日本茶道論

田中喜三郎著/十字屋書店/1940年。

昭和15年に出版された茶の湯を憂う本。というかポエム?

ではどういうポエムか。

眞實の茶道に於て、
汝自らの心根を、
汝自らの心法を、
靜觀せよ!

これは一番短いポエム。

(当時の)現代茶道を批判するポエムがなんと466ページもぎっしり。それだけでも読んでいて疲れるのだが、更に文章がくどいので疲労は倍増する。

茶道に於て茶道の垢に捉はるゝこと禁物なり。
常に常に絶えず絶えず、茶道に垢の付着せざるやう心掛くべきなり。
いささかの油斷生じなば忽ちにして汚なき醜惡なる垢の茶道へ生ずるなり。

茶道の垢限りなし。

茶道に於ける虚榮の垢。
茶道に於ける骨董の垢。
茶道に於ける嫉妬の垢。

(似た様な42行3ページ分!略)

茶道に於ける無駄の垢。
茶道に於ける高慢の垢。

茶道を行ずるに於て、常に常に絶えず絶えず、茶道に生ずる汚き醜惡なる垢を洗ひ落すべきなり。

「諸君私は戦争が好きだ」のガイドラインみたいだ。


同じ茶道を憂うのでも、高橋箒庵が書けばアジ演説になる。ま、箒庵は福翁にそういう風に仕込まれた人なので、何書いてもアジ演説になってしまうんだけれども。

それに対し、田中喜三郎の憂いは、提案もなんもないポエム。っていうか寝言?
466ページにも及ぶ答えの無い問題提起の羅列を読んでいると、どやしつけたくなる。

「そこまで憂うなら、お前がなんとかしろ!」

ってね。

しかし、考えてみると、自分がブログで書いている事だって似たようなもの。あんま寝言になりすぎない様自戒せんとなー。


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