2015-01-01から1ヶ月間の記事一覧

茶式湖月抄

湖月老隱著/同盟書賈/1883年。明治十六年の茶書。湖月老隱が、「茶家酔古集」を書いた湖月老翁とどういう関係か不明。 本を書く様な茶人が若いわきゃない。なので30年後も生きていて本を書けたのだろうか? チャノハジマリ 茶原始上古茶といふうもの三種あり…

2月の展覧会

先月からの差分でいうと白河集古苑か。 寒い中そっち行くならば金沢方面の方が… 東京近郊 期間 タイトル 備考 サントリー美術館 -3/1 天才陶工 仁阿弥道八 畠山記念館 -3/15 THE琳派 根津美術館 -2/22 動物礼賛 新年の茶会 五島美術館 -2/5 茶道具取合せ展 …

琳派四百年記念祭

今年は琳派四百年記念祭だそうですわよ、奥さん。http://www.rimpa400.jp なぜ2015年が琳派四百年かというと、本阿弥光悦が鷹峯に領地を拜領したのが1615年の出来事だったことからだそうですよ。 …無理あるやろ。鷹峯への拜領=琳派の開始やないやろ? 琳派…

講座日本茶の湯全史34 おわりに

講座日本茶の湯全史(全3巻)は、茶の湯文化学会20周年記念出版物である。2013年時点の茶の湯の歴史研究をまとめたものである。 全3巻読み終えての感想。 この本は非常に「大寄せ茶会」に似た本であった。 それぞれの著者が、自分の得意分野の、いい感じのとこ…

講座日本茶の湯全史33 茶の思想2

最初に岡倉天心の『茶の本 The Book of Tea』(一九〇六)をとりあげる (略) 岡倉は『茶の本』の最初の部分で、茶の湯を「不完全の賛美 a worship of the Imperfect」(二一九頁)という言葉で性格づけている。 「茶の本」の中身を評論してもしかたないのだが…。…

講座日本茶の湯全史32 茶の思想

美濃部仁著。 茶の湯とは何か、あるいは何であるべきか、ということが茶の湯においてはつねに問われてきた。 この問いは、茶の湯そのものの重要な一部分をなしているといえる。 もし茶の湯とは何かを問うことなく茶を飲むならば、それは茶の湯ではない、とも…

講座日本茶の湯全史31 女性の社会進出とお茶

大屋幸恵著。女性がなぜ茶の湯を習うのか。 明治中期には、国粋主義の流れから伝統文化への回帰と相まって、茶道が、新たに女性の礼儀作法や教養として意味づけられるようになり、女性の「たしなみ」「お稽古事」として広く一般に認知・注目され、女性の修練…

近代侘び人

近代数寄者の定義が 茶を生業としない 財力があって茶が楽しめる 人だとしよう。であれば:茶を生業とし、財力がある人…家元宗匠の類。 茶を生業とし、財力がない人…お茶の師範のわりかし底辺層。ということとになろうか。すると最後に残ったのは 茶を生業と…

講座日本茶の湯全史30 近代数寄者の茶と数寄空間

矢ヶ崎善太郎著。「近代数寄者」の定義から。 これまでみえてきたことは、近代数寄者といわれる人たちの本質として、もちろん茶を嗜むということであるが、その茶以外に生業をもっていること。そして流派で学んだとはいえ、その流派にとらわれることなく自由…

講座日本茶の湯全史29 近代茶家の復活

筒井紘一著。 伝統文化としての茶の湯が危機的状態におちいった時代、それが維新後の封建制度瓦解と呼応していることは、いまさら言挙げする必要もない。 ということで(主に三千家が)冬の時代をどう乗り切ったか、という話。 まず先頭を切ったのは、長老であ…

講座日本茶の湯全史28 外から見た茶の湯

田中秀隆著。 つまり仙堂さんである。 東洋の茶に最初に触れたヨーロッパ人は、イエズス会の宣教師達である。 角山栄「茶の世界史」が17〜18世紀のヨーロッパの茶文化を紹介したのに対し、19世紀の日本の茶文化を西欧人がどうみたか、を書いたのが本稿である…

講座日本茶の湯全史27 井伊直弼と幕末維新の茶

谷村玲子著。 近代・現代の茶の湯を特徴づけるとしたら、それは女性の茶の湯人口にあるのではないだろうか。 (略) 江戸時代の女性の茶の湯についてはいまだ不明なことの方が多い。 (略) ところが近代の女性の茶の湯という観点から言えば、江戸時代を通じて最…

講座日本茶の湯全史26 概説:近代の茶の湯

熊倉功夫著。ここから三巻。近代編である。 一八世紀末から一九世紀にかけて、さまざまの茶の湯批判が展開した。 (略) そうした新しい批判と発想が継起する中で、最後に登場したのが井伊直弼であった。 近代は幕末/井伊直弼から以降の時代を指す。 西欧の概…

講座日本茶の湯全史25 多様化する茶陶文化2

著者は、茶碗の種類だけでなく、香合の種類用法についても検討している。 炭手前の時に客の前で香を焚(原文では火+主)くという行為はいつ頃はじまったのだろうか。 (略) 最初の会は文禄二年(一五九三)正月一九日のこと。 (略) 朝鮮の役のために肥前名護屋城…

講座日本茶の湯全史24 多様化する茶陶文化

筒井紘一著。本稿では、茶の湯の陶器の流行について、茶会記から計量して概説している。最近NHKでの露出が多く、研究者なんだか茶人なんだかタレントなんだかわからなくなりつつある著者だが、本稿は非常に読み甲斐があった。 不思議なことに和物茶碗として…

