2015-11-01から1ヶ月間の記事一覧

12月の展覧会

秋展示終了。 多賀町のはちょっと気になりますね。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 -1/23 三井の伝世の至宝 畠山記念館 -12/13 桃山茶陶と「織部好み」 五島美術館 12/12-2/14 茶道具取合せ展 静嘉堂文庫美術館 -12/23 金銀の系譜 岡田美術館 -…

閑夜茶話6 利休七哲

井伊直弼バージョン利休七哲。 一 利休門人七哲千道安 利休嫡男。初め紹安と云ふ。眠翁と號す。 天正十五年没す。歳四十二、法名道微居士 このへんは「古今茶人系譜」の引き写しらしい。http://archive.wul.waseda.ac.jp/kosho/wo09/wo09_01689/wo09_01689.h…

閑夜茶話5 利休の子孫

利休嫡男は道安と云ふ。足疾あるを以て家を繼がず、細川三齋に仕へ、三百石を領す。 壺中爐談にある「蜂須賀氏にのがれて阿波にあり同所にて卒す」とは違う系譜。 肥後古流の一家に、古田氏の末裔がいるが、その辺と勘違いしたのだろうか? 少庵養子となりて…

閑夜茶話4 紹鴎のエピソードに見る利休

紹鴎のエピソードに出てくる利休は、落葉をわざと散らしたり、花入の耳を欠いたりする話が一般的である。直弼の紹介するソレは、ちょっとひと味違ったので紹介。 或時小さき水翻を持出で、濃茶を點られしに、鴎の心に不審ありつらん。 濃茶の跡に薄茶を九服…

閑夜茶話3 千利休

利休の生涯。 紹鴎は宗易が茶事に達したる由、信長公に薦めければ、則五百石を賜はりぬ。 元龜年中、宗易は正親町院の勅命に依て茶器七品を献ぜしが、兼て法印法眼にも相成べきとの事なれども、休之を願はず。居士號の望みありければ、此時勅命にて利休宗易…

閑夜茶話2 道統

井伊直弼の語る茶の湯の道統は以下の通り。 ●能阿彌──空 海──北向道陳──北向易庵──┐ ├─千利休居士宗易 ●珠 光─┬篠道耳──宗 悟──武野紹鴎──┘ └引 拙 壺中爐談で立花実山が語る系譜とちょっと違っている。 ●能阿彌──空海──北向道陳────┐ ├─利休宗易──南坊宗啓 …

閑夜茶話

井伊直弼著。種本は奥田正造発行非売品。1936年。 「茶湯一会集」が井伊直弼の茶の湯入門書であるとすれば、こちらはエピソード集。 一 六宗匠の事東山義政公 御師範 南都稱名寺 珠光 初村田茂吉、南都の住人、出家して稱名寺の中法林庵主となる。後京都眞珠…

天目台

抹茶法は鎌倉時代に宋より招来されたもの。そういう事になっている。台子、天目、天目台も、この時代に僧侶達が禅寺の什器として持ち帰ったもの。そういう事になっている。 だが、台子が宋でどういう風に使われたのかは、よくわからない。 椅子生活の中国で…

幻の茶室転合庵7 堀口捨己氏の「二つの転合庵」

この論争において、堀口捨己は以下の様な説をたてた。 小堀遠州の転合庵は伏見に造られた遠州晩年の茶室として、世に有名であるが、尚 此外に転合庵が別にあった。 それは江州小室の小堀邸にあるものである。 確かに別の茶室に同じ名前を付けちゃいけない理…

幻の茶室転合庵6 転合庵の論争

「伏見転合庵之記」は、小堀家の家伝書であるが、家伝書でしかない。つまり誰も知らない資料である。そこで: 私はこの転合庵茶室が、余りにも世間から誤解されているのを憂い、これを茶道界に紹介することは、多少なりとも斯界に卑益することになろうかと思…

幻の茶室転合庵5 東京上野・国立博物館庭園内の転合庵

以上述べた三つの転合庵は、いずれも古記録に残っているのみで、現存しないのであるが、次に述べる国立博物館の庭園中に、現在移築されている転合庵は、いろいろの意味で誠に興味深い。 以下のページに解説がある。 http://www.tnm.jp/modules/r_free_page/i…

幻の茶室転合庵4 桜山一有筆記に見える転合庵

桜山一有は、遠州の茶杓下削りとして有名な村田一斎の門下で、不二庵と号し、肥後細川家の茶道。享保十三年、八十三歳で没した。 「桜山一有筆記」は、彼が師より受けた茶事上の談話、自らの見聞記などを集めたものであるが、そのうち転合庵に関する記事が二…

幻の茶室転合庵3 松屋会記に見える転合庵

(略) すなわち、遠州の没する約半年前、正保三年八月二日の項に (略) 転合庵茶屋にて、御茶被下 (略) 長囲炉裏ニカネの輪置て (略) と見えている。 松屋会記に載っている転合庵は、長四畳二部屋に長囲炉裏の茶室である。長四畳が二つ並び、天井で区別される…

幻の茶室転合庵2 伏見転合庵

当家の古記録によると、伏見転合庵之記一 南向藁葺なり 一 上段五帖半 張天井 北に一間の付書院有り 畳より一尺二寸有り 書院障子二枚 (略) 一 次の間六寸五分下り 三帖台目也 台目先は板床也 初香炉など可置 (略) この茶室の特徴は、五畳半と三畳台目の間の…

