2015-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ぐるっとパス2015

ぐるっとパス2015。 茶道具系美術館に限定すると2014年と変わらず。 館名 割引額 種 東京国立博物館 -100 割 三井記念美術館 -1000〜-1200 全 出光美術館 -200 割 泉屋博古館分館 -520 全 五島美術館 -1000〜-1200 全 石洞美術館 -500 全 さて、今現在で判っ…

4月の展覧会

今年の関西は例年になくすごい。廻るのに三日はかかりそう。関東は残念ながら平穏。ただ神奈川県立歴史博物館がひっじょーに気になります。あと地味に熊本が気になりますが、さすがに行けないなぁ。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 4/11-5/6 三…

夜桜2015

近所にちっちゃなちっちゃな穴場の公園がある。 桜が数本植えてあり、公園とその周囲の街灯が適切なライトアップになっている。でも、今年は何本かの桜が、剪定によって花が咲いていなかった。養生なのだろうか。ちと残念。 すずめやのおはぎを頂き、魔法瓶…

趣味DO楽 茶の湯武者小路千家 春の茶事を楽しむ4

最終回は広沢池での立礼。 大学卒業生がで御世話になった方を呼んだ、薄茶一服の茶会。…設定に無理有るやろ。20分くらいのもてなしのために、御世話になった方を嵯峨野の片田舎に呼べないよ。 こいのぼり…じゃないや、派手な振袖着た亭主登場。 田舎から京都…

あべのハルカス美術館 川喜多半泥子物語

素人の陶芸作品を、1200円も払って見るなんて!と思わなくもない。 でも思ってたより客が多くてびっくりである。展示室の前半は、川喜多家がどんだけ偉かったのかの展示。 半泥子の西洋絵画と、絵の先生にあたる藤島武二の絵が並べられる、という羞恥プレイ…

湯木美術館 千家歴代と樂歴代の茶道具

タイトル通り、千家歴代の好み物あるいは箱書きのる道具に、樂歴代の道具を混ぜた展示。左入の槌之絵赤茶碗。左入二百の一つ。すごく左入らしい左入。唐物組物盆。利休所持。おしゃれ。利休在判の黒大棗。でかい。ごつい。いかにも耳庵所持らしい。丶貫在判…

藤田美術館 組む楽しみ

組合せの妙を楽しむ今回の展示。人形手茶碗に交趾桃香合「みちとせ」、備前緋襷肩衝「わか草」、利休茶杓「東方朔/藤の裏葉」を組み合わせる、みたいな感じで。 伝祥啓の瀧山水図に、竹花入「那智」を。瀬戸唐津皮鯨茶碗には染付網薄茶器を。珠光青磁茶碗 …

北村美術館 花どき

北村美術館は、跡見の茶会スタイルを貫く、茶の湯美術館である。寄付から見始めて、懐石、濃茶薄茶へと移行する。今回は寄付位置には「番外」と書いてあり、そこには二人で使う比翼煙管が、吉野間道袱紗を敷いて置いてある。エロい。 テーマは吉野太夫と灰屋…

野村美術館 高麗茶碗

野村美術館の高麗茶碗の特集。 これだけ書いただけだと「ふーん」って感じ。でも違った。発掘調査や対馬藩資料などを通じ、秀吉唐入り前後で、日本からの茶陶注文がどう変遷したかの特集。3列の陳列棚がある。右には唐入り以前の、かなりナチュラルな朝鮮陶…

徳川美術館 大名の数寄

入ってすぐに、漢作瓢箪茶入「玉津島」、唐物文琳茶入、古瀬戸野田手茶入「蓬生」。玉津島がカッコイイ茶入であるだけに、唐物文琳の釉のつまらなさ(本当に唐物か?)、古瀬戸の格の低さが強調されてしまう。 この三つを並べるのは、鷹揚でもあり、無神経で…

日本藝道と佛教のこころ3 苦味清淡の境

茶の湯は數學だ。 かいへば人は奇抜なことをいふと思ふであらう。 しかし茶席に行はれてゐることを見るといつも私はさう感じるのである。 まづ道具を持ち出して爐を中心にして配置する。 そして間隔と角度、亭主の膝の位置、柄杓の位置、もしまた棚を用ゐる…

日本藝道と佛教のこころ2 茶の湯と「道」

我が國に行はれてゐる多くの技術や藝能などのことをしらべてみると、殆どすべてのものが一つの「道」といふものに歸してをるのである。 (略) そしてこれらは、それが深まるに従つて、より深く求道敵精神修道的精神によつてうらづけられてくるので、我が國の…

日本藝道と佛教のこころ

岩見護/永田文昌堂/1958年。 戦後の出版だが、昭和18年に出版されたものの再版。でもたぶん皇国礼賛は省かれてると思う。内容は茶の湯に限らない、芸道と仏教に関しての本。序文にあたる「日本の藝道」より。 藝道といふものは一つの修練である。 修練を離れ…

茶筌博物誌7 茶筌用語事典

本書巻末の用語事典より。 いっしそうでん(一子相伝)鷹山宗砌によって創られた茶筌作りの技術は鷹山(高山)氏に一族秘伝として伝わり、需要がふえるにしたがって重だった家臣の間で行われた。 高山家が信長を敵として滅んだ後は家臣の間に一子相伝の術として…

趣味DO楽 茶の湯武者小路千家 春の茶事を楽しむ3

3週目は茶事の後半、後座。テレビで続き薄茶って珍しい。…とか思って調べたら、2011年の武者小路千家の朝茶事も、続き薄茶だった。現実の茶事が続き薄茶メインになっている以上、妥当な処置だと思う。 中立のところは、銅鑼の合図はあるけど、外の様子はカッ…

