年九月十六日 南坊宛の奥書きがある伝書。解題より: 宛名の南坊は彼の南方録の筆者南坊宗啓ではないかと言はれるが、それならば寧ろ宗啓の宛名でなければならぬ。この南坊は高山南坊であると思はれる。 問題は、宛先がどっち…

茶道聖典 千利休全集

鈴木半茶/學藝書院/1941年。千利休の全集。 つまり千利休が書いた、と言われる伝書等を集めたもの。 南坊宛の傳書 佐分宗二宛の傳書 野村宗覺宛の傳書 藪内紹知宛の傳書 …みたいな感じ。 珍しい視点かも。なお南坊録は利休が書いた訳ではなく、あくまで南坊…

慶長20年(1615年)。 大阪夏の陣の過程で堺は焼亡した。 堺が徳川方に協力的だったから豊臣方に放火されたのだという。大阪城の南の平野が主戦場なのだから、小堀遠州が岡山で集めた兵糧は当然堺港に陸揚げされた筈。 豊臣方の処置は適切だったと思える。 で…

茶人達の大阪の陣

木村宗喜がらみで、大阪冬と夏の陣で茶人がどうしていたか調べてみた。 古田織部。徳川方。 燕庵を剣仲に譲り出陣(とはいえ実は燕庵が正確にいつどうやって譲られたのか藪内家でも判らないらしい)。息子の一人は徳川方として討死。そこまで尽くしたのに戦後…

茶道言行録7 茶掛

織部は、流れ圓悟を切断する際の依頼から、その墨跡を読めていなかった事が明らかになっている。その織部の心得。 この古田織部は、跡部助佐衛門宛の傳書に、懸物を拝見する場合の心得をとき一、文字かゝり候文字の心しらずとも眞實の道も此内に可有候かと眼…

茶道言行録6 雪の朝

雪の朝は、茶の湯の人々にとつて最も大切であつた。 (中略) 又、この雪の朝、客を迎へ入れるのに、飛石の上の雪をどうするかと云ふ事も考へられた。 其儘にしておけば、客に迷惑をかける。さればと云つて掃けば周圍をけがす事になる。 そこで、飛石の上に湯…

茶道言行録5 宗旦の母

利休の一件の時である。その一族にも成敗があるとの噂が世上に流れた。 (中略) それは、少庵の妻にして、宗旦の母なる人が、この危難の家に歸つて來たことである。 それ以前に離別され、今は縁なき人となつて居たのに、許しなくしてこの家に歸つて來たのであ…

茶道言行録4 濡れ板

古田織部が大阪城の二の丸で、秀頼に茶を上げた時、炎天に乾かされて俄作りの戸板などが反たので、織部の作意にて之を水に濡らし、漸く間に合わせた。 この作意を織部の内の者であつた道巴なるものが、京に歸つて人に語つたので、これを聞及んだ木村宗喜は、…

赤松前司貞村

昨日のこちんこ、じゃないや、こちこの話で思い出すのが、南方録の以下の記述。 青磁雲龍御水サシノ故実、休ノ物語ニ云、 永享ノ比、普広院殿御病中、禁裏ヨリ御園ノ御茶ツカハサレシ時、 鎌倉ナスヒ御茶入、花山ノ御天目、青磁雲龍ノ御水サシ、三種ヲツカハ…

茶道言行録3 小茄子

茶入の中に茄子と云はれて居る形がある。 (中略) こゝに小茄子と云ふのは、形が特に小さかつたからで、 (中略) けれどもかゝる形を小茄子と呼ぶ樣になつた前には、これを「小ちご」と呼んだ樣である。 宗珠の傳書に 一、こなすと名のつき候事は、しゆくわう(…

茶道言行録2 紹鴎と利休

利休は、一説には紹鴎の弟子だったという。そして利休は北向道陳に台子を習ったという。でも利休は紹鴎の弟子であるなら、紹鴎に習うのが本筋。これを西堀一三はこう説明する。 臺子の茶を教へ下されば生涯の面目たるよしを懇望したが、紹鴎は、尤もの事であ…

