茶道月報

茶道月報。昭和十年五月号。ぶっちゃけ淡交の前身である。

こういう本はその時代の雰囲気を読むのが楽しい。おお、この店この時代からやっていたのか、とか、この時期こんな本出版されてたのか、とか、ふくさバッグってこの頃からあるのか、とか。

そういう視点で歌屋小西大東「邦菓の由来:砂糖の話」がちと面白い。

讀者諸君
近頃、黒砂糖を甘味料にした菓子が菓子通連中にも喜ばれ茶人諸君中にも亦た是れを賞される人があるやうですが、黒砂糖の粗品なるは勿論、また苦味、鹹味など嫌な癖ありて決して賞すべき砂糖でありません。

黒砂糖はこの頃普及しはじめたのか。しかも邪道っぽく。

ちなみに続く文章は:

然るに近時、此の悪癖を却て好む人のあるのはデカタン派の人が林檎の腐敗したのを喜ぶのと同様で褒めた味覺では無いと思ひます。

えれえ言いようである。


カラー写真があるかないかの違いとかは勿論あるが、構成は現在の淡交とほとんど違わない。歌壇、俳壇、茶道問答もある。

後ろにいろいろ会記が載っているのもおんなじ。

ただ、現代の淡交の茶会記がごく事務的に道具組を列挙しているのに対し、茶道月報では高橋箒庵の茶会記風に、どういう趣旨で、どんな事があったかとかいろいろ書いてあって楽しい。

ここばかりは茶道月報の方に軍配を上げたいなぁ。