2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

7月の展覧会

7月は夏枯れ…の筈なんだけど、中部北陸と中国九州ゾーンがそれなりに賑やかだなぁ。行けないとは思いますが。 東京 期間 タイトル 備考 五島美術館 -8/8 陶芸の美 日本・中国・朝鮮展 畠山記念館 7/31-9/20 涼を愉しむ 書画・茶器・懐石道具 目黒美術館 -7/1…

柄杓を飾る

「はい、そこで柄杓を卓の上へ」????「蓋置を脇へ飾り置きます」 私もいろんなお点前を教えてもらって、大変充実した日々を送っております。ついに柄杓を卓の上に置く、というのを教えてもらったわけです。が。 意味わかんねー。柄杓なんぞ飾っていった…

箒のあと 二百七十八 中京の茶風一變

大正癸亥の大震火災は、啻に羅災地のみならず、遥に隔たりたる名古屋、即ち中京の茶界にまで思ひ寄らざる影響を及ぼした。 其次第は、今や茶道の第一人者と言はれている益田鈍翁が震災直後家族の一部を引き具して、暫時中京に避難して居た際、同地方の數寄者…

箒のあと 二百七十六 大震火災と名器

関東大震災の時、箒庵は伊香保に避暑に行っていて難を避けれたとの事。んで、鉄道も不通になったのでやきもきしながら待ったらしい。なにをやきもきしたかというと、 名器所蔵者の類燒は、最も私の神經を刺戟し、縦令燒けたりとて、其寶蔵は無事なるべし、よ…

箒のあと 二百七十一 アインシユタイン博士の來庵

大正十一年十一月二十九日午前十時、アインシユタイン博士が、茶式見學の爲、夫人同道で、我が伽藍洞一木庵を訪はれたのは、本庵に取りて誠に光榮の至りであつた。 改造社の招聘で来日中のアインシュタインが日本文化に興味を示したので、福沢三八(諭吉の三…

箒のあと 百八十一 脱線黨の第一人者

紅艶の笑い話。寝台車両でトイレ行くのがめんどくさくて水枕に放尿、でも座って破裂させてしまう、なんて話もあったりするが、ここは別の話を紹介。 紅艶が平常近善方に來りて、目星しき道具を買取るや、紙片に其道具の圖を描き、傍に其代価價を付記して傳票…

箒のあと 百十五 茶人失敗談3

掛物の売り損ない、の話。話の起承転結がいまいち散漫なので、なにがし庵にて編集。 益田紅艶は、自らの経営する「多聞店」で手に入れた一幅の掛物を、大阪の道具商、谷松屋戸田露朝に売ろうと狙っていた。どういう掛物なのかというと、不昧公が他の大名に谷…

箒のあと 百十三 茶人失敗談1

感服七種。 有名な話ではあるが、やっぱりこれについては語っておきたい。 茶人は人の前で物を褒めて、陰に廻つて惡く云ふと、相場が極まつて居るやうだが、何人でも褒められて喜ばぬ者はないから、茶客として第一の心得は、物に感服する事であるが、其感服…

箒のあと 七十九 紅艶の暹羅土産

往時日本に傳來した南洋産道具中に、茶人が宋胡録と稱せし者あり、土味粗鬆にして、鼠色地に黒釉の粗雑なる模様ある焼物であるが、従来其産地が判らなかつたのを今回紅艶が暹羅にて調査の結果、同地にスンコローと云へる地名あり、近來此地の古陶窯趾より、…

箒のあと 五十九 最初の茶室入り

私は明治二十五年の十二月下旬の或る日、益田克徳(非默又は無爲庵と號す)氏に招かれて、生來初めての茶室入りを爲した。 “我楽多籠”によると箒庵が茶を習ったのは奥さんの師匠から。箒庵が結婚したのは明治二十四年四月。修行2年行かないくらいの茶歴でお茶…

箒のあと

高橋義雄/秋豊園出版/1936年。普及版。 箒庵の自伝みたいに言われる事があるが、実際には新聞連載のエッセイ集。確かに自伝的部分もある。しかも幼少の頃から話が入るのでなおさら自伝っぽく思えなくもない。でも、話はあっちゃいったりこっちゃいったりする…

馬蝗絆の由緒

馬蝗絆がなぜその名で呼ばれるのか、は、今更説明の必要もないだろう。だが、その由緒は本当だろうか? 東京国立博物館 特別展「茶の美術」のパンフにはこうある。 享保十二年(一七二七)に漢学者伊藤東涯が「馬蝗絆茶甌記」を書いてこの茶碗に添えているが、…

白崎秀雄

「鈍翁 益田孝」「三渓 原富太郎」を読むと、白崎秀雄、すげえな、と素直に思える。 多くの「近代数寄者」ものの書物は、高橋箒庵の著作+野崎幻庵の著作+αの引用で書かれているのに対し、白崎秀雄はちゃーんと取材してるからである。 恭平の孫恭一がはるか…

原三渓における遠州観

三渓は、自分のノートに以下の一文を残していたという。 彼レノ普請奉行ニシテ美術ノ総番頭タル小堀遠州ハ小慧細巧ノ俗吏ニシテ、雄麗ヲ去テ繊巧ヲ喜ビ、渾厚ヲ斥ケテ細慧ヲ弄ビ、遂ニ日光廟ノ建築、如此キモノアルニ至ラシメタリ 二荒ノ深山大沢ヲ背景トス…

