お茶にごす。

西森博之

少年漫画には珍しい、というか多分初の茶道漫画。

暴力が暴力を呼び、敵を倒しても次の敵が現れる。これはごく当り前に受け止められている少年漫画の世界観。それに疑問を感じたヤンキー少年が、茶道部に入ることで和敬清寂を目指す物語。
自分をコントロールする事で悪い流れから抜け出たい、という話なので、ちゃんと茶禅一味な話なのである。


とはいっても西森漫画。物事はやっぱり暴力でしか解決しない。うつくしい言葉も、強い説得も、パンチの後でしか相手の心に響かない。というか、暴力は暴力に過ぎず、痛くてムカツクだけでなーんも心に響かないで終る事の方が多い。西森の漫画では殴った方はタタタッピュと逃げるしか現場から円満離脱できないのだ。

でも大丈夫。茶を通じ、禅語を通じ、臨済の教えにたどり着けば、拳で語るのも一座建立になる筈よ。


しかし、この茶道部、なんなんだろう?煎茶道なのか茶道なのか判然としない。顧問の教師はいても茶道を指導する師範が出て来ない。師範出ちゃうと部長とのラブコメ的な触れ合いがなくなっちゃうからだろうか?

今の所茶道部っぽいエピソードは真の礼を「土下座だ!」とか思うエピソードぐらいか。今後の展開が待たれるが、茶道部である、という事はあんまり活かされなくても別にいい気がする。南国ホッケー部とかの先例もあるし。