BSマンガ夜話 へうげもの
カメラがパンすると、セットの真中に三畳の座敷。
逆勝手に切った炉があり、点前座に何故か台子がでーんと置かれている。どうしてTV局の用意する茶道具って現実に使えない様に配置されちゃうのだろう?誰かちょっと調べれば済む事なのに。
まー、そんなスタートにふさわしく批評の中身は印象のみ。
- 絵のデフォルメが面白い
- 擬音が面白い
- 描きたい所だけ描いている熱さがある
絶賛なのだけれど、誰も批評と呼べるほどの事はなし。読者なら誰でも判る所を褒めているだけだ。突っ込み不足な感じ。
- へうげものが提供した新しい人物像に関して。利休、織部、有楽斎に関しては過去のフィクションでどう扱われて来て、へうげものがどうそれを変えたのか?利休が美の求道者で本能寺の変の黒幕である、というフィクションは腐らない程度に存在する。しかしああいう織部/有楽斎像は初出といっていい。
- 史実と虚構と脚色の割合。史実だけではつまらない。虚構だけではのめり込めない。脚色ばかりでは軸が定まらない。うまい配分がこの話を面白くしている。三国志演義に匹敵するバランス感覚だと思う。
- どれだけ調べて描いているか、という事を立証するには、「馬揃えの信長のファッションと信長公記の記載の一致度」を対比すれば済む。
- 描きたい所だけ描いている、の部分を立証するには突然の「義兄殿の葬式」を挙げればいいのに。
等、もうちょい頑張れると思うんだけど。
あと、いしかわじゅんに上から目線で「絵が下手」とか力説されてもなー。なんだかなー。
もっとも、僕らの世代のSFファンは「いしかわじゅんは殺していい」と思っている。つーか、殺した後で「あー気にしないで、ただのいしかわじゅんだから」「あれは殺しても罪にならないらしいね」とか会話すればいいと思っている*1 。
たぶんいしかわじゅんが何を言っても「いしかわじゅんのくせに」って思っちゃうだろうから、あんま意味ない感想かもしんないけど。