2010-08-01から1ヶ月間の記事一覧

9月の展覧会

秋が来て、展覧会の数が凄いことに。 9月後半の関西は回りきれないね。 東京 期間 タイトル 備考 五島美術館 -10/24 茶道具の精華 出光美術館 9/18-11/3 仙涯 禅とユーモア 畠山記念館 -9/20 涼を愉しむ 書画・茶器・懐石道具 根津美術館 -9/26 コレクション…

トレス疑惑

青磁算木形花入。http://maps.google.co.jp/maps?hl=ja&q=%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%83%91%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%BF%E3%83%AF%E3%83%BC&ie=UTF8&ll=35.693517,139.757702&spn=0.007755,0.02105&z=16&brcurrent=3,0x60188c0c0b13f54d:0xb630953beee48188,0&la…

魯山人と荒川豊蔵

志野が美濃の焼物である、というのは荒川豊蔵の発見だが、 魯山人は、窯趾発見と陶片採取の意義の大きいことを自他ともに認めるにつけ、この功を豊藏よりも自分に帰したい衝動を深めたのであろう 前からそうなのではないかな?と思っていた。というのも、魯…

北大路魯山人

白崎秀雄/文芸春秋/1971年。 わたしの魯山人嫌いには、彼自身の対世間的な言動、若くはその風聞も、与っていた。 魯山人の古くから聞えた傲岸と、有力者や著名人に取り入ることの巧みさ、つまり卑屈さ。 別れた夫人へ、そのもって来た家財や衣類すらも返さぬ…

直伝和の極意「裏千家暮らしにお茶の楽しみを」第四回

盆略→風炉の運び→炭点前→涼を呼ぶ…構成の意図が判んないよ。 さて。夏の涼について倉斗業躰が「庭に打ち水」を例にしていた。業躰の中で夏冬行う「三露の打ち水」と、夏の「庭に打ち水」は、違うものとして扱われているんだろうかとちょっと不思議な気分。 …

桑楡録 その2

耳庵は言います。 自分の好きないずれの茶碗でも濯ぎ清めているということは、茶に親しむ者に取りていい知れぬ愉しみごとの一つである。 ああ、そうかもしれません。 ことに今の新緑の好季より夏たけ行きて、高麗梅鉢茶碗、そば、皮鯨、ととや、なんど夏向き…

桑楡録

松永安左ェ門/河原書店/1948年。松永安左ェ門著作集(五月書房)第5巻収録。耳庵による茶道理論書&エッセー集、かな。 耳庵は衛生に気をつけた点前の簡略化を考えていた模様。 (イ)濃茶も各服点てにする。少量を点てやすい様にやや薄い濃茶とする。(ロ)茶入の…

茶道春秋 その2

本書は耳庵のお茶エッセイ集なんだけど、さまざまな茶人に関する言及が面白い。 今一人面倒な茶人に田中親美大人がある。 (中略) だから茶客としては恐らく日本一の長老であるのであるが、不思議にも自分で茶室を設けて客を招くということはない。 今から十…

茶道春秋

松永安左ェ門/河原書店/1944年。松永安左ェ門著作集(五月書房)第5巻収録。 人間生活の余裕というものは金があり、地位があって初めて余裕というものが出来る。 茶の湯などはそのあとのことである、というのが常識であろう。 それであればそれでもいい。その…

茶道三年 その2

実は、“茶道三年”のもっとも読ませる所は「おくがき」にある。 主人七分で客三分とよくいわるる茶会でも真に気の合った、共に茶を楽しむ同人の間ならば主人十分客十分で、どちらも主たり客たることを忘れて深くその三昧境に入るべきである。 (略) 原則として…

茶道三年

松永安左ェ門/河原書店/1938年。松永安左ェ門著作集(五月書房)第5巻収録。 第5巻はいろいろ入っててお得である。 茶道三年は、大部分は耳庵の他会記である。でも冒頭は耳庵初陣茶会について。 昭和九年の末、茶器商篠田一釜庵、杉山茂丸翁の使いなりとて自動…

直伝和の極意「裏千家暮らしにお茶の楽しみを」第三回

「こんな番組誰得?」なんて言ってられない第三回。 だって灰形と炭手前っすよ?こんなの動画で見れるなんて涙ちょちょぎれまっせ? まずは灰形。 灰形を基礎作りからやってくれるのはありがたいんですけど…。釜あわせは「釜が真中か水平か確認します」の一…

男の花月の友の作り方

家庭科のエプロンの作り方とたいして変わんないので、紐の縫い方…とかは省略します。 知りたい人はどっかでぐぐってください。 (1)採寸最初にやるのは採寸。メジャーで、自分の胴の幅、肩から胴までの高さ、袈裟掛けの長さを計る。 胴の計る位置はへそのライ…

南方録コード

“まぼろしの南方録”とかタイトルを見ると、“幻の湖”とか“まぼろしの邪馬台国”とかの連想が走り、なんかワクワクした。でも読んでみるとこれが結構地味かつ地道な時代小説なんだよねー。悪くはないんだけども。 ……。 有名な茶道史研究家、能倉は、美術館での…

まぼろしの南方録

岩井護/講談社/1976年。 颱風の季節も過ぎて、瀬戸内の海もこのところ穏やかな日が続いている。一艘の船が、夜の港にその巨体を黒々と浮かべていた。 から始まる、なんと立花実山が主役の歴史小説。 利休の秘伝書の写しを進呈したい…書状を届けた謎の美女。…

