2009-04-01から1ヶ月間の記事一覧

5月の展覧会

大松美術館は閉館していたのか…ちと残念。 http://www.risu.co.jp/group/ohmatsu_art/ 東京 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 -6/28 茶の湯の名品 五島美術館 -5/10 春の優品展 五島美術館 5/16-6/21 松浦家とオランダ残照 畠山記念館 -6/21 季節の書画と…

家元制は家元がヤな人だった時にはじめて問題になる

私は家元のいない茶道流派に身を置いている。実は家元がいないというのは、その分、師匠がぐっと絶対的な存在になるだけだったりもする。ま、会った事もないどっかの誰かが絶対的な存在であるよりは、目の前にいる師匠が絶対的な方が気楽といえば気楽だし、…

茶筅を湿す

私の朝は一服の濃茶から始まる。…空腹に濃茶は効くゼ。 実は濃茶では、いままで薄茶ではやらなかった事をやっている。湯を沸かしている間に、茶碗に水を張って、茶筅を湿らせる事だ。 薄茶ではいきなり茶筅通しからはじめてもさほど問題なかったが、濃茶では…

三井記念美術館 茶の湯の名品

入口から、見た事あるものが一杯。数えてみれば10回目の三井だ。そろそろ三井の名品も一巡見終っちゃったかな?とか思いつつ先へ進む。どんつきの「いつもの場所」に光悦の雨雲。いいんだけど、いいんだけど、あー、またキミか。的な感じでついつい進んでし…

学生の茶道

千宗室監修/淡交新社/1967年。学生茶道向けの茶の湯入門書。薄いのに大変に良くできている。まず章立て。 はじめに 基礎となる知識 茶道の歴史 茶庭と茶室 茶道具の常識 茶花(付花入) 点前解説 割稽古 客の心得 略盆点前 風炉薄茶点前 炉濃茶点前 付録:参…

茶杓の銘を用意する。

稽古の前に、茶杓の銘を準備する様になった。濃茶をする様になって、「茶杓の拝見」が手順に加わったから。 前にも書いたことあるけど、茶杓の銘は、目的と道具組と客との関係などを含む茶会の趣旨により設定されるもので、稽古の途中で即興的につけるのはど…

ぼくたちの総合芸術

茶道は総合芸術である。「お茶はなぜ女のものになったか」では、この言説に関して戦後の裏千家が展開したキャンペーンとしている。でも間違いじゃあるまいか。"茶の湯の手帳",伊藤左千夫では以下の様に言っている: 極めて複雑の趣味を綜合して、極めて淡泊…

随筆 茶

柳宗悦、古田紹欽他/春秋社/1957年。この二人が音頭を取ったであろうエッセイ集。当然、割と批判的な内容。でも玉石混淆…というか、正直、小林逸翁の文章以外は見るべき物はない。でも、逸翁は凄いぜ。かっとばしてます。「私が若しお茶の家元であつたならば…

扇子

帛紗のサイズが流儀によっていろいろだ、とか、誰がどんな大きさに定めたかとかいろいろ調べてて、関係ない事を思い付いた。茶道で使う扇子って、全然実用に向かない小さいサイズなわけだが、だれがいつ、こんな小さい扇子を定め、普及させたのだろう?…でも…

高橋箒庵の位置付け

某古書店のホームページで、「箒のあと」の在庫があるのを発見。 行ってみた。えらい堅い本を置いている店で、茶書らしきものほとんど見当たらず。 「高橋箒庵の『箒のあと』の在庫ありますか?」 店の人の記憶にもなく、在庫検索で調べてくれた。 「この分…

木村茶道美術館 茶道の鉄器展/茶入・茶器展/萌春茶席

木村茶道美術館は、二つの展示室と素敵呈茶の美術館である。 茶道の鉄器展。風炉や釜の展示である。 風炉だけでも何個持っとるんだ木村さんって感じの陳列だ。なかでも銅やつれ風炉が気に入った。めちゃめちゃやつれた破れ風炉。 大きな風炉なので端正で背の…

一翁宗守の謎

「へー、武者小路千家の一翁宗守って吉岡甚右衛門って名で塗師やってたんだ。宮本武蔵と戦った吉岡一門と関係あんのかな?あれもなんか手に職ある一族だよね。」この辺がスタートだった。最初の疑問に答えはすぐ出た。吉岡一門の家業は染物であった。塗師じ…

帛紗の形

帛紗を自分で縫う様になって、いまさらながら気付いた事がある。この前は27.5×28.5の形に作った。 茶道全集によると寸法は多くの流派で9寸×9寸5分(27.3×28.8)、だそうである。利休百首によれば九寸×八寸八分(27.3×26.7)である。大きさまちまちだなぁ。いや。…

藤田登太郎 茶陶展

志野って意外と見る機会は少ない。 ほれぼれする様なシロモノに会う機会はなおさら。 それを触らせて頂いて、口にさせて頂いて、先生のお話を聞ける。いかずばどうするよ。…ってことで今年も拝見に。さすがに過去2年来て傍若無人に振舞っているので、顔を覚…

主客一如 禅と茶 無からの発想

近藤道生、尾関宗園、尾関紹保著/金融財政事情研究会/1995年。禅茶録以来、禅と茶を結びつけた書物はあまた出ているわけですが、これは有る意味その極北かもしれません。そもそもタイトルがアレでして、 禅茶録なら「無賓主の茶」とか言うところです。主客一…

