侘びしい話
さて、中流階級にお茶はできるのか?というお話です。
実は中流階級にはピンキリがあります。年収2000万の中流階級の方であれば、お茶はできそうな気がします。でも私の手取りは700万くらいです。一億総中流意識、のおかげで中流気分ですが、実体はとてもとても。2007-07-04のオークションの記事でも書きましたが、宗哲の棗が2個で800万。これがお茶の世界です。棗が2個で、私の年収オーバーです。
中流階級の下の方の人にもお茶を習える時代が来た、という事と、中流階級にお茶が出来る、という事は、分けて考えないといけないと思ってます。
ではまず、どーゆーお茶が私にできるか、という所から考えてみます。
私の収入で、適当に遊びながら楽しむ、という生活レベルを保った場合、パソコンとか刀とか、お茶道具などに使える「大物お小遣い」はせいぜい年40万くらいが限度です。
これ以上の金額を出すなら、親への仕送りの増額とか、住宅ローンの繰上返済とか、実はぶっちしちゃっている老後の蓄えとか、そういう事へお金を使うべきです。
他の楽しみを捨てて、倹約してお茶を優先すれば、年100万くらいお茶につぎこめるかもしれません。本気で限界までお茶に投入すれば、300万くらい可能かも。
でも、そこまでお茶に打ち込んだとして、他を捨てた分以上の充分な楽しみがお茶から返って来る保障はいまんとこないですよね。だからできないんです。「何もかも投げうって茶の道に邁進」ってのは格好いいけど、でもまだ無理。いま、私はお茶に片想いしている状態なので、高価すぎるプレゼントを送るのは憚られる気分、とも言えましょうか。
なので、今はまず年40万、お小遣いがある事にしましょう。
で、人前でお茶をやって恥ずかしくない実力が付く、というのにとりあえずあと5年かかる、という事にしましょう。そんな簡単なもんじゃねぇ、という気もしますが、まぁそこはそれ。あんま先が長すぎると、老衰しちゃいますから。
その5年、茶事の準備に掛けたとして200万しか予算がありません。
その途中で、お茶を習う故の必要経費が、50万は掛かると思います。
だから、実際の予算は150万くらいです。
まず言えるのは、この金額で茶室を作るのは無理という事です。
これがまず寂しい。公共の茶室、というのもありますが、好きな時にお茶を楽しみ、いつでも「喫茶去」というのを実現したいじゃないですか?それができなくなります。
じゃぁ茶室はあきらめて、道具をそろえましょう。何を買いましょうか?
軸 | 10万 |
花入 | 2万 |
水指 | 3万 |
釜 | 5万 |
風炉 | 5万 |
茶入 | 5万 |
茶碗 | 2万 |
このくらいの稽古道具でお茶やりゃいいじゃん、早く開始できるし、という考え方もありましょうが、これで客に楽しんで頂けると思う程私は自分の話術や料理に自信は無いし、正直やりたくない。
軸 | 20万 |
花入 | 20万 |
水指 | 20万 |
釜 | 20万 |
風炉 | 20万 |
茶入 | 20万 |
茶碗 | 20万 |
くらいの均等割の考え方もありますが、このお値段でもろくな道具になりません。かなり平凡な道具になります。平凡な道具じゃ普通のお茶会になるじゃないですか?
尊敬もしてない黄梅太玄の軸買って「一期一会」とかでお茶をやるのは私は嫌なんですね。
軸 | 10万 |
花入 | 2万 |
水指 | 3万 |
釜 | 5万 |
風炉 | 5万 |
茶入 | 5万 |
茶碗 | 120万 |
稽古道具中心で余った分で茶碗だけでも良くする。
…取り合わせとして、なんか筋が通らない感じになりそうです。
軸 | いっそ、なしで |
花入 | 自作か見立てで |
水指 | 自作か見立てで |
釜 | 20万 |
風炉 | 10万 |
茶入 | 自作か見立てで |
茶碗 | 120万 |
こうすれば、工夫次第で取り合わせがキマるかもしれません。
さて、ここまでの話、「やっぱお金がないと駄目」と言いたい為にしているわけではありません。「お金がないと、どーしても貧相や平凡に陥りがち。だからこそ工夫で勝負」といいたいです。
最終的に、
軸 | いっそ、なしで |
花入 | 自作か見立てで |
水指 | 自作か見立てで |
釜 | なんと自作で! |
風炉 | これも自作で |
茶入 | 自作か見立てで |
茶碗 | 当然自作で! |
とすれば、予算なんて些細な問題になるわけですから。
私、正直言って工夫に自信はあります。たぶん、そんなには予算掛けずにお茶をはじめるとも思ってます。
でも、私のスットンキョーな工夫で世間的に大丈夫なのか?が私の悩みなのです。だから私は「かっての侘び茶人たちとその客はどうお茶を楽しんでいたのだろう」というのを知りたいのです。
…でも、こんなブログを読みに来て下さっている茶友の皆様方は、苦笑しながらでも受け入れてくれそうな気がしてきました。