じぶんなり中棗製作記4 下地調整

本当なら。

シリコン型の内側できれいなに下地が出来、パカっと型を外すと、つるんとした下地が待っていて、「あとは上塗りだけ〜」になるはずだった。

…しかし、そーはうまくはいかなんだ。麦漆で貼った麻布に浮きが有り、そこが崩れてへこんでしまったのだ。


しかたがないから補修からスタート。


へこんだ部分は、大きい場合は麦漆+麻布。小さい場合は錆び漆で埋める。


錆び漆の下地は凸凹しているので。生漆を塗って浸透させ、凸凹を研ぐ、という工程を繰り