2013-05-01から1ヶ月間の記事一覧

6月の展覧会

そろそろ夏枯れに向かいますが、やっぱ北陸のレベルが高い…。 東京近郊 期間 タイトル 備考 出光美術館 -6/30 古祥瑞と染付 畠山記念館 -6/16 麗しの漆 静嘉堂文庫美術館 -7/15 せいかどう動物園 永青文庫 -6/23 細川三斎の茶 東北 本間美術館 -6/26 市中山…

やさしいお茶とお花入門3 茶の湯の歴史

子供向けの茶の湯の歴史。 抹茶をたててのむ茶の湯の習慣は、中国のものでした。 それを日本にもってきたのは、鎌倉時代の栄西というおぼうさんです。 (中略) また、ねむけざましにもなるといわれ、僧侶を中心に広まっていきました。 ここまでは割と普通かな…

やさしいお茶とお花入門2 茶の湯ってなあに

茶の湯ってなあにいまの茶の湯のもとである「わび茶」を完成した千利休は茶の湯について「ただ湯をわかし、茶をたてて飲むばかりなるものと知るべし」とか「冬は暖かく、夏は涼しく」などと、いっています。 このように茶の湯はとくべつのものではありません…

やさしいお茶とお花入門

中村信子/小学館/1986年。 小学館ミニレディー百科シリーズの一冊。子供向けの本には子供向けの本なりの真実が有る、と思って読んでいる。中村信子さんは表千家茶道教授&古流いけばな教授。 この本では、お茶は表千家を基本に構成しました。 って事で、よく…

鹿児島鮨

田中式豚肉調理二百種/田中宏/博文館/1913年。大正2年に博士の書いた豚肉料理の本…だが、豚肉料理は今回関係なし。 巻末に載っていた鹿児島鮨、別名「酒鮨」を作ってみた。どういうのかというと: 全体鹿兒島鮨は一種特別の鮨でありまして春季梅、桃、櫻の時…

家元ものがたり3 千家の諸流

で、千家の話。 茶道の流派では、千家の流れが家元制度をつくってゆくのであるが、この流派でも石州流などと同じようなあり方をして、武家の社会あるいはそれに近いところで完全相伝が行われていた時代には、庸軒流・普斎流、宗偏流というように、同様の分流…

家元ものがたり2 家元制度と武家社会

家元制度は広くから上がりを取り、教授陣に富と権威を分配するような仕組みである。つまり: いまも述べたように、家元制度が成立するためには、一代相伝・名取制度が成立したことが必須の条件であるが、このことはそこに非常に多数の弟子ができたこと、つま…

家元ものがたり

西山松之助/秀英出版/1971年。「家元制度」ではよく言われる完全相伝制と不完全相伝制の話が語られる。家元制度の特徴は以下の通り。 一 家元があらゆる一切の免許権を独占している。 二 右のような性格から、家元の直弟子・孫弟子・又孫弟子ができて、いわ…

淡路屋舟

野村美術館にある淡路屋舟の花入。今井宗薫から伊達正宗宛の添え状が付いていて、「南坊ト申老僧所持仕候」と南坊宗啓の実在を示す資料となっているという。この書状の真贋が判定されているかどうかは知らない。 しかし、もし真だった場合、疑問が出る。 淡…

川上不白 茶中茶外12 起こし絵

本書にはうれしい付録が付いている。不白 三畳中板待合付 起こし図、である。茶室の襖一枚隔てた隣に待合があり、襖は貴人口も兼ねる。 頭のいい構造である。解説に言う。 この席を現代から見ると、光線が少ないのが欠点である。 確かに。 左右は壁と襖。点…

川上不白 茶中茶外10 不白筆記 まとめ

不白筆記は、不白から卒啄斎へ送る書として書かれた、という。 だから「幼い卒啄斎に贈った通信教育参考書」と独り合点していたのだが…。巻末年表に言う。 (五十六才) 安永三年(一七七四) ○十一月 卒啄斎に贈る書<不白筆記>を著す。 1744年生まれの卒啄斎…

川上不白 茶中茶外9 一閑張

一閑張ハ唐人也。飛来一閑といふ。 宗旦時代、宗旦用之。妙見寺前のひきき町に住す。 宗旦殊の外誉申候。 墨跡等有之惣体此風よし。 美しきハ一閑の用なし。 「美しきは一閑の用なし」とは良く言ったものだ。 「飛来一閑といふ」等と伝聞型式なのは、この時…

川上不白 茶中茶外8 独楽庵

一、どうらく庵ハ、元は独楽庵なり。 是ハ大阪に有紹鴎の座敷也。 二畳にして二方ハ壁、又二方ハ障子也。 角一ツ塗廻し内柱三本ハ見せ、一本の柱特外大木也。此柱ハ長栖の橋柱の由、屋根四方へおろし、棟に摺鉢を臥たり。 ここでいう独楽庵は、現在は以下の…

川上不白 茶中茶外7 朝顔の茶の湯

「香の茶の湯」の記述が、茶話指月集→不白筆記の間に変容した、という話を昨日書いたが、朝顔の茶の湯も同様。不白筆記; 一、朝顔の茶の湯。是も利休なされ候。 客は紹巴、道喜となり。 紹巴ハ利休の連歌の師也。 折節路次に朝顔見事に咲、依て約束致候茶也…

川上不白 茶中茶外6 香の茶の湯

香の茶の湯といふハ、是は利休の茶にて候。 客は志野宗匠也。 雪の時の由、利迎に出る時、香を焚持参して客へ渡し申候。 折節、客も香炉持参して香を焚直に取替利へ渡す。 利休是をきゝ数寄屋床へ飾置。 客香炉持入て、床の香炉をおろし主の香炉を床へ飾申候…

