2012-11-01から1ヶ月間の記事一覧

12月の展覧会

これで秋展示も終了。 しかし、今年は「茶道具美術館」以外の展示がいろいろ面白いですね。 東京近郊 期間 タイトル 備考 三井記念美術館 12/8-1/26 ゆくとしくるとし 茶道具と円山派の絵画 五島美術館 -12/24 時代の美 鎌倉・室町編 畠山記念館 -12/16 利休…

北村美術館 追憶の茶

なにが、どう、追憶なのか?展示目録にいう。 今回の展示は、執権北条時宗に招聘され来日、鎌倉五山第一位の古刹・建長寺第五世に就き、やがて円覚寺開山に迎えられ両方を兼務した無学祖元禅師の墨跡を中心に、蒙古襲来のころを偲んでいただこうと企画いたし…

大西清右衛門美術館 京釜の粋

「京釜の粋」というタイトルだが、「とりあえず京釜の特集です」くらいの意味か。 そもそも「粋」という概念と「茶の湯釜」は親和性悪いと思うんよ。 大西浄林の笠釜。大侘びの荒れ膚の釜にやぶれ傘の環付がおしゃれ。 でも桃山末期にこんなおしゃれな意匠が…

大阪歴史博物館 三代木津宗詮と大阪の職方

正式タイトルは「大阪の茶の湯と近代工芸─ 武者小路千家の茶人・三代木津宗詮と大阪の職方」。長いよ。 武者小路千家の宗匠家、木津家の三代目宗詮こと宗泉と、当時の大阪の茶道具職方に関する特集展示。 木津宗泉は庭と茶室の設計で有名だった人物。当時の…

藤田美術館 藤田傳三郎の想い

藤田傳三郎の死後、跡を継いだ息子達。 その息子達のコレクション。 雲鶴青磁下蕪花生。立鶴等の象眼青磁の茶碗は良く見るけど、同じ技法の花入は珍しい。 光悦白楽茶碗 白孤。飲み口が片口ほどではないが飛び出しており、狐の口にみたてたのだろうか?ある…

茶道表千家 薄茶かがみ 爐の巻4 點出しの順序

本書は、ごく珍しい事に点出しの方法について解説している。 點出しと申しますことは、勝手又は水屋にて茶を點て服紗の上に載せて持ち出し、客にすゝむるを云ひます。 此の仕方は臨時に來客のありました時とか、又は薄茶のみの茶會などの節、客多數にして席…

茶道表千家 薄茶かがみ 爐の巻3 短冊箪笥

俗に茶箪笥又は短冊箪笥と申しますは、後の世、或る茶人旅箪笥の本源に依りて持ち運びを便ならしむる為に、半切して今日の短冊箪笥を案出致したるものであります故、茶の湯又は茶道と云ふ方面には、略の道具でありますれば使用致しませぬ。 従つて短冊箪笥の…

茶道表千家 薄茶かがみ 爐の巻2 嗚呼千利休

千利休に関する伝記。 大筋は 五百年のその昔、村田珠光一休禪師に參禪して始めて茶の湯を興し、足利八代将軍義政の聲を以つて、大に社會に紹介せられましてより、時は去り年は來り、星霜幾十年の時代は去つて、世は織田信長公となり、 (中略) 併しながら斯…

茶道表千家 薄茶かがみ 爐の巻

谷口紹茶/洗心庵/1925年。 大正末に書かれた茶道書。風爐の巻の続編らしい。 洗心庵は谷口紹茶。自費出版だったのだろうか。前書きより。 曩に、拙書茶道表千家薄茶かゞ美風爐の巻を、公に致しまするや幸にも 歡聲湧くが如く、諸賢淑女諸氏より熱狂的歡迎を…

許状受付

裏千家 東京道場。ここの玄関先に「許状受付」という看板がある。…この看板、どういう意味だろう? もしや飛び込みでここに行けば、筆記試験(茶道検定で免除)と実技試験で許状がもらえる…みたいな場所なんだろうか?でも狭い門なので好感度の高い格好で行か…

