2016-01-01から1年間の記事一覧

数寄屋図解事典9

げっかでん(月華殿)横浜三渓園内にある書院式数寄屋。 もと伏見城内に織田有楽が造営したものと伝え、元和6年(1620)伏見城取毀しの際同有楽好みの席九窓亭とともに宇治の茶商上林三入に与えられ、後上林家から三室戸金蔵院へ寄付したものである。 (略) こっ…

数寄屋図解事典8

くさりのま(鎖の間) 鎖の間は「不白筆記」によれば、客来の時料理をするところで、数寄屋を建て次に水遣、鎖の間を建て、この鎖の間には長囲炉裏をつけたのがよいと示されている。 「雍州府志」にも千利休の宅には鎖の間を設けてあって、炉の上に鉄の鎖に釣…

数寄屋図解事典7

きがねのちゃしつ(黄金の茶室) (略) ずっと「おうごんのちゃしつ」だと思っていたわ。 きはくけん(既白軒)京都妙心寺塔頭桂春院にある茶席で、藤村庸軒の好みと伝え、席は三畳敷で中柱を立てた台目切とし、この席のできた頃は妙心寺では参禅第一主義で喫茶の…

1月の展覧会

年末年始の茶道具ありそう美術館はこんな感じ。 美術館名 12/29 12/30 12/31 1/1 1/2 1/3 東京国立博物館 × × × × ○ ○ 東京国立近代美術館工芸館 × × × × ○ ○ サンリツ服部美術館 × × × × × ○ 京都国立近代美術館 × × × × × ○ 田部美術館 × × × × ○ ○ 北九州…

数寄屋図解事典6

かいしょ(会所) 鎌倉時代初期の武家造に付随した建物の一つで、重層よりなり階下を客殿とし、階上を喫茶亭といわれ、この邸で連歌や闘茶を行ったのである。 (略) 会所のイメージは平屋で、当然一階で闘茶をしていた、と思っていた。 でも二階だったのね。 こ…

数寄屋図解事典5

おおざきえんのすきや(大崎園の数寄屋) 松平不昧侯が晩年静かに茶禅一味の境涯に入るため、江戸品川御殿山2万1千9百坪の高台に幽邃な林泉をめぐらし、大小種々の茶屋、数寄屋を11か所設けて大崎園と名づけられた。 (略) この大規模な名園も嘉永の頃黒船襲来…

数寄屋図解事典4

えいかんにしかもさんそうのおちゃや(恵観西賀茂山荘御茶屋)この建物はもと京都西賀茂川にあったもので、現在は鎌倉市浄明寺山田宗囲邸内に移築し宗徧流東京道場となっている。 (略) つまり、 http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20160902 の茶室である。京…

数寄屋図解事典3

うすのおちゃや (臼の御茶屋) 福井市宝永町のもと松平家内養浩館に付属してあった御茶屋で、山田宗徧の指図と伝えられ、この露地に臼形の蹲踞を構えてあった。 席は八畳と次の間は十二畳の座敷に四畳半の待合をつけたもので、主室八畳の天井は水玉の鳥の子紙…

数寄屋図解事典2

あいのま(相の間) 構 Tween-room 主なる二つの座敷(広間)などの間に配された小室で、両座敷に対する次の間であり、書院式の数寄屋では控間にもなるところで、普通八畳の座敷と六畳の座敷の間には四畳くらいの相の間を配することが適当とされている。 本書の…

第4の曜変天目

一日経って、中島誠之助の評価が、すとんと納得できた。んで、東洋陶磁のキュレーターが文句をつけて炎上中。それも納得できる。なぜならこの二者の評価は別の軸で行われているからだ。「鑑定団」の評価軸は、「その道具をその値段で買い取れば俺等道具屋は…

開運なんでも鑑定団 曜変天目

三好家の子孫が持っていたという曜変天目。本ブログならチェックせずにはいられない。ということで、視聴前の予想から。 →視聴前。三好家の子孫であれば、三好笑岩の系譜ではなかろうか。もし三好氏が手に入れていて、笑岩は一角の茶人である。使わないわけ…

数寄屋図解事典

北尾春道編/彰国社/1980年。初版は1959年。「床の間の構成」の著者が編纂した数寄屋の事典。最近数寄屋づいてるので、事典でも読んで勉強しようと思う。んで、ページをめくると、数寄屋の平面図と側面図の例。本書では「数寄屋づくりの一般家屋」ではなく、…

床の間の構成 装飾編12

以上述べた豪壮な床飾も亦瀟洒なる装飾法も、結局我國建築上に特異な發達を遂げた茶道より來る茶室建築によつて顕はれたとも言ひ得るのである。 即ち各種の床飾の形式もその過半は皆茶人の創作によつて成り、今日まで洗練され發達したものであつて、茶趣味の…

床の間の構成 装飾編11

我國住宅建築のもつ特異な誇りとする床の間の装飾は、日本住宅の室内装飾のすべてであるともいひ得るのである。 簡單な架構と材料の諧調とによつて構成されたわが床の間の装飾は、あまりにもその外装は單純のようではあるが、平安朝の寝殿造りより日本化して…

床の間の構成 装飾編10

床の間の装飾に、その家庭趣味や個人趣味が織込まれて、その構成する各種の装飾器具や什器等も、あらゆる趣味的立場より装飾の内容や形式をあらはすものである。 もとより装飾の根源をなすものは趣味であり、趣味によつて装飾が構成されるものであるが、床の…