川上不白 茶中茶外5 不白筆記

不白筆記は、4年間のマンツーマントレーニングを終えた卒啄斎へ、江戸の不白が送りつけた茶の湯の書とされている。しかし本当なんだろうか? 一、朝の茶之湯、飯後路次、昼の茶之湯同前 一、跡見ハ客の跡を其侭にて煙草盆を出し置也。水を打改むる事ハ時節に…

川上不白 茶中茶外4 如心斎の死

如心斎の死により、不白は卒*1啄斎を養育する事になる。 宝暦元年(一七五一)不白三十三才。 (中略) この時、後を継ぐべき長子与太郎、号宗員(のちの卒啄斎)は僅かに八才。 (中略) 法要をすましたその日から、卒啄斎の薫育の特訓を重ね、留まること実に四年。…

川上不白 茶中茶外3 千家茶西東

川上不白の若い頃のお話。 京に如心斎、江戸に不白とは、その業績を讃えて後世の史家が並び称したのである。 (中略) さて、不白、二十六の年を迎えた。 (中略) 師を離れ、一門を構えようと出かけたのが大阪である。 (中略) 一向に訪れる人がない。そこで大阪…

川上不白 茶中茶外2 表千家不白流

本書には宗順派復興への道。 つまり秋本宗意がんばる、な物語も収録されている。宗順派は明治時代、近代数寄者の庇護の元?ブイブイ言わしていたが昭和6年頃、五代家元素蓮の死の後、婿養子の川上健が家元継承を嫌い行方不明になってしまった。 家元の消息は…

川上不白 茶中茶外

寺本界雄/「川上不白 茶中茶外」刊行委員会/1975年。半分は不白の伝記。半分は不白筆記。不白マニアには堪えられない内容。いるのかしらんけど。 発行元からして自費出版だと思うのだが、どういう立場で書かれたのか不明。 途中にある「不白の伝流」によると…

畠山記念館 麗しの漆

蒔絵と螺鈿をテーマにした展示。 …なので真塗手桶形水指の出番は無し。ちょー残念。では肝心の漆器の展示。…「綺麗でした」としか。もうちょっと解説がんばって欲しかった。 どういう技法なのか?文様の意味は?保存状態や蒔絵の摩耗はどうなっているのか?…

藤田登太郎 茶陶展

畠山記念館の茶室を使って行われる藤田先生の茶陶展。一年半ぶり。今回はむしろ志野以外も充実。 チャーミングな瀬戸黒茶碗「云辺寺」。堂々たる井戸茶碗「立花」。この辺が二十代の頃の作品って…凄過ぎる。 志野で気になったのは「おほやしま」。 荒々しい…

寄付

ある日の東京、市ヶ谷台。裏千家今日庵東京道場。この場所は、いつも早朝から着物の女性達が闊歩している。普通のお稽古にしては早朝過ぎる気がするので、多分、研修か茶事か。清昌堂やましたも、朝から客が来るのに備えオープンしている。 さて、この日やっ…

馬蝗絆

茶の湯文化学会の会報No.75に、馬蝗絆の「馬蝗」の意味について書いてあり、興味深く読んだ。ここから読める: http://www.chanoyu-gakkai.jp/magazine/ 馬蝗は馬の様に大きい蝗のこと…と聞いていた自分としては眼から鱗。 往時の日本だと大きいものには「熊…

永青文庫 細川三斎の茶

利休大好きっ子、細川三斎ゆかりの茶。入口にはWW2の戦災から掘り出した阿弥陀堂釜がお出迎え。 天明平釜「荒磯」が目を引くが、私の気に入りは四方釜「とまや」。 太鼓胴の四方釜ってはモダンで素敵。三斎作竹二重切花入。利休形。利休が好きで好きでたまら…

茶道聖典15 利休の伝書に関して

本書にはこのあと、利休百首とかいろいろ載っているが、まぁそれは省略。 本書にはいろんな利休作伝書が収録されている。毛色の違うのもあるけれど、おおまかにはこんな奴が多い。 内容は野村宗覺宛の伝書の引き写し。 奥書は天正十五年か天正九年中心。 天…

茶道聖典14 茶湯百箇條目録と多田宗玄傳利休百箇條

茶道四祖伝書にも収録されている茶湯百箇條目録。 実際には72ヶ条である。 懸物かけ候儀、第一すぐ(直)に。同く掛けひずみ候を、何れの床にても軸先を下げ申すべく候。 正直つまらない。そりゃ掛軸はまっすぐだろうがよ。 ほかも「座敷の出入りは静かに」み…

茶道聖典13 惟新様(島津義弘)より利休へ御尋之條書

島津義弘が利休に尋ねた事に対し、利休が解答を追記して返答した書。 鹿児島県立図書館蔵。島津家に保存されていたのならかなり本当臭いのだが、なぜか琉球王家周辺に伝来したものらしい。私には裏が取れないのでまずはそこには拘らない事とする。作成された…

茶道聖典12 松江宗徳宛の傳書

島津家伝来の表題の書と、元禄十五年版の「茶之湯六宗匠傳記」に収録された版の両方が併記されている。冒頭の 一、盆立當代通法の大躰は茶入を右にて取上ゲ、まへにあるごとく袋さばきをして茶入ヲ出、下ニをき、ふくさ物を取出、盆をふくさ物ながら右ニテ取…

茶道聖典11 臺子の傳書

徳島、一新宗紫氏蔵の伝書。 先づ茶筅を置き、勝手に持出してなほし置き、扨上の天目を持ち、かりに長盆の外に置きて、茶入を長盆の眞中へなほし、兩の手にて下へおろし、その次に天目、臺を持ちおろし、長盆の脇につけ置き、扨茶入も前へおろし、長盆をふく…