茶能湯主客獨稽古6 茶客之心得

一人稽古の教える、客作法から抜粋。 ○茶湯の當日に行には、先頭髪を不潔なき樣になし、穢れざる衣服を着し、上下を持参すべし 大正時代にもなって、裃が必要だったんだろうか? いくらなんでも大時代な装備な気がするのだが…。 ○爐の時には足袋をはくべし、…

茶能湯主客獨稽古5 茶會之時刻名目

茶事の名前について。 古へは茶湯と云へば朝に定まれり、後に晝又は夜に催す事と成れり、其時刻および名目を左に記せし ○暁の茶の湯 又夜ごみ共朝ごみ共云ひ午前三時より四時六時迄なり其時刻に廬路入りをすべし ○朝の茶湯 六時頃なり、爐ふろ共に有り、跡見…

茶能湯主客獨稽古4 茶史

大正時代の茶史。 武野紹鴎 初中村氏 名ハ新五郎ト云ヒ 武田伊豆守信元ノ後ナリ (後略) 紹鴎の姓がはじめ中村氏だった、というのはどこから来たのだろう? 若狭武田氏の家臣団には中村姓があった様なので、そこからだろうか? 千道安 (中略) 病有故ニ家ヲ継…

茶能湯主客獨稽古3 漫画で判るお点前

さて、本書のメインはイラスト解説のお点前教本。こんな感じのコマが延々続く。上は茶杓でお茶を汲む所。これが現代のお点前とどれぐらい違うか…というと、正直よく判らない。 なんでかというと、現代の表千家のお点前がよく判らんから。 表千家は、茶の湯の…

茶能湯主客獨稽古2 茶道居住心得の事

本書の冒頭には、居ずまいと用語に関する要約みたいなのがついている。これの居ずまいの部分が結構実際的だったので紹介する。 一 顔をしかめす 一 茶を立てる間わ談話すべからす 一 頭をゆかむべからす 一 ひぢはらすしほめす 一 臍を張出す心持にて居所は…

茶能湯主客獨稽古

榎本晃/柏原奎文堂/1915年。大正4年の茶の湯の独修本。序文にこうある: 本書は茶道専門の師の為に著述せしにあらず茶道初心の者又斯道を學ばんと欲する者或は山間鄙村に居て師を求むるに難き者の為に獨稽古の資初學びの梯とも成かしとて一々圖畫を以て示せ…

ミラー

大寄せで「あ、これあったらいいな」という物を思い付いたので、次の機会の為にメモっておく。 ポリカーボネートの、軽い鏡。 水屋エプロンとか割烹着を脱ぎ着すると、襟元とか乱れる。でも、急に水屋から茶室に入らなきゃならなくなる時もある。でも水屋が…

境地

改まった場所で、改まった気持ちでお点前をする。そういう時に、私は独特の「境地」に入り込む。 説明できないが、普段のお稽古にはない境地。 静かで透明な気持ちになる。 さて、大寄せと言う場で、ちゃんとした茶室で、お客さまの為を考えてお点前をする。…

下足番からひとこと

大寄せの話ですが…下足番からひとこと。 銀とか白とか萌黄色で、鼻緒が同系色の草履、やめて欲しい。…どれがだれのかぜんぜん、区別つかないよ。 無難な線って事なんだろうけど、もっと個性を出していただきたい。下足番としては他の靴などを間に置くなどの…

茶道と香道18 いつものあれ。

最後にいつもの。懐石の手順より: (前略) 飯椀に汁椀末蓋までも重ね盃を上に置箸も克洗ひたる跡を紙にて拭ひて膳の中に落し入此時詰心得て二度斗にて運び盡さるゝ樣に組合す (膳三枚を重ねて碗組二人前を積み二枚の膳に三人前の碗皿を積めば平均程克なる) …

