2011-12-01から1ヶ月間の記事一覧

1月の展覧会

福井か石川を経由して名古屋へ抜けてぐるっと戻って来ると楽しそう。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 -1/28 三井家伝来 能面と能装束 茶道具有 畠山記念館 1/21-3/18 畠山即翁の茶会 光悦雪峯茶碗を中心に 根津美術館 1/7-2/12 百椿図 椿をめぐ…

濃茶の茶杓

昭和美術館には、宗旦茶杓「弱法師」がある。少し捻れて弱々しく、櫂先のあって無きが如くの細い茶杓である。 これって今思うと、薄茶には使えない茶杓だよね? こんなので計ったら、薄茶はお白湯になっちゃう。濃茶の茶入れからの廻し出しを大前提に、形式…

薄茶の泡

薄茶の点て様、と言えば、表千家はあまり泡立てず、裏千家は思いっきり泡を立てる、と言われています。 これは、正確にはちょっと違います。裏千家は思いっきり泡を立てる。他の流派はそこまで泡立てない…というのが正解。裏千家ほど泡を立てる流派はありま…

茶杓の分量

先生に、薄茶の味が濃すぎる、と注意を受けた。 お茶のお稽古は、点てた人が自服する機会は少ないし、飲んだ人もあまり文句は言わない。自分も、他の方の点てたお茶に、茶筅の破片が入っていたのを黙って飲んだ事がある。でもうちの先生は厳しい方なので、ず…

利休居士の茶道3 雪吹

雪吹について。 これは大小あつて、利休が或る時に棗の上と下の面を取つてこしらへ、之を大徳寺の春屋國師に見せて批判を乞ふた處が、大變この形が面白いと云ふ事で雪次と云ふ名を之に附せられたが、これは恐らくその自分にもあつた雪を入れる處の器物、雪次…

利休居士の茶道2 蜂の子

天正十一年正月十九日の朝に荒木道薫が一人で居士によばれてゐる。 この茶会、すごく有名なのだが、出典が良く判らない。 こういう事を調べようとすると、意外に難しいんだよね…。 その懐石は折敷が皆朱、椀は鉢の子、向がはちのこに鯛の酒浸しに、薄鹽、汁…

利休居士の茶道

千宗守/藝文書院/1943年。愈好斎の、利休に関する文章を中心に再録構成した本。 昔千家の家系図をまとめた事が有る。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20090320こういう事を書くとちょっとなんだが、武者小路千家は一番断絶した家系だ。それだけに、「千利…

一文字と上下

本紙の外を回る布が一文字。 その外が中廻し。 一番後ろの布が上下。呼び名としてはこうなっている。 一文字、という名は、真の行/行の行/草の行の、存在していてしかも四方をめぐらない状態を前提に名付けられている。 一文字が排されたら、名は成立しな…

半幢褙繪

茶道筌蹄にこうある。 幢褙…両脇ノ廣キヲ用ユ.併シ中ノ下ヲ廻シタルヨリ廣キハナシ 輪褙…縁ノ狭キヲ云。四分ヨリ掛物ニ應ジ縦テニ廣クスル 幢褙と輪褙の違いは、やはり柱の太さの違いの様だ。4分というと12mmくらいか。 湯山勇の「表具の話」にこうある。 …

裱褙・幢褙・輪褙

淡交社の茶道辞典の表具の項にこうある。 表具 (中略) 掛物の表装は次第に発達多様化し、裱褙(真)・幢褙(行)・輪褙(草)の三種に分類される。 裱褙は本尊表具などと称され(中略) 幢褙は座敷表具・大和表具などと称され(中略) 輪褙は茶掛表具とも称される。 こ…

表具の真行草×真行草

表具は真行草があって、さらにそれぞれに真行草があって、9種類の格があることになっている。 一文字 中廻し 上下 真の真 四方廻す 四方廻す 四方廻す 真の行 上下のみ 四方廻す 四方廻す 真の草 なし 四方廻す 四方廻す 行の真 四方廻す 四方廻す 上下に分…

麟閣その2

麟閣について、中村昌生が「茶の建築」で以下の様に書いているのを見つけた。 私は特に少庵らしい独創に基づいた表現をこの茶室の中から発見することができなかった。 また織部によって燕庵形式が成立されたのは慶長年代にはいってからのことであった。 その…

麟閣

会津若松市に麟閣という茶室がある。これも変型燕庵形式の茶室である。 鶴ヶ城公園の公式ページ: http://www.tsurugajo.com/rinkaku/index.htm 間取り的には少庵深三畳ではなく、明らかに燕庵形式。 公式ページによると、千利休の切腹後、蒲生氏郷に匿われ…

燕庵の明るさ

左から待庵二畳、燕庵形式三畳台目、紹鴎四畳半の、窓と照らされる範囲。燕庵が、圧倒的に窓が多くて明るい事が判る。 実はこの図以上に、待庵と紹鴎四畳半は採光に関する考え方が違っていた。 待庵は庇を深くし、紹鴎四畳半も北向きに作られ、どっちかって…

茶道具陰影

暗い部屋の自然光で、黒っぽい伊羅保と、黄色っぽい伊羅保を撮ってみた。本当は黒楽と青磁茶碗とで比較してみたかったが、どっちも所有せんので、伊羅保を代役に。 写真では思ったより明るく写っているが、やはり黒っぽい茶碗は、ディティールがいまいち把握…