幻の茶室転合庵

小堀宗通/村松書館/1980年。 今日遠州の茶室、庭園について、かなり研究が進められているが、遠州が晩年伏見に建てた転合庵の実体については、以前として謎につつまれている。 から始まる、転合庵の謎に迫ろう、とする本。ではどんな謎か? 今、その謎の焦点…

畠山記念館 桃山茶陶と「織部好み」

桃山趣味とはいえ、織部と志野だらけにしては、俗っぽすぎるかな…そういう配慮を感じる展示。主力はむしろ、備前や伊賀や高取かも。備前陶がずらりとならぶのはなかなか壮観。 備前茶杓はミュージアムスコープ必須。また、招来茶道具も桃山趣味の一部ではあ…

式正

お茶をしていると、きちんとした礼儀が必要になる局面がある。そういった場所では、ちゃんとフォーマルなものを使わなければならず、わずかでもカジュアルにドレスダウンしたものは全く使えない。 以前、「ハンズで売っているのし袋のほとんどが、ピンクやブ…

茶筅濯ぎ

昨日の続き。せっかくだから、濃茶後の茶筅↓もシェイクしてみた。 …案外だめだなぁ。考えてみれば、シェイクで取れるなら、水中で振るのでも取れる筈だもんなぁ。 無駄に全体濡らしただけか…

新しい茶巾の洗い方

茶巾を洗うのが苦手である。 つーか、ゆびさきでつまみ洗いしていると、汚れは取れずに破っちゃう事が多い。 だからといって力を入れないと、汚れが取れない。 以前、アサヒ玩具のママウォッシュを使うというのを考えた。 http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3…

山道

この時期のお稽古の茶杓の銘で、私は「山路」とか「深山路」とかを愛用している。なんで秋頃は深山路なの?というと、良く判らない。冬はともかく、春でも夏でも楽しそうな物だが…ピクニック感覚で。 私がこの茶杓の銘を使うのは、益田鈍翁が、団狸山に言っ…

不昧公と茶の湯5 隠し茶室

松江に関し、本書で知った知識。 例の天保十二年、水野忠邦による改革の砌のことで、公没後二十三年目だ。 此の改革は、時代逆行の失敗政策として悪名高いもので、極端に厳しかった。 茶も勿論規制され、茶室も取毀しになり、そこで隠し茶室が出来たが、その…

不昧公と茶の湯4 蒐集癖

不昧公が、せっせと茶道具を蒐めたのは、天下の名器が散佚するのを慨き、今のうちにこれを集めとり、永く世(子孫)に伝えようというので、単に自身の好みばかりでは無い、という説がある。 ということで、不昧の道具収集について。私は、不昧が道具を集めまく…

不昧公と茶の湯3 明治の雲州流

さて、明治初頭の松江の話。 明治維新による解放は、世の中を一変させた。 当初の混乱期がどんなものであったかは分らぬが、一応ある時期を経過し、多少安定をとりもどすにつれ、いろんな文化への志向も向いてきて、茶の湯なども行われる機運になる。 (略) …

不昧公と茶の湯2 茶の湯の視覚美

さて、利休の茶室の床の間─掛軸について考えてみるに、掛軸は利休の茶の湯の口伝中に「遠い物の第二」とよばれているという。 即ち茶道具の主役ではないのである。 なんてぶっちぎりっぷり。でもこれって烏鼠集あたりの話だと思うが、これを利休口伝というの…

不昧公と茶の湯

安部鶴造/今井書店/1960年。島根の新聞に連載された、不昧公に関するエッセー。なかなか鋭い指摘があり、面白い。 道具茶という言葉がある。 あまり好い意味を持たせられていない。 むしろ皮肉った言葉であることは、周知の通りであるが、移してもって、世間…

定時法と不定時法

お茶の世界では、二十四節気とかを引き合いに出す割りにあまり旧暦を大事にしない。わたしはもっと旧暦を大事にした方がいいと思っている。同時に不定時法も大事にした方がいいと思っている。 我々の定時報は、1日を24時間に等分したもの。不定時報は、まず1…

根津美術館 根津青山の秘宝

根津青山の、初陣茶会を一階で。 最後の茶会を二階で。つまり根津青山の一生を垣間見ることのできる、そんな展覧会。 根津青山のコレクションをまとめてみた感想は一つ。 「あ、広間の茶だ。つまんね」 であった。うん。趣味合わねぇ。 でも加賀光悦と、信楽…

茶筅を折る

うちの稽古場は、先生の方針で茶筅は持参である。 稽古場に置き茶筅すると、不衛生になるからである。 しかし、各自自分の茶筅を使うから衛生的である、とは言い切れない。何年も同じ茶筅を使っているのか、黒ずんでボロボロ、なんて人もいる。 茶筅は目だっ…

茶道規範81 茶道要録と茶話指月集

最後に。茶道要録が記されたのは元禄時代。 具体的には元禄4年。 元禄3年の茶道便蒙抄の1年後である。便蒙抄を出したら好評だったんで次!…みたいな理由で出されたんだろうか? 便蒙抄と要録の大きな違いは、便蒙抄がお点前の話に終始しているのに対し、要録…

茶道規範80 利休伝4 宗旦の相続

(略) 少庵(略)出京ノ時ハ本法寺前ノ町ニ屋敷ヲ求テ不審庵ヲ營ス 即チ宗旦相續シテ立リ 宗旦ガ事蹟世近キガ故ニ並テ人ノ知所ナリ 居士ノ書メ蔵主ト云者其節春屋國師ノ徒弟トシテ學ベリ 居士滅後其家闕所タリ 悉ク所持ノ重寶被召上是皆讒口ノ訴ト御聞分ノ後利…