2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

京都美術大観 茶室2 茶事

本書には茶事の流れも書かれている。 客は銅鑼の音を聞けば、直に蹲踞して無心に其音聲を聞き、其時の主の心境などを看破せなければならぬ。 餘韻全く絶えたる時、立つて再び腰を下ろし、各々便所などに赴き當座の用を終へ、やがて正客より以前の如く入席す…

京都美術大観 茶室

中野楚渓/東京文泉閣/1933年。戦前の、豪華茶室写真集。58の茶室が紹介されている。 それらが現在どうなっているかも含めてちょっと見てみようと思う。ところで、本書の冒頭には「略茶人系譜一覧」があるが、おおざっぱにすぎる。珠光の弟子の欄。 古市澄胤 …

6月の展覧会

會津八一記念博物館で富岡コレクションか。 これは観に行きたいね。土曜しかいけないけど。 東京近郊 期間 タイトル 備考 畠山記念館 -6/15 茶道美術の玉手箱 畠山記念館 6/12-15 藤田登太郎展 根津美術館 -7/6 カラフル 鳴神月の茶 Discovery Museum -6/15 …

茶道浦のとまや7 中立

例によって。 客方は鳴物の音を聞き初むる時主人にむかふ心持にて随分謹で合圖承るべし尤腰掛より腰をはづして承るべし 「腰掛に座ったままでいんな」とはあるけど「しゃがんで聞け」とは書いてないな。やっぱ戦後の習慣なんですかねぇ…。

茶道浦のとまや6 千鳥

本書での千鳥の盃の描写。 八寸持出たる時の御酌は亭主致すべし、 主は吸物の蓋を乞ひて八寸の上なる肴を進むべし 一順つぎ了らば主は燗鍋改めて上客の前に座し今一献と進む 此時上客よりは御盃致したき故御別盃御持出しなど言ふ主は別に用意仕らず其儘いた…

茶道浦のとまや5 前礼の前例

正午の茶の湯の手順から。 凡て茶の湯は時日を定め置人數誰々といふ事も約束し置くべし、 さて茶の湯にいよ/\招くとの案内状を亭主方より出す、 客は其一両日前に主方へ挨拶に行くべし之を前禮といふ 茶の湯には必ず前禮あるべきなり、 不得己用事あるとき…

茶道浦のとまや4 無用

本書に書かれている茶の湯の心得が非常に含蓄深い。 (一)主客とも妄にしやべること無用 (二)薄茶の時など話をして差支なき時にても閑話清談を主とすべし (三)他の茶の湯の批評たしなむべし (四)客は尋ぬべき事は機をはづさぬやうにすべし (五)客は其日の亭主…

茶道浦のとまや3 お点前

本書では利休百首のあと、 四疊半本勝手風爐初炭手前 四疊半逆勝手風爐初炭手前 中置初炭手前 透木扱の事 臺子長板類風爐炭手前 棚ある時の風爐炭手前 風呂臺目席本勝手風呂炭手前、同逆勝手風呂炭手前 四疊半本勝手風呂後炭手前 と来てから 四疊半本勝手風…

茶道浦のとまや2 利休

本書…すなわち明治の裏千家オフィシャルの考える利休の略歴。 利休ト號シ抛筌斎齋ト稱ス 初メハ納屋輿四郎泉州堺ノ人ナリ 織田信長ニ従ヒ千姓ヲ賜フ 明治の裏千家は、「千」を信長経由で朝廷から貰った姓だ、と言いはるつもりだったのだろうか? 堺の商人が…

茶道浦のとまや

千宗室(圓能斎)/福田錦松堂/1903年。毘尼薩台巌という坊さんが書いた序文が、売り込みすごいので全文のせる。 いにしへ茶實の、皇國に傳はりし後、茶儀の盛に起こりしは、中むかし足利氏の比なり、 繼ひて、織田豊臣徳川の諸氏も、をり/\、茶會を設けて、…