長板

お稽古場で長板を使ったお点前。まずは準備。長板のセットアップ! …なに。この板。 ただののっぺらな黒い板。高級感のかけらもない表面。つーか、漆じゃなくてペンキっぽくね?ところどころ剥げてベニアっぽいものが見えてたり。 これ、横にホゾ穴あったら…

花月の友

男と女では、着物の着方が違う。 具体的には帯の高さ。男性の帯の上端はへその位置である。 女性の帯の上端はアンダーバストあたりの位置である。 だから。 男性が帛紗を下げる場所は、へその高さになる。 女性が帛紗を下げる場所は、アンダーバストの高さに…

直伝和の極意「裏千家 暮らしにお茶の楽しみを」第二回

今回は風炉薄茶左勝手の運び点前。…誰得なんだろうね、この番組。裏やってる人には知りつくした点前だろうし、他流派の人がこれ見て裏に転向するわけじゃなさそうだし、茶やってない人には興味持てそうもないし。びみょー。 感想はアリガチだが: 素手で釜の…

直伝和の極意「裏千家 暮らしにお茶の楽しみを」第一回

“趣味悠々”…でなくなって、なんか寂しい“直伝和の極意”。録画しそこなって1週遅れでの感想也。 まず坐忘斎家元の、カメラに目線を向けない神秘的な御挨拶。……。……。……。あり?坐忘斎の顔、こんなんだっけ?もっとやさしい顔じゃなかった? 悪相…という程でも…

洗い茶巾

ふしゅーーーーーーー(ちょろろ)ーーーーーーーっ 洗い茶巾、というものを習った。びしょっとさせたのをゆらゆらっとしてきゅっとするとトポトポする奴である。 自分には目新しい点前なので若干緊張。 ゆらゆらっはうまくいった。きゅっとするのもまぁまぁ。…

置土産浮世之茶話 その10 儒者

嘉永の頃或人(越中富山の人なり)茶の湯を催ほさんとするに。人情として。國主の儒の先生一人を加へたり。其の日客待合に來り。相揃ふの時に儒者先生來りて。挨拶もなく上座に着く。客一同先生を正客として。まづ露地に入り。 腰掛に行く。亭主迎に出る。客一…

置土産浮世之茶話 その9 沸へ湯

昔時或茶人(小堀宗中の弟子なり)東都より來て。同流なれは。余にまみえむと乞ふ。客言ふ。茶を學ぶの序で、柄杓の扱ひを問ふ。 宗匠云ふ。右に柄杓を持ち湯を汲む時。左の脚に力を入れ。右の脚を浮けて置くなりと。 故如何とならば。者し席中に狼藉ものある…

置土産浮世之茶話 その8 丿貫

お点前の説明の次には“道茶の話 茶道徳儀得失”としてお茶のエピソードが紹介されている。形式はペロー的なエピソード紹介+最後に講評。 ここの丿貫のエピソードなのだが…。 昔時天正の頃善法和尚名丿恒と云ふ。 丿の字は人の字の扁にして (中略) 素より貧窮…

置土産浮世之茶話 その7 道具屋茶人

“客の略心得方の事” 席中にて相客互ひに。器物の品評など必ず論ずる事勿かれ(是れ嘉永以來の弊風なり)。所謂此れを道具屋茶人と云ふ。謹むべきの第一なり。 客が、亭主の道具を品評し謗る、というのは昔からあったんだな、と思う。嘉永年間といえばペリーが…

置土産浮世之茶話 その6 水屋仕廻

“水屋仕廻の事”より。 或紳士來て。わが家には召遣も多分に是あり。水屋仕廻ひ。並びに茶亭の酒掃は。みづから致さずとも宜しきやと問ふ。 余答へて。士は馬に乗らずやと問ふ。 士曰く。馬は其の術を得たりと。 余馬の酒ぎは知らずやと問ふ。 士既に熟知せい…

置土産浮世之茶話 その5 灰形

“風爐の灰拵方の事”より。 餘に灰の拵え方三十七通りの傳あり今は用ゐず。 「用いず」じゃないよ!気になるよ!使わなくても書いてよ! さて。田中仙翁“灰の技法”下巻に「特殊な灰」として以下の紹介がある。 炉の灰を除いたものは以下の通り。 二枚土器遠山…

置土産浮世之茶話 その4 釜の蓋と柄杓

“四疊半略薄茶點前の事”より。昔、釜の蓋を取るとき、帛紗をどう扱うか、というのを整理した。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20071112 茶碗をすこし前へよせて柄杓をとり。帛を右に持たせ。柄杓を左にもちかへ。 (柄杓を取るとき節の所を抓み左の帛を右…

置土産浮世之茶話 その3 柄杓と建水

昔、自分の流派と、妻の裏千家で茶杓&建水の持ち込み方が違うね、つーか裏千家大変だねって話を書いた。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20071114 “四疊半略薄茶點前の事”より。 次に右に柄杓に蓋置を持ち添へ。手は帯の邊。柄杓の柄前ならず後ろならず…

置土産浮世之茶話 その2

“凡例”より。 澆季の世なれば。近頃は茶禮を女禮式の如くに。相心得居る人も多く見えたり。茶禮は男子に確實に入用のものなり。 私の茶道史理解。 茶道を女性化したのは裏千家の圓能斎。困窮した彼が、ニッチビジネスとして女子の学校教育に茶道を持ち込んだ…

置土産浮世之茶話

大森宗龍/東陽堂/1893年。なんか人形浄瑠璃だか歌舞伎だかって感じのタイトルだが、中はお点前のHOW TOと、茶の逸話。 玉川遠州流八代大森宗晋さんの本「茶の湯・心と形」は以前紹介した。http://d.hatena.ne.jp/plusminusx3/20090929/1254176364大森宗龍は…