茶と禅は一味であるという。でも禅は難しい。いや、難しいっていうのは「勉強すればなんとかなる」ものの事だ。でも禅は齧れば齧っただけ、禅から遠ざかっていく気分だ。そもそも、公案解くのに出家して、俗世と縁切っちゃうのが禅ですよ。茶人含めて在家で…

くずし字字典

くずし字の字典、というものがある。私が持っているのは「古文書解読事典」。部首毎にいろいろな書体が整理されているもの。ついでに公文書館の使い方が書いてある。親切だ。東京大学史料編纂所がネットに公開してくれているのもありがたい。http://www.hi.u…

だが日本じゃぁ三番だ。

「一井戸ニ楽三唐津」…という言葉が有る。「一萩ニ楽三唐津」…というバリエーションもあるし、「一楽ニ萩三唐津」というのもある。唐津焼の中野陶痴さんは以下の様に言っている。 http://www6.ocn.ne.jp/~nakano-4/setsumei/content.html 「一楽ニ萩三唐津」…

美濃の陶片

加納陽治著、荒川豊蔵監修/徳間/1973年。説明不要、とばかりに並べられた陶片のモノクロ写真。数えてみると最初の120ページに340の器と陶片の写真。ここまで文章が一切無し。残り130ページくらいが発掘の経緯などである。後半は別に読まんでいいと思う。前半…

益田鈍翁をめぐる9人の数寄者たち

松田延夫/里文出版/2002年。9人とは、高橋箒庵、井上世外、赤星弥之助、朝吹柴庵、益田紅艶、馬越化生、益田非黙、石黒況翁、原三渓。 なんと言うか、評価に困る本である。 ぶっちゃけ「近代数寄者の茶の湯」熊倉功夫とごくごく似た書物だが、「近代〜」が…

濃茶の練り様

花見の時、私の濃茶の練り様のヌルさに見兼ねた妻が、濃茶練りの見本を見せてくれた。ぐりぐりがしゅがしゅ ぐりぐりがしゅがしゅ …ええっ!そんなオヤノカタキみたく練るの?!野点用の小茶碗とはいえ、こんなに力強く練ったら見込みに茶が広がりすぎるじゃ…

京王デパート 趣味の茶掛展

茶はそもそも趣味であって、そこで使う茶掛は「趣味の」以外なにものでもない。なのにわざわざ「趣味の」と書くからには:『あらかじめ予防線張っとりますんでよろしう怒らんといてや』ぐらいの意味合いで書いている筈だ。 どんなものだろう?と思って昨日、…

茶の湯の常識−利休伝書が語る

町田宗心著/光村推古書院/2008年。石州流の著者が「なぜお点前の時にこういう風にやるのか」を解き明かす。ちょっとややこしいのは、現代の千家と武家茶道を比較し、その上で源流を室町、桃山時代の茶書に求めると言う書き方かな。 私は武家茶道の側で、濃…

図書館

古本屋をいくら巡っても、ない本はない。あるにはあるが財布の紐が許してくれない場合もある。そんな時はもちろん図書館である。 大変便利な事に東京都の公共図書館蔵書は以下のページで全検索できる。http://metro.tokyo.opac.jp/ 23区限定でいくつか茶書を…

古本サーベイ

古本市等で古本を探す時、全ての本を一冊一冊確認することはしていない。そんな事したら時間がいくらあっても足りんもんね。だから、まず棚一段分を面で見ている。んで茶道に関係有りそうな文字列が意識に引っかかってきたら、そこを注目して一冊一冊モード…

茶杓をつくる

西山松之助/読売新聞社/1992年。「家元の研究」の西山松之助先生。茶杓マニアの様で「茶杓百選」とかの著作もある。「茶杓銘々伝」は…高原杓庵先生か。それはさておき。この本の前半は西山先生の茶杓作りハウツーの本である。 竹を探し 汚れを落し 櫂先を曲…

夜桜09

近所にちっちゃなちっちゃな穴場の公園がある。 桜が数本植えてあり、公園とその周囲の街灯が適切なライトアップになっている。んで今年、二回目の花見。椿も一緒に咲いている。…やっぱ桜はハイビスカスとかヤシの木が一緒にない方がいいやな。 お菓子は自作…

茶室の火災

白沙村荘橋本関雪記念館。京都に行く時、行き先候補に一応はいれるけど、「でも奥さんの手捻り楽茶碗見てもなー」とか思って行かない場所。 3/30夜に茶室群が焼けてしまった。http://hakusasonso.kyo2.jp/によると 茶室 倚翠亭は全焼、天井も火と放水により…

点前の記法

私はお点前の手順をノートにしています。稽古場でメモを取る事はしませんが、帰ってから実際に道具を動かし、思い出しながら書いています。基本的にイラスト混じりの手順書でStep by Stepで記述をしています。でもStep by Step式の欠点として、いつ帛紗を付…

濃茶の練り様

薄茶には泡点てまくりの裏千家から、半月に茶を見せる表千家まで、いろんな点て方の幅がある。うちの流派は両者のまんなかくらい。個人的には茶の味が良く判るのは表千家の点て方だと思っている。昔ふくやま美術館で頂いた表千家青年会の呈茶のお茶は本当に…