2015-01-01から1年間の記事一覧

釉から見たやきもの15 流れる

写真60はいくつかの灰の温度と粘度との関係を調べるテストです。 (略) 私はこれによって各地の灰を比較しようなどとは思いませんが、同じ雑木灰でも産地によって差があることぐらいは判ります。 試料は右から、 ・籾殻灰 佐賀県北波多村岸嶽皿屋窯付近 ・竹…

釉から見たやきもの14 融点

亜鉛の融点は約四二〇度です。 私はこのことが頭にあったので、亜鉛ダストなら簡単に融けてくれると思い、美濃の土に釉としてかけて一三〇〇度で焼いてみました。 この徳利の半分はよく融けてガラス化しました。ところが半分は全然融けずにガサガサでした。 …

看脚下

「足元をちゃんと見なさい」という圜悟克勤の禅語。12月に使える茶杓の銘である。私はあまり茶杓の銘としては使わないけど。主な使用法。 「先生、先生、看脚下、看脚下」 足袋カバーを外し忘れた人への、それとないさりげない指摘に使います。

1月の展覧会

1月の展示。思ったよりはあるな…。ちなみに以下が正月休みの間のそれらしき美術館開館状況。あとは全滅…。 美術館名 12/28 12/29 12/30 12/31 1/1 1/2 1/3 東京国立博物館 ○ ○ ○ ○ × ○ ○ 岡田美術館 ○ ○ ○ × × ○ ○ パラミタミュージアム × × × × × ○ ○ 東京…

釉から見たやきもの13 釉の生理

本来なら釉の物理と書くべきだろうかと思います。 しかし、実際にいろいろ試してみると、物理という堅い法則性より生きものの持つ柔らかい不規則的な生理を釉に感じます。 それで生理という言葉を選びました。 あいかわらずのロマンチストである。 写真41は…

釉から見たやきもの12 燃料の質と釉の関係

昔の日本では陶窯のやきものといえば、ほとんどが薪でした。 しかし今はいろんな燃料を使っています。 前項の焔の速さなどというのは空気との関係での物理的な面の特徴でしょうが、燃料の質による釉への影響もあるのではないかと思われます。 ということで、…

釉から見たやきもの11 燃料の問題

現代での焼成と釉との関係は大変多様です。 それは窯の様式、材質、初設備、その他が多様化した結果でもありますが、特に昔と大きく変わったのが燃料です。 それはそうよね。でなきゃ大量生産の度合いがかわるもの。 薪を燃料とする窯では、窯の構造、焼成法…

釉から見たやきもの10 釉と焼成

一度焼かれたものを再度焼き焼成を変えてみる写真25は三州瓦の生産地、愛知県碧南市の瓦工場から拾ってきた赤瓦の破片の更に 一部を欠き、私の窯で一二八〇度ぐらいで再焼し(略) 三州赤瓦は焼きを買えると、三州白瓦に変身したのです。 この釉を瓦屋さんは赤…

釉から見たやきもの9 釉の胎に対する物理性

釉は胎を保護強化する――とはいろんな本の釉定義にあらわれる言葉です。 マニュキュアが爪を強くする、みたいな奴ですよね。 ■施釉すると分解する土…焼きしめは良いのだが私が採取した土のなかで、次の四種の土は施釉が原因で焼成後破片分解し、その破片は自…

釉から見たやきもの8 カオリン系粘土

現代の釉は堆積性のカオリン系粘土を対象として考えられていること 今回の話は重いテーマを持っています。 前述の下田の白土はカオリン系の土ではありますが、湖や池沼に堆積した土ではなしに熱水変質によって生成された白土であり、(略) これを裏返していう…

釉から見たやきもの7 胎と釉

カラー写真2はいわゆる鉄赤釉を一方は美濃の五斗蒔土にかけ、他方は伊豆下田の土にかけたものです。 鉄赤釉は鉄釉の中では安定した釉で、むずかしい焼成法をしなくてもすむイージーなものです。 それに特別な土にかけなければ赤く出ないということもなく、こ…

釉から見たやきもの6 窯能力が高いと融けるものが多くなる

私は日本各地の土、石、陶片、植物(灰にして)、人造品などを幅広く窯に入れて融かすテストをしています。 (略) この数多いテストから帰結されることは一応次のような傾向です。 胎として使える物質 釉として使える物質 高火度 ↑ │ 〜 多くなる 多くなる 低火…

釉から見たやきもの5 オリエントの土と東洋の土

釉はまず土(石を含む)の上にかけられ、窯のなかで焼かれてでき上がります。 そしてその窯も実は土で作られます。 (略) 土が火に弱いと胎も窯も火に弱いものになり、その結果焼成火度の高いやきものは期待できません。 なるほど。高温で焼く磁器みたいなもの…

釉から見たやきもの4 釉の名前

■釉の名前はなるべく原料でつけたい青磁釉と呼ばれるものを使えば、どんな土につけてどんな焼き方をしても淡い青緑系の色になるとは限りません。 (略) つまり焼成後における色相を観点にするときわめて混乱がおきやすいのです。 なるほど。 焼き方や胎によっ…

釉から見たやきもの3 なにが釉か?