茶筅レビュー 茶筅師悠楊作蓬左

茶筅師悠楊作蓬左 中荒穂。春日のいとうや商店で購入。2600円。 穂先一本一本は同巾で均一。やや固めだが、濃茶用としては妥当。皮の削ぎも美しいし強度もなかなか。これは良いものですよ。

茶道早学5 中立

最後に例によって中立の仕方。 かくのごとくして手水鉢に水をさし後の迎へに出赴最初の如し 或は老人などドラ喚鐘にて迎ひしむ しらせに打ちならすなどあり 打やうはまへにしるす 客の後入も初入に替ることなし 客のうんこ座りは無し。亭主が懐石の最中に手…

茶道早学4 席入

席入りの仕方。 亭主(略)案内の黙禮し跡少し明け置て桶を持入数寄屋の潜り口手掛だけ明おくなり 客は案内の一礼請て暫し腰掛により吸煙し 上客次礼して圓座は尻のあたりの所を後ろの壁に立掛静に行き小便し 下水をつかひ清浄水の前に至りつくばひて右の手に…

茶道早学3 昼の茶事

晝 利休の時代までハ二食なり 巳の刻時分を晝飯といひ 今ノ十時ゴロ (日+甫)時を夕飯といふ 故に晝の茶の湯といへば巳の刻ごろを云 当時一日に三食なるが故 晝の茶の湯といふは午後のこととなりぬ 今ノ十二時ナリ 利休時代と明治初期では昼の茶の湯の時間が…

茶道早学2 以心斎

昔、「あれ?官休庵の以心斎(1830年生まれ)の父親が久田皓々斎(1819年死去)って無理じゃね?」ってことを書いた。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20090320 でもこの本に答えがあった。 千宗守 以心齋ト号ス 実ハ吸江齋ノ子 ちょっ。おにーちゃんなにやっ…

茶道早学

狩野宗朴/1883年。明治十六年の茶の湯本。最初は珠光から始まる茶人系図の説明。武野紹鴎の所が微妙にツッコミドコロ。 武野紹鴎 初名中村新五郎一閑居士ト号 父因幡守ハ武田伊豆守信光ノ後ナリ 世々東都ニ家ス 少シテ京師ニ上リ宗陳宗悟ノ二居士ニ就ク 又居…

抹茶がへばりつく話

自分用に点て出しでお茶を点てると、茶溜りによく抹茶がへばりついて残った。なんでだろう?と思って調べた。 点て出しの時のお茶の手順は以下の通り。1.お湯を入れて茶碗を温める 2.お湯を捨てる 3.抹茶を入れる。 4.お湯を入れる。 5.点てる。この時、こう…

ぐるっとパス2014

ぐるっとパス2014。大倉集古館が4年もの工事に入ったので大倉不参加。茶道具系美術館としては以下の通り。 館名 割引額 種 東京国立博物館 -100 割 三井記念美術館 -1000〜-1200 全 出光美術館 -200 割 泉屋博古館分館 -520 全 五島美術館 -1000〜-1200 全 …

なぜ家元茶杓に銘がいるのか

どこかにナントカ斎という家元が居て、百人の弟子がいるとする。彼は弟子に尊敬されていて皆が彼の茶杓を使いたがっている。あるいは、彼は弟子に尊敬されていなくとも、時代物でない茶杓の供給元は家元か坊主でないといけない、という不文律があるとする。…

茶会記における茶杓の扱い

江戸初期より前の茶会記には、わりと茶杓の記載が無い事が多い。 茶杓に銘を付ける習慣が無かった(と私が考える)頃ならば銘は当然なく、また、「○○作」と書いてない以上、わざわざ書くほどのことのない製作者の茶杓だったのだろうと私は考えている。 現代の…

茶杓の拝見

私は、お点前の最後に茶杓の銘を聞かないと、とても落ち着かない。 お稽古でも時間が無いときとか略するが、なんかがっかりする。 画龍点睛を欠く、とはこういう事なのだろう。 では、茶杓に銘を付ける、という習慣は一般にいつから行われる様になったのだろ…