茶道言行録

西堀一三/河原書店/1942年。西堀一三による茶人の逸話集。 この時期の本にしては「皇国の御威」とかそういう文章が一切ないのは、著者のなんらかの抵抗か。この本の中から、いくつか気になる話をチョイス。まずは珠光の言葉から。 珠光は、普通に茶道の祖と…

ぐるっとパス2013

ぐるっとパス2013。五島が復帰したので、価値がぐっと上がった感じになりました。 具体的にはこんな感じ。 館名 割引額 種 東京国立博物館 -100 割 三井記念美術館 -1000〜-1200 全 出光美術館 -200 割 大倉集古館 -800 全 泉屋博古館分館 -520 全 五島美術…

南坊録に學ぶ8 茶道聖典

最後に、南坊録自体について。 釋迦如來は、自分自身の手で何も書いて殘して居られない。 (中略) 孔子も亦自ら論語を著述したのではない。 (中略) 基督教のバイブルにしても同樣であつた。 (中略) ──とすれば、我が茶道に於いても、利休居士が自ら筆を執つて…

南坊録に學ぶ7 ながめ・ながめらるゝ心

紹鴎が、或る人からわびちゃの湯の心はどんなものか、と問はれたとき、新古今集にある定家朝臣の歌を引いて 例の句に対する解釈。 居士が此の見渡せばの歌を採用して、花も紅葉もない浦の苫屋の秋の夕暮を、稱へ唱へたのは、何等の人為的な施工をして居ない…

南坊録に學ぶ6 名物の掛け物

名物のかけ物所持の輩は、床の心得あり。 の部分。 イマサンなので心得の内容はオミット。 最後にもう一つ。甚だ申し難い事であるが、思ひ切つて申して見たい事がある。叱られるかも知れぬし、反駁されるかも知れぬが、私の苦衷のある所を御諒解願ひたい事が…

南坊録に學ぶ5 露地に打つ水

「露地に水うつ事、大凡に心得べからず。 (中略) 宗及などは、立水心得がたし、何ぞや客をいねといふやうにあしらふ。 (中略) 初終の仕舞、二時に過ぐべからず (中略) 亭主露地口へまで打出、相送りて暇乞申すべき事なり、と申さる。 ここでの学びは当然「4…

南坊録に學ぶ4 互に心に叶ふはよし

さればこそ叶ふはよし、叶ひたがるはあしゝ。 の部分。著者はこう解説する。 双方の氣分がピツタリと合つた、と言つてしまへば、それは偶然に合つたのかも知れないから、それもこの言葉の眞意ではない。 誰がどうやっても叶う様な状況は、叶うとか叶いたがる…

南坊録に學ぶ3 向ひ向はれる人

次に: 「宗易へ茶に參れば、必ず手水鉢の水を、自身に手桶にて運び入らるゝ程に (中略) 客の目の前にて、いかにも潔く入れたるよし (中略) 手水鉢の水ためは、小手桶に一つの水にて、ぞろりとこぼるゝほどの大きさに切たるよし、と申なりと答えられし。」 …

南坊録に學ぶ2 心の至る所−草の小座敷

本書での著者の学びは、そう大層なものではない。 読み解くのに力が必要、なんてものは茶道聖典とは言えないだろうから、学びの内容がフツーなのはまぁ当り前の話。 「宗易、或時、集雲庵にて茶物語ありしに、茶湯は臺子を根本とする事なれども、 (中略) 猶…

南坊録に學ぶ

中村直勝/星野書店/1954年。南坊録を愛する著者の「信じたい…でも…」みたいなアンビバな気持ちの詰まった一冊。 南坊録の由来、南坊宗啓とはどういう人か、立花実山がどう入手したのか。そういう基礎知識を一通り語った後、 南坊録の成立は、南坊録自らの語…