座敷を掃く箒があります。 この箒を指して「箒は釉である」とはいう人は誰もいません。 しかし箒を燃やして灰にすると、それはもう立派に釉と呼べます。 極論だぁっ!! 浅間溶岩は粉砕、加水して泥漿化しないと釉とはいいません。 しかし福島県の阿武隈山系…

釉から見たやきもの2 釉の定義から外れる釉

釉の定義から外れる釉 ──胎の一部が釉になる■カネヨクレンザー(未来の胎=釉を暗示するもの)ご存知の洗磨剤です。 これに水を加えて揉み、ろくろにかけました。 腰が弱くてヘナヘナしますが湯呑みや碗ぐらいのものならなんとか挽けます。 写真2がそれですが…

釉から見たやきもの

芳村俊一/光芸出版/1982年。私の様な陶芸素人に、釉薬について教えてくれる貴重な本。…もしこの本がウソだらけでも見ぬけねーけど。 ここでまずふつう一般に「釉」と呼ばれるときの常識的な条件を書いてみましょう。1 胎の表面に付着させられること窯入れ前…

抹茶レビュー

抹茶の味も記録に残しておこう。一保堂 明昔 薄茶 40g 2400円ぐらい色 普通 香り やや畳っぽい匂い 味 爽やかな中に渋み。甘味は薄い。http://shop.ippodo-tea.co.jp/kyoto/shop/goods/index.html?ggcd=103644&cid=matcha明昔40gは裏千家今日庵お好み、だそ…

おいしいご飯

あの地震で電力が逼迫して以後、わが家では電気炊飯器でご飯を炊くことを止めている。ご飯を食べなくなったわけではない。ガスコンロを使って炊いているのである。では、どうやってご飯を炊いているかというと、圧力釜を使っている。土鍋ご飯は昔試したが、…

風のあと

大雨のあと、台風の様な風が吹いた金曜日。 裏千家東京道場の前を通りがかった。腰にツールバッグを付けた見るからに造園業者のお兄さんが、道場の前の濡れ落葉を掃除していた。道場の人自身が掃除しないんだね…。利休が見たら帰っちゃいそうな光景だと思い…

ルー

ルー大柴の日めくりカレンダー「今日のルー語」。http://shop.php.co.jp/php/g_images/825582/825582_15_l.jpg大柴宗徹宗匠のかっこで、茶がらみのこーゆー話はちょっと…。あと…http://www.daimarufujii.co.jp/central/cws/wp-content/uploads/2015/08/ru-01…

阿波千家

徳島には、千道安の墓があるという。 http://www.city.tokushima.tokushima.jp/bunka_sinko/siminisan_meguri/gaiyo20.html道安が徳島で死んだ、という話ではない。まぁ有名人の墓なんて、慕う人の数で増えるので、それは問題ない。 でなきゃあまりに多くの…

閑夜茶話15 終わりに

閑夜茶話は、井伊“宗観”直弼が書いた茶の湯のエピソード集である。多くを南坊録から採用しており、山上宗二記や茶道四書伝書/松屋会記や茶道便蒙抄/茶道要録からの引用もあるようだ。不思議なことに茶話指月集からの採用はない…というか、不確実な感じ。 朝…

閑夜茶話14 千家

千家関係のエピソード。 一 柳生但馬守石州の點茶を見て扨々御手前驚入候、中々左樣には參らぬもの。 少も透間無之と稱美せりとなり。 一説には遠州とも又宗旦とも云へり。 是は宗旦なるべし。 清正VS利休のパターンもありますが…。 そーだよなー。こーゆー…

閑夜茶話13 七哲

その他の七哲の事蹟。 一 桑山左近數寄屋を立てられ候は一兩年前に苦竹をむざと澤山に植ゑ、少々松なども植候て扨數寄屋を立候前先達て地形の處并に道筋飛石など据ゑ候處を、むらむら廣狭は有之 恰好よき樣に竹を掘り抜き、扨數寄屋を立てられしよし殊の外寂…

閑夜茶話12 三齋

細川三齋は利休の弟子なり 或時京都より伏見へ利休を迎へに參られ候 折節途中より雨降り候へば俄に我乗物に利休を載せて、三齋は供にて歸られ候と申傳ふ 師弟の仲かくもありたき事なり …雨が降って来なかったら利休が歩きで、三斎は駕篭のままだったわけか。…

閑夜茶話11 石州

石州へ土州の太守初入の茶湯習ひたきよし望まれしかば 先座敷の掃除あれとて、小座敷に至り茶道中に掃除の仕樣を習はしむ。 掃除終りて關師の前に出て給ふ。 掃除濟みたらば茶を挽き給へとて、茶の挽樣を習はしむ。 關師は是數寄屋の第一の事なりと申されし…

閑夜茶話10 遠州

遠州がらみのエピソード。 一 遠州へ加州より庭預りの者を遣はされ候て、露地の掃除、庭の模様承り度よし申候へば、兎角きれいなるは惡し、左樣に心得候へと仰せ候故、庭奉行然らば不掃除の方然るべきやと窺ひ候へば、遠州言く、きれいなるさへ惡き故、まし…

閑夜茶話9 織部

閑夜茶話に於ける織部の伝承。 古織茶湯の歸りに或所に立寄られしに生垣の外の不掃除なりければ、途中の談に云く、古き發句に 深山とて咲けばおとらぬ櫻哉 と云ふ句を以て掃除の心得とすべしと。 「掃除すれば綺麗になるよ」程度の意味合いだろうか? ピンと…

閑夜茶話8 利休のヌルいエピソード

その他の利休のヌルいエピソード。 出典は別の本にあるものを直弼が採用したものかもしれない。 一 休又言く、茶は服、伽羅は火かげん、酒は燗 「茶は服のよきように点て」の拡張短縮版。 範囲を半端に広げたのがぬるい。 一 或人休師に問て茶湯の座敷へ入御…