藤田登太郎の窯焚き

有楽町の東京交通会館B1F ゴールドサロンで開催されている茶陶展。いつもの畠山記念館と違い、長机での展示である。 明るさも比較にならない。おかげで志野茶碗もいつもと違った表情を見せてくれる。 白く手取り軽い「雪舟」は、可憐で軽快で、暗い茶室だと…

床の間の構成 装飾編9

床の間の置き物のいろいろの中で、茶道具文房具でないものを。 其他特殊の置物としては、採鑛家の趣味や嗜好として、よく金鑛、方解石、孔雀石等の自然鑛を飾ることもある。 盆石に関しては、室町時代まで遡れそうな古い趣味。 でも、これの置場は、床の間か…

床の間の構成 装飾編8

然しながら我國古來より傳ふる各種の装飾器物や什器をして、直ちにそれを我々の住宅建築に對し装飾的効果を擧げんと企てゝ見ても、それは餘りにもすべてに距離の遠いものである。 如何に光琳の六曲屏風が装飾的價値に富んでゐても、到底誰もがそれを眞似する…

床の間の構成 装飾編7

書道: 次いで江戸時代に入り古筆手鑑等を作つて、之を賞翫することが盛んになり、床の間の形式がます/\室内の装飾鑑賞の中心となるに及んで、他の繪畫、工藝の進展と共に能書家も出現した。 漆芸: 徳川期に入るに及んで、すべての工藝界の工匠は主に武家…

床の間の構成 装飾編6

彫刻について: 要するに我國の彫刻美術は上古より飛鳥時代、奈良時代、藤原時代、鎌倉時代までが主に佛教美術を取扱ひ、足利時代以後は肖像彫刻や能面彫刻が發達し、桃山時代に入つてはじめて装飾的な建築彫刻が盛んになり、徳川時代になつて純然たる装飾彫…

床の間の構成 装飾編5

室内装飾としての床の間の構成は、前記の架構美や材料美と共に、その床の間や棚や書院に對して添加する美術品によつて綜合的な美の構成と表現が成立する。 然しその添加する美術品なるものは高價な寶物的價値あるものによつてそれが装飾的價値を高められるの…

床の間の構成 装飾編4

床の間はもと押板や臺子を用ひ、三ツ具足や五具足を置いて佛畫を飾つた形式から發して今日の様な床の間が完成されたのである。 附書院は禪家の書院床から變化し、床脇の棚は平安朝時代の二階厨子棚から變化したものと傳へられてゐるが、これらの架構的徑路は…

床の間の構成 装飾編3

次にこれまでの床の間の装飾といへば、直ちに掛物の懸け方、生花の配置、或ひは香爐や卓の置き方、其他いろ/\の置物や装飾具の配置や按配を稱してゐた。 そしてそれらの装飾的器物の珍奇であり、高價であり、且つ稀有な逸品を陳列することを最も高級な装飾…

床の間の構成 装飾編2

然るに我國の住宅建築が明治以来歐米の文物に支配され、一時床の間廢止論が盛に出て違棚や書院迄も邪魔物扱にされ、單に來客本位の無用の装飾であるとか、不經濟な贅澤物として其廢止を稱へられた時代があつた。 明治維新から昭和8年の間に、床の間廃止論が…

床の間の構成 装飾編

北尾春道/洪洋社/1933年。昭和8年の床の間の本。タウトの来日した頃だが、著者は茶室の専門家であってモダニストというわけではない。その人が床の間…書院造りをどう評価していたか。緒論から。 我が日本住宅は遠く上代より幾千年の歴史を經て、今日の所謂住…

数寄屋の思考2

[読書]数寄屋の思考2ちょっと昔に読んだ本「数寄屋の思考」。 http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20100911「作られた桂離宮神話」を読んだおかげで、この本の序文がやっと読めるようになった。 数寄屋は、現在、私たちのまわりに、活きて、しかも変貌を遂げ…

黄瀬戸の謎

黄瀬戸は室町末期、お茶の盛んになりはじめた頃にほんの一瞬流通し、廃れた茶道具である。当時の作で茶陶として作られたもので伝世したのは1碗のみ。残りは向付の転用である。これはどういうことなんだろうか?黄瀬戸が転用するほど良いものであれば、茶人達…

けいこと日本人15

稽古事に免状はつきものです。 これは一部を宗家・職分家に免状料として納付するほか、伝授料・肴料・扇子料などが師匠個人の所得になり、とかく不労所得目当ての押し売りが問題になります。 (略) 免状そのものは「何を教えた」という証明書なので、それが完…

けいこと日本人14

近ごろの若い能楽師は、稽古や申合のときに「覚えてこようと思ったのですが、覚えられませんでした」と平気で言うようになりました。 (略) 甘えの世代が古典芸能会でも幅をきかせ始めました。 昔は「やる」ときめられたことは絶対にやらなければならないと思…

けいこと日本人13

二松学舎大学の言語表現講座では、(略)節の巧拙はほとんど評価しません。 しかし、姿勢・態度についてはきびしく採点します。 著者は上記の講座で能を教えたんだとか。 なるほど。芸を極めるのでなければ、姿勢や態度を整える方がよっぽど役に立つし、実践的…