雨にもまけず粗茶一服

松村栄子/マガジンハウス/2004。

武家茶道(+弓道+剣道)流派、坂東巴流の嫡男が家出、京都に逃げ込む。

京都の遠い親戚である、大手の町方茶道流派、巴流と絡みながら、巻き起こす様々な騒動。

…と言う風に要約する事ができるのかな?

小笠原清経家やら宗偏流やらいろんな流派を下敷に、良く考えてあるなぁ、という感じ。


若干京ことばに違和感を感じるんだけど、これは読みやすさ優先でわざとやっているんだろうなぁ。

「敬っても」を「うやもーても」とか開いちゃうとわけわからんものなぁ。

向日市の事を向日町、と旧名で呼んじゃうのはなんかリアル。私も未だにむこーまち、と呼んじゃうもの。


ただ、「主人公が様々な経験を通し、大きな決断を行う」と言うような話じゃなくて、「廻りの人が様々な決断を行い、主人公が予定調和に甘んじる」みたいなストーリーなのが気になる。

流され続ける主人公、ってのは青春小説としてスカッとしないんだよね〜。貴種流離譚としてはこれでもいいのかもしれないけど。


あと、京都を舞台にした青春小説に出て来る京都人は、少々異常な人でも大丈夫、という京都マジックリアリズム的コンセンサスでもあるのだろうか?

雨にもまけず粗茶一服〈上〉 (ピュアフル文庫)

雨にもまけず粗茶一服〈上〉 (ピュアフル文庫)

雨にもまけず粗茶一服〈下〉 (ピュアフル文庫)

雨にもまけず粗茶一服〈下〉 (ピュアフル文庫)