大寄せの正客

座敷での大寄せでは、立礼に比べて正客、というものの扱いが違う気がする。

席主は正客と次客で挨拶を別にするし、客側も正客を強く意識する。

広場やイベントの際の立礼に比べ、座敷の大寄せに行く、というのが若干敷居が高く、その分強く茶会の意識があるせいかもしれない。

座敷と言う場に明確に床があり、点前座の近くに正客席という場があるからかもしれない。野点やイベントホールの立礼席よりも座敷の障子が結界として強力な為かもしれない。

単にそういう習慣だから、というだけかもしれない。

話には聞いていたが、皆が正客に座るのを遠慮しまくるというのも体験できた。んで、運営側はみんながなかなか着席せず弱り果てる、というのものも見た。

席中に男がいると、正客についてとお願いされたりする。あれもなんなのだろう?特に着物来てると激しいお願いがあるらしい。着物の男の客で、正客にされるのが嫌なのか座敷があらかた埋まってから入って来る、という技を使ってた人も居た。あれはあれでこすっからくて嫌だ。

正客の位置で「流派が違いますので粗相もあるかもしれませんが」とか言ってる人もいた。大寄せなんだから流派が違うのは当り前だと思う。遠慮しすぎなんじゃないか?

私は思うのだが、大寄せの正客なんて、所詮お飾り。主茶碗で呑めてラッキーぐらいに思ってむしろ積極的にやるべきではないだろうか?

さて、私は男である。

正客の位置に座るよう、回りのお客さんからお願いされてしまった。やっぱり。

…もちろん遠慮しましたよ。

え、話が違う?いやいや。

さすがに自分の流派の座敷で正客なんてやったら、先生の目が恐ろしい。そればっかりは勘弁な。