茶筌博物誌6 茶筌塚

茶筌なくして茶道はない。茶筌は茶道と同義だ、だから茶筌は茶の道具ではない──道そのものだ、と茶筌宗家、久保鷹山師はいわれる。 このように大事な茶筌の命を思って供養する茶筌塚があるということは、そこに「茶の心」が生きているということである。 つ…

茶筌博物誌5 茶筌の種類

本書には、各流派の茶筅に関する解説が載っている。 普段見聞きしないことなのでいろいろ面白い。 宗守流(略) 次男の宗守(宗守流)は高松藩に仕え、後に官を辞して官休庵を名乗り、武者小路に住居したことから武者小路千家とも呼ばれている。 利休形の紫竹を…

茶筌博物誌4 化け茶筌

西大寺の化け茶筌 (略) こういった化け道具で、これに用いられる「茶筌」は高さが一尺二寸(三十六センチ)ほどもある。 (略) 実用される大茶筌では西大寺の大茶筌が第一で三十六センチほどであるが、京都空也堂・名古屋の別院でも同じような大茶盛が正月三日…

茶筌博物誌3 忘筌のこと

筌(ふせご)は魚をとる魚具なのに、いったん魚をとってしまえば不要なものとしてかえりみられなくなってしまうもので、目的はあくまで魚であって筌などどうだってよい。 このことから忘筌の言葉が生まれた。 その筌によく似た茶筌は、茶にはなくてはならない…

茶筌博物誌2 茶筌の生命

茶筌の生命は、一回使い捨てが本来の姿である。一度湯を通した茶筌は、もはや形を変えて流儀の茶筌ではなくなる。 一期一会が茶の心なのである。 逢い難い唯一回の機会を燃えつくすことに茶の命があるのである。 そのためには畳はかえられ、茶花は切られ、茶…

茶筌博物誌

内山一元/東京書房/1974年。180頁のうち、1/3が茶筌のグラビア、という変わった本。グラビアで紹介されている茶筅あるいは茶筅のようなものは以下の通り。 表千家 真 煤竹 (火+華)々流 紫竹 赤編糸 高穂 数穂 白竹 白編糸 武者小路千家 天目 紫竹 藪内流 煤…

趣味DO楽 茶の湯武者小路千家 春の茶事を楽しむ2

茶事を学ぶ(前編)、ということで初座。お家元、なんでこんな緑なんだろう?ゼルダの伝説とコラボでもしてるの?さて、迎付。ざっほざっほと力強い座掃きの荒々しさ。 蹲踞の水を高々と落す大胆さ。武者小路千家らしさ、なのかもしれない。変な姿勢での迎付の…

東印度原住民の土俗と藝術

宮武辰夫/春陽堂書店/1943年。昭和18年の、ニューギニア/インドネシアの土着芸術の書。この時期の統制経済下の、戦況悪化した中での出版物を私はいくつももっているが、その中で圧倒的に美麗な本。 ハードカバー布張箔押上製本グラビア写真付きなんだもん。 …

正座椅子

大寄せ茶会で気づくこと。正座椅子を使う方々の多い事、多い事。それだけ膝の悪い人が多いということだろう。 逆に言うと、正座椅子を使えば正座できるって人も多いと言うことだ。 客として、正座椅子を使ってお茶を楽しめるのは、有り難いことだと思う。 た…

奈良大和路茶の湯逍遙7 大和小泉と片桐石州

石州は、京都在住時に大徳寺芳春院の玉室宗珀に参禅し、のちにその法嗣である玉舟宗王+番を開山として大徳寺内に高林庵、小泉に慈光院を創建している。 (略) なお、この二畳台目の茶室は寛文十一年の石州による造立であることがはっきりしている。 (略) た…

室町時代のお点前

仮説…というほどには根拠が無いが、私は室町時代の茶の湯に関して、「現代の様な様式化されたお点前はなかったんじゃないの?」とか思っている。 なんでか。松屋会記、山上宗二記、天王寺屋会記。これらの書物にお点前の話がほとんど書かれていない。二つの…

奈良大和路茶の湯逍遙6 松永久秀の多聞城

極真台子の茶会永禄六年正月十一日、久秀は多聞城内の六畳座敷に京都の医師曲直瀬道三、松屋久政らを招いて茶会を行った。 床に玉澗の煙寺晩鐘を掛け(略)名物づくしの茶会であった。 (略) この茶会は道具組や料理だけでなく、その点前までがかなり詳しく『松…

趣味DO楽 茶の湯武者小路千家 春の茶事を楽しむ

まずスタートは官休庵の初釜風景から。緑の台子と緑の炉縁の前で、ぎゃぎゃぎゃぎゃとお茶を点てる家元。私の中で武者小路千家というのは、よく言えばラフ、悪く言うと乱暴なイメージ。そのイメージ通り猛烈で荒っぽい家元の茶。まぁ早く点てるのは冷めにく…

奈良大和路茶の湯逍遙5 中坊屋敷と松屋

「松屋会記」には奈良だけでなく、武野紹鴎・利休をはじめとする堺や京都の茶人や、武家・大名の茶会が記録され、多くの聞書を収めている。 武家との取引はまったくなかったらしい松屋と、秀長・古田織部・細川三斎・小堀遠州らが親しく交友している様子は不…

奈良大和路茶の湯逍遙4 珠光と古市播磨

珠光のいろんなエピソードは知っているものだったので省く。 つまり、室町将軍家の喫茶では唐物も最高級の建盞(茶碗の一種)に点てられた茶を、唐絵や青磁花瓶、堆朱食籠など中国の美術工芸品で飾られた書院に運び出して茶が飲まれたので、そこは唐物の美意識…