八窓

「八窓」の名を持つ茶室は、基本的に燕庵形式かその変型である。 紹鴎四畳半。利休二畳あるいは一畳半。こういった室町/安土の茶室に比べ、江戸時代の燕庵形式は何故人気が出たのだろうか? 私の推測。一つは、適切な収容能力があること。燕庵三畳台目と利休…

茶室の遺構

「八窓」の名を持つ茶室に、以下の四つが有る。 名称 都道府県 所在地 作者 移築元 八窓庵 北海道 札幌市中島公園 伝小堀遠州 長浜八幡宮 八窓庵 奈良県 国立博物館 伝古田織部 興福寺 八窓席 京都府 南禅寺金地院 伝小堀遠州 八窓軒 京都府 曼殊院 ? …まぁ…

千家正流茶會初學抄4 茶碗持出の圖

茶碗を持ち出す時の恰好:こういうのわざわざ絵にするの珍しい。 …あれ?良く見ると左手で碗の底を持ち、右手は茶杓を持っている様に見える。これは斬新! これなら運び出しで茶杓が落ちる事がない。 これは不安定さのかけらもない。…俺、茶碗を持ち出すとき…

千家正流茶會初學抄3 喫飯の圖

明治20年代の表千家あるいは江戸千家の、膳の扱い。 先飯椀の蓋を仰向に膳の右に取り次に汁椀の蓋を同く手前に置き箸を取り汁を吸ひ後飯を喫へし 以前、明治16年「茶乃湯客能心得」でもほぼ同じ図だった。 http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20110620/ 飯椀…

千家正流茶會初學抄2 昔の茶の湯

昔の茶書でチェックすべきことは、当然、現代のお茶との違いである。 迎付: 客は水音を聞き一同待合を出で亭主案内の一禮を請け総禮す亭主の歸りを目送して待合に戻り暫時吸烟し但此間小用等を弁ずべし やはり昔は黙礼、という事ではなかったらしい。 食後に…

千家正流茶會初學抄

川向庵 田口宗口/1893年。明治の茶人が孫娘の為に書いた、茶の湯の入門書。 余弱年の頃より茶を嗜み不白宗匠の相傳を守り自ら間あれば晝夜を論せず厥道を修め殆と五十餘年一日の如し未た其蘊奥を極むる能ずと雖亦少しく解する所なきにあらず於茲明治十六年京…

ノブ

うちの下駄箱の把手を、左の物から、右のものに交換した。 そう、着物の袖がひっかかりにくい、シンプルなフォルムのものにしたのだ。開閉に若干力が要る様になってしまったが、背に腹はかえらんねー。実は左の把手、すでに私の袴の右の縫目をずたぼろにした…

茶席の禅語集5 一期一会

一期一会 (読)いちごいちえ (訓)めぐりあい、出合いの不思議と尊さ。一刹那の大切。 よく簡潔にまとめました…といいたいが、その後の原典引用がいけませんな。 『そもそも茶の交会は、一期一会といいて、幾たびおなじ主客と交会するも、今日の会に再びかえら…

茶席の禅語集4 野狐禅

野狐禅 (読)やこぜん。 (訓) 修行もしていないのに大いに悟ったかのようにしている人を野狐にたとえた言葉で、真の禅者か、茶人かを求める言葉。 「どうか掛物のお読み上げを」 「やこぜんと読みます。修行もしていないのに大いに悟ったかのようにしている人…

茶席の禅語集3 夢

夢 (読)む。ゆめ。 (訓)人生をゆめゆめ過すのでなく転じて真実なる求道精神への励み。未来への希望。束の間のはかなさを越して無念無心の尊い境地。 未来への希望…。「夢」の一字って、普通は追悼茶会の時にしか使わないんじゃないかなー。これ信じて「未来…

茶席の禅語集2 忘筌

忘筌 (読)ぼうせん (訓) 筌は「もんどり」の事、道具にばかり気を取られて魚を取ることを忘れた人。茶道の心を極めることをせず、作法や道具にばかり気を取られること。(大徳寺孤篷庵忘筌亭) つ、つっこみどころが多すぎて大変!まず、意味。「忘筌」は「得…

茶席の禅語集

後藤正慶堂/1980年?。てのひらに隠れる様なサイズのハンドブック。250の禅語を文字数毎にまとめ、その読みと、簡単な解説を書いたもの。一字の禅語から、十字以上の禅語まで幅広く収めている…のか?三字の項にこうある。 明歴々 (読) めいれきれき (訓) は…

でんせん

茶巾をくりくり四方捌き。「これは目を正す意味があるんだよな」ってな感じで力強く捌く。 “ビッ!”あれ?茶巾がちょっと長くなったぞ。 伝線かよ! …ちょっと力強すぎたみたい。でもよかったー。水屋で仕込むときでよかったー。 予備の茶巾を持っててよかっ…

大谷光瑞全集 8巻趣味篇3 兎毫蓋

猊下の講演の兎毫蓋に関する部分に、茶人に関するコメントがある。 それから正系はさう云ふ工合に來て居りまするが、此の宋の時に傍系の洵に面白いのがござんす。 是はお茶人さん非常に尊ばなければならぬもので、一向日本のお茶人さん知りませぬ。もう少し…

12月の展覧会

秋の展示も終わり。 年末の松屋銀座が楽しみ、かな。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 -1/28 三井家伝来 能面と能装束 ? 畠山記念館 -12/18 茶人 畠山即翁の美の世界 根津美術館 -12/25 中国の陶磁・漆・青銅 夜咄の茶 泉屋博古館分館 -12/11 数…