茶道と香道17 一酸化炭素

本書は私が知る、一酸化炭素中毒に対する注意を書いた最も古い茶書。 故人はいはざる事なから爰に尤注意すべき事あり そは他ならす茶室なる物は四疊半より一疊大目に至る迄いつれも小間也 六疊八疊の廣間となればさる事もなかるべけれど冬季此小間に會し爐に…

茶道と香道16 免許の規則

免許の費用について。 免許の規則 前世界の事也今日に非ず茶通箱 銀三枚 今の一圓十七錢五厘 唐物點 銀五枚 今の三圓五十錢 臺天目 銀七枚 今の四圓四十錢 盆點 銀十枚 今の五圓三十錢 亂飾 銀五十枚 今の二十三圓 眞臺子 銀百枚 今の四十六圓 この時期だと1…

茶道と香道15 免許傳授之事2

茶道の傳授程世に馬鹿氣たる事又あらずといはむも決而過言に非ざる也 斯道を業と為人又は他に目的ありて為にする等の外は茶道以上の免許は無益といふべし 今爰にさらけ出して其免許物をいへば、茶通箱 唐物點 臺天目 盆點 亂飾 眞臺子の六にて皆傳也 茶道の…

茶道と香道14 免許傳授之事

著者の免許観。 凡免許傳授なる物は何伎に拘はらず古に於ては斯道を重んずるに發りたれど澆季の世唯之を口實として免許の階段を設け其昇進毎に傳受料を取て活計手段とせし物共基は徳川氏の政略公家堂上方の勢力を殺ぐ為に身分不相應薄録と為したれば皆今日を…

茶道と香道13 菓子

序に菓子の心得をばいはむ 茶には餡の物宜ければ客を招待するには必ず蒸菓子を用意し小盆(銘々盆と稱す形さま/゛\有一閑張くり盆何れも塗盆)に只一ツ(二ツはもらず) 釣樟の楊枝(六寸本式)皮付を上にして添へ出す(出す際楊枝を濡して拭はず) もし不時の押懸…

茶道と香道12 江戸千家

東京に有りて上方には聞こえず東京にては茶の師匠する程の者其流を問へば皆千家々々と答ふれど然らば三千家の孰れぞと追究すれば十中八九迄曖昧也 思ふに不白の末派多きが如し是等を惣じて江戸千家といへり 京都では聞かない名だが(京の道場で修業していない…

茶道と香道11 千家門下之諸流

当時の表千家の側から見た各流派について。 ○藪之内 燕庵藪中齋と號し通稱藪内紹智利休門の高足にして別に一家を為す(後略) 藪内を千家の弟子筋に置くのはどういうものだろうか…といいつつ、現代の藪内家がやたら千利休との関係性だけでアピールしている事を…

茶道と香道10 椅子手前

立礼のはじまりについて。 明治之新天地開けしより世上百般之事悉く舊を廢し新に改むるの流行滔々として茶人社會に迄波及し新規の事に非ざれば其事の善惡に拘はらず顧みる者だになき極端に立至れり是に於て椅子點法なる物おこれり 惟裏千家五代宗室の考案に…

茶道と香道9 三事を先記憶すべき事

三事とは帛捌き、茶筅洗、茶巾扱ひの三ツ也 是は餘り誰もいはぬ事なれど吾實際多くの生徒に茶事を教ふるに初心の人に第一番に之を授けてよく其手順を記憶させおけば逾稽古にかゝる時只帛捌茶筅洗といひたる斗にて直に其事を為て甚都合宜 帛紗捌きと、茶筅通…

茶道と香道8 店

本書には、「当時のお店」に関する記述がある。 神田明神下綿屋長兵衛といへる炭薪商あり 昔より茶の諸流の炭の寸法を克知り居て常に是を切置俵詰として貯蔵せり 故にハガキを以て何流の炭何俵と注文すれば東京中は奈何遠方にても翌日は必ず持參す甚便利也 …