点前の意味

「なんでお点前って厳密に動きが決まっているの?あんなめんどっちい事しなくてもお茶くらい点つんじゃないの?」


よく聞く質問だし、いろんな茶人が回答しているけれど、私自身が、自分で答えを書いた事が無い、という事に気付いた。なので私なりにまとめてみる。


ただお茶を点てるだけなら、お点前は必要無い。


お点前には意外に無駄な動きと言うのはないのだけれど、それはお点前という体系の内に閉じた話であって、お茶を点てる為にお点前自体が必要か、という点に関しては、また別の話、なんだよね。


では、なんの為にお点前はあるのか?


良いお点前をする為である。といいたい。



んで、お点前に善し悪しを付け為には、もったいぶった手順が必要なのだ。


点て出し持ち込みではお点前を評価しようが無い。

水屋から十分温めて抹茶を入れた茶碗を持ち込み、お客様の前で蛇口からお湯を注ぎ、かき混ぜる、みたいな超簡略点前でも、評価するとっかかりがないだろう。

長々と体系化された動きをするから、良いとか悪いとか言えるのだ。


昔読んだ本に坊さんがこんな事を書いていた。

「信じる者は救われる、というが、信じない者が救われないという事ではない。信じるからはじめて救われたり救われなかったりするのであって、信じない者には天国も地獄もない」

これと一緒。

お点前をしなければ良いお点前も悪いお点前もない。お点前をするから良いお点前や悪いお点前が発生するのだ。