茶の湯随想

鈴木宗保/淡交社/1975年。

同一タイトルでいろんな人が書いているが、これは「裏千家茶の湯」の鈴木宗保さんのエッセイ。

鈴木さんの文章はすーーーっと入って来る。
今までいろんな茶人の本を読んで来たがいまんとこ文章の読みやすさではピカイチかもしれない。


この本を読んでいて、一番印象に残るのは「圓能斎の魅力」だ。


夜店で利休の茶杓を掘り出した宗保さん。値切って筒無しで購入。茶杓をポッケに入れて帰ってポッキリ折ってしまった。圓能斎が落ち込む宗保さんを慰める。

あと三円あって筒が買えていたらと言う私の悔を慰めるように、
「鈴木、お金がないことがしみじみ身にしみたなぁ」
といたわって下さった。

金持ちが言うと嫌味ったらしいが、若い頃苦労した圓能斎だからこその言だと思う。


圓能斎が鈴木宗保を、辻留を、厳しくも暖かく鍛えまくる姿。

超格好イイぜ。
正直、圓能斎ファンになってしまった。


あと、家元が点前を好み(創作し)、人にプレゼントする、という風習ははじめて知ったなぁ。

茶の湯随想 (1975年)

茶の湯随想 (1975年)

23区では平和台。