三渓 原富太郎

白崎秀雄/新潮社/1988年。「鈍翁 益田孝」を読んだら、とっても読みたくなった。だから読んだ。 横浜。京都に住んでた頃の私は、横浜と横須賀の区別もつかなかった。 この二つがセットで記憶されるのは宇崎竜童のせいだろう。んで、私の中の横浜には、いまだ…

スーツ&ネクタイ

この時期のお茶席には、スーツ&ネクタイスタイルで参加。 なんでか?夏〜秋シーズンの着物を持っていないから、である。 なんで持ってないか?もちろん、お茶のオフシーズンの着物買うのがどーにももったいないから。いずれ夏シーズンにお点前さんしなきゃ…

東京茶道会掛釜 雑感

護国寺の東京茶道会掛釜に行った。 6流派掛釜で5000円。10時〜15時半。ちょっと遅れてついたので、とりあえず堀内議司男さんの遠州流、あと有楽流くらい見れればいいな、とか思った。 遠州流の不昧軒に並ぶ。 行列動かず。行列動かず。行列動かず。 …1時間半…

スーパーゲル続報

厚さ5mmのスーパーゲル。 足の甲にフィットする形に切って、足袋履く時に忍ばせました。うふふ。先生方も、気付いていない御様子。ご挨拶してーの、他人の薄茶点前みてーの、の後で、自分の薄茶点前。 あれ? あれれ? お茶をお出しするあたりで足の甲に激痛…

日本の伝統

岡本太郎/光文社/1956年僕等の世代だと、岡本太郎は「芸術は、爆発だ!」とかしか言えない言語障害系の人。 関西人だと、エキスポランドの行き帰りに見る太陽の塔の人。 今だと根津美術館帰りに寄るa piece of cake?それはちょっと違うか。 でも、この本は…

マーフィーの法則

マーフィーの法則、ってのがある。 いまさら解説はしないけど。 「トーストがバターを塗った面を下にして着地する確率は、カーペットの値段に比例する」なんて、大事に至る方が無事に終る方より印象がつよいから、「値段に比例する」なんだろーなーとか思う…

山上宗二記入門

神津朝夫/角川学芸出版/2007年。著者が読んでそうだけど、なにがし庵は退かぬ、媚びぬ、省みぬーぅ! 本書は「山上宗二記」を翻刻レベルから見直し、詳細な詳細な注を付けたもの。非常におもしろかった。重箱の穴をつつくか、まだ不詳の部分をなんとかして調…

泉屋博古館分館 住友コレクションの茶道具

07年の「付属品とともに楽しむ」以来。 前回は仕覆や箱が非常に良かった。んで、今回も仕覆や箱があってくれて大変嬉しい。 唐物文琳茶入 若草。 仕覆、挽家、挽家袋、添袋箱、添軸箱などいろいろ展示されていてうれしい。 でも添軸自体の展示が無かった。こ…

目黒美術館 紅心 小堀宗慶展

区立美術館なのに1000円の入場料だったせいか、UYTREWQ。 なんだかのんびり見れました。さて、実は展示のほとんどはご先代の作品および好み物。名物は展示室一個分だけ。でもこれがすごいんだ。なので、まずはご先代の作品を見ましょう。逆順に見るのはあん…

ミュージアムスコープ

最近、美術館巡りに単眼鏡を持ち込む様になった。 ギャラリースコープあるいはミュージアムスコープという奴である。これは望遠鏡なんだけど、目の前30センチとか、50センチとかにピントが合わせられる。 なので、展示物をぐぐっと拡大した状態で見れるのだ…

わかりやすい茶の湯の文化

谷晃/淡交社/2005年。 この本はハイデルベルグ大学での講義ノートを整理して出版したもの。 初心者向けの本ってことになっている。 文章としては、パワーポイント資料そのままの章立て。 よくまとまってる、よくまとまってるんじゃないか、と思うんだ。でも…

茶会の楽しみ −茶室空間の工夫と演出−

三田富子/淡交社/2001年。 burieさんから頂いた本。頂いた本でもいろいろ書くよ〜。 いろんな趣向のお茶会の道具組+茶室が、美麗な写真と共に楽しめる本。 実際にこんないろいろなお茶事に参加するのは難しいので、疑似体験としていろいろ楽しい。また、道…

神、枝を這い、蝸牛、天にしろしめす

侘びの茶室は狭くて地味だ。 作るのは金持ちなのに。ヨーロッパの貴族の館と比べれば、金の掛かり方が全然違うよね、って感じだ。別にヨーロッパの貴族の館と比べなくとも、安土城や聚楽第、大阪城も同様に荘厳に作られていた。この荘厳な場を背負い、貴族は…

随筆茶道

井口海仙/1943年/平楽寺書店。私はどうも、井口海仙、という人が結構好きらしい。理屈好きだけど、戸田勝久先生ほどつきつめて考えない、「ま、いっか」的なちょっと考えが足りないトコに親近感がもてるから、かもしんない。さて、昭和18年に出版されたこの…

日本茶道史序説

西堀一三/河原書店/1937年。碩学、西堀先生による茶道史入門、みたいな本。今私が読むといささか古くさいが、若い頃この本読んで、その内容通りの事を未だに言っている老先生は結構おられるのでは、とか思う。それを考えると、熊倉さんで育った世代があと40…

静嘉堂文庫 武家文化の輝き 静嘉堂の古刀と工芸

岩崎さんちの刀の展示、と思って最終日に滑り込みで見に行ったら、刀&青磁で偲ぶ鎌倉時代、みたいな内容でした。 刀としては荒々しい鎌倉刀なので、室町の優美さはかけらもなく。 そんな中では古備前正恒太刀が良かった。 普通なら備前刀嫌いなのではあるの…