講座日本茶の湯全史23 茶の湯の名物記

矢野環著。茶の湯の名物記研究の概観。本稿によると、名物記というのは研究が進んでいて: 実際多くの文献を提供し、茶道研究にとって画期的であった『茶道古典全集』においても、名物記関係の底本は必ずしも探求が十分でなく、適切でない写本が翻刻されたも…

講座日本茶の湯全史22 茶の湯の地域的展開

山田哲也著。 本稿では、近世後期に焦点をあてて、この時期の茶の湯について述べていくこととする。 ということで、支配階層である不昧、宗雅、柳沢堯山に加え本願寺の茶の湯と、被支配層である各地の町人の茶の湯について述べている。ここでは 三人目は、大…

講座日本茶の湯全史21 千家茶の湯の広がり2

元伯の時代は、その伝授を受けた者は、一派を立てるかたちであった。 師弟関係を求める時に「子弟の堅め」の文書が取り交わされることが見られる。 宗旦の頃は、完全相伝で別流が立てれた、ということだろう。 私の流派も事実上完全相伝なので、「子弟の堅め…

講座日本茶の湯全史20 千家茶の湯の広がり

堀内國彦/谷端昭夫著。 というか引用部分は國彦さんの方。千家の茶風が江戸時代を通してどう変化していったか。 少庵もみずからを守るために、世の中の趨勢である武士の茶の湯に迎合しなければ許されなかった状況が想像される。 (略) 元伯宗旦は、少庵と異な…

サントリー美術館 天才陶工 仁阿弥道八

大変めずらしい道八メインの展示。道八の鉢や茶碗にさまざまな画家や書家が直接絵付けしたコラボ作品がたくさん並ぶ。 でも乾山の量産ものに光琳が書いたような家内制手工業ものとは違う感じ。「だんさん、だんさん。道八さんの鉢に、お好みの画家の絵付けて…

講座日本茶の湯全史19 元禄時代の茶の湯

木塚久仁子著。 元禄ほどさまざまな言葉に付属して生き続けている元号はないだろう。 ってことで元禄の茶の湯文化について。 多数の著作がある遠藤元閑(生没年不詳)は名を鳩、広長軒・敬休と号し洛陽隠士と称した。 (略) 元閑の茶書が膨大であるのは、それま…

講座日本茶の湯全史18 小堀遠州と片桐石州の作為2

遠州好みが遠州作を必ずしも意味しないなら、何が遠州の作風なのだろうか?著者は ここで改めて遠州とは何か、遠州風とは何かを問うため、遠州の自邸での作事を中心にその作為を検討していきたい。 なるほど。自分の茶室であれば、遠州ほどの茶人ならば必ず…

講座日本茶の湯全史17 小堀遠州と片桐石州の作為

中村利則著。まず遠州について。 ところで「好み」は二つの意味を持って使われている。 一つは「その人が自ら制作に携わった」という意味で、「好み候」などと動詞的に使う場合である。 当初遠州作とされていなかったものが、江戸時代が進む事に遠州作にすり…

講座日本茶の湯全史16 千宗旦と三千家の成立

原田茂弘著。 千宗旦が生涯どこにも仕官することなく、(略) しかし「元伯宗旦文書」(千宗左編『不審庵伝来 元伯宗旦文書』、千宗左監修・千 宗員編『新編元伯宗旦文書』)という新たな史料によって浮かびあがったもう一つの宗旦像は、息子たちを大名家の茶堂…

講座日本茶の湯全史15 利休七哲

八尾嘉男著。 ここでは利休の高弟七人の顔触れと、彼らがいかなる足跡を残したのか、利休没後に茶の湯がどのように変わっていったのかを概観する前に、利休七哲という用語そのものからまず確認しておきたい。 ということで、江戸時代の15冊の書物の、24の説…

講座日本茶の湯全史14 概説:近世の茶の湯

ここから第二巻。近世編である。まずは熊倉功夫の概説から。 章タイトルを挙げるだけで内容が、第二巻の範囲がよくわかる。さすがのまとまりである。一 茶の湯における近世 二 政治性の喪失と社会性の復活 三 家業化する茶の湯 四 遊芸化する茶の湯 五 近世…

講座日本茶の湯全史13 中世茶の湯研究の手引き

中村修也著。中世の茶の湯がどういうものであったか、ということを研究するということは: また、確実な史料だけで茶の湯の歴史を描くと、どうしても点と点をつなぎ合わせたような歴史となり、研究の層の薄さを露呈した。 (略) 「わび茶は、珠光が創始し、武…

講座日本茶の湯全史12 茶の民俗

中村羊一郎著。 日本の茶文化は中国茶文化の影響を色濃く受けている。 平安時代に空海や最澄が味わった茶は、唐で流行していた餅茶に準じたものであった可能性が高い。 (略) 逆に、詩文集にみられる茶に関する断章を客観的に見直すと、餅茶よりもはるかに単…

講座日本茶の湯全史11 中国喫茶史

高橋忠彦著。茶経と煎茶は割とどうでもいいので割愛。 唐の茶文化が煎茶(煮茶)を中心としたものとすると、宋代は、点茶文化が発生し、高度に発展し、衰亡した時代とみることができる。 そうそう、それですよ。 さて、宋で流行した茶の文化と言えば 「茶は唐…

講座日本茶の湯全史10 利休の茶の湯

谷澤昭夫著。 これら利休の茶会における茶道具の変化を時期を追って簡単にみていくことする。 ということで茶会記から見る利休の茶。 茶会記から知られる利休(宗易)の初茶会は天文一三年(一五四四)二月二十七日に堺で行った奈良の恵順と松屋久政の二人を招い…