五島美術館 松浦家とオランダ残照

明治の茶人を語る時、旧大名の茶人として欠かせない松浦心月庵。その松浦家に関する展示。


いろんな切口の展示が有るけれど、興味有るのは当然茶人としての側面。


三川内焼尊式花入一対。明らかに大名茶道具。

松浦鎮信の好み物、木目美しい糸目棗。


石州流大名茶の茶人としての格と、侘び茶人としての好み。あんまり整理できそうもないアンビバレンツなものを、さらりと受け止めて呑み込んでいる。

まぁ源氏の血統と海賊大名というアンビバレンツなものだって呑み込んでいるんだから、大した事ではないのかもしんないけど。


鎮信作の一重切は二つ展示。どちらもよくいえばすっきりした作行き。悪く言えば凡庸。
なのに鎮信作の茶杓はすこし変わった作風。

すこし歪んでいたり、虫喰いを活かすために樋の無い部分を使ったり。作ったは良いが石州に修正されちゃった茶杓もあったりして、楽しんで作っているのが伝わって来る。

あと、どれも節の部分が削り込まれている。多分流儀としての実用面、帛紗で拭く時に節がじゃまっけだったからなんじゃないかと思う。


意外にも阿蘭陀物の茶道具は数点しか伝来していないらしい。

考えてみりゃ長崎は天領で専売商人の町だ。近所でオランダ製品が売買されていたからといって、簡単に手に入るわけでもないわな。


貫入麗しい井戸茶碗「九重」。しかしこの茶碗以外は豪華な道具と言うよりは割と「惜しいなー」クラスの微妙な道具達。名物を購入する、というより平戸藩で作らせた物が多い。

鎮信の御趣味は格は格でそれなりに。大名にしちゃ金は掛けない目で楽しんでみるかねー、的なものなのかな?

ま、後世散逸しちゃっただけかもしんないけどな。