江岑宗佐茶書21 寛文八年申ノ会ニ参覚

1668年の他会記。1650年代以前の他会記に比べ、顕著な特徴がある。 七月廿三日昼 ぬし道恵 宗五 紹春 宗也 一、 古岳ノ文 春屋奥書在之 釜 しんのかま 茶碗 かた手ひつミ 茶入 茶杓 不知 水指 いかやき 尺八 旦作 わずか二本であるものの、銘のある茶杓が出…

江岑宗佐茶書20 諸道具留書

1670年の江岑の道具書き。 昨日の記事の5年後である。同じく茶杓をひろってみた。 作者 銘とか 本数 利休 なし 3 宗旦 なし 6 宗拙 なし 1 江岑 なし 24 江岑 珠徳写 1 今日庵 なし 4 道安 なし 2 織部 なし 2 珠徳 なし 2 甫竹 なし 2 慶首座 なし 1 一閑斎…

江岑宗佐茶書19 諸道具控え

1659〜1665年の江岑の道具書き。 箱書きをした記録、とかだと思う。その中から、茶杓をひろってみた。 作者 本数 利休 8 象牙茶杓 利休/利休写し 2 少庵 4 宗旦 5 江岑 14 慶首座 2 珠徳 1 紹鴎 2 織部 3 三斎 1 昔茶杓 1 利休茶杓の2割が象牙なのがびっくり…

江岑宗佐茶書18 伝聞事 御意

一、休、一畳半致シ被申候、大甲(太閤)御意ニ不入故、二畳敷ニ致シ、路地之外ニかきして白壁ニシテ松植被申候、是も御意ニ不入なおし被申候、 又門ノ上ニかく(額)上被申候、是も御意ニ不入、おろし被申候、 其時より少ツゝ御意ニちかい被申候 利休は一畳台目…

江岑宗佐茶書17 伝聞事 炉の寸法

一、易二畳敷、いろり三寸ノいろり也、雲龍釜、五徳すへ、 つふばい斗ニ而四畳半ハつぶばいニみぢんまぜて 後半の灰の話はどうでもいいや。前半が問題。利休の二畳茶室は、囲炉裏の大きさ一尺三寸。雲龍釜に五徳を据えた、と言っている。 常々二畳隅炉に一尺…

笠間陶炎祭と益子陶器市

毎年行っている笠間陶炎祭。今回も益子陶器市とハシゴした。 笠間と益子は直線だと近いが電車は遠回り。しかも笠間駅と陶炎祭会場が離れていて電車で行くのがなかなか困難。前回はレンタカーでハシゴしたが今回はバス。本数は少ないが笠間と益子の間をバスが…

江岑宗佐茶書16 伝聞事 引き裂く

一、易、少、二条之屋敷ニ而茶之湯ニ被参候時、旦、迎ニ被参候、 小袖易き被申候時、気ニ不入三ツひきさき被申候、 いかやうまでぎんみ被申候、 散ゝ機嫌悪敷候、 扨テ少ヘ被参、色ゝ咄ニ而、後ノ炭いろりのむかいよりおき被申候、 輪炭一つ小キすミおき被申…

江岑宗佐茶書15 伝聞事 こぼす

これまた誰から聞いたことかは不明だが、利休のエピソードなども含むので結構面白い。 一、二畳敷之茶屋ニ而、大和大納言殿茶之湯ニ御出候、 尺八ノ花入掛候ヘハ、大納殿申請候ハんと被仰、 花入取被申候間、 易水こほし候へハ、大殿はつと被仰、御はなし候 …

江岑宗佐茶書14 江岑聞書 台子の風炉

一、当代之台子ノ風炉、釜取合、誤也、 其故ハ台子の内のり寸尺をかんかへて風炉釜を取合せされバ一円茶もたてにくし、 又火あい悪敷候、 台子の天井そり、うるし色もかわり、板ひゝきわるき物也、 風炉、釜ノ取合ヲかんかへて水指吟味セされハ、柄杓立、或…