茶道月報その二
淡交の前身、茶道月報の昭和十一年五月号。
渡邊虹衣 「茶道全集の南坊録誤脱に就て」:
創元社發行「茶道全集」利休篇に収められた南坊録は記者所持の寫本
(中略)
とを對照した際、創元社本には多くの誤謬又は省略された處が多いので、研究者の為左にその相異點の大略を紹介しやうと思ふ
(後略)
なんと「南坊録」のエラッタである。
比較対照すると残念ながら昭和52年の復刻版でも直っていない。
んで、茶道月報の昭和十二年一月号には以下の記事が有る。
高橋梅園「紹鴎茄子」:
之に就て、余が往年箒庵翁の下に大正名器鑑を編纂するにあたり、名物茶器の歴史的記事を擔當したものに、いろいろの粗漏誤脱などのあることを發見し、今更慙愧に堪えない。
紹鴎茄子と呼ばれたものは三つあって、一つは大坂落城で失われた。これの来歴を紹鴎茄子(みおつくし茄子)の来歴とまぎらしてしまった、という告白である。
こちらも平成6年の大正名器実見記でも直っていない。
こういう雑誌に期待される、研究発表の場、という機能は期待通りに果たされている。だが、それが後世に伝わっていない。
一旦なにかを権威化すると、ついついそのまま伝承してしまう、というのは茶道の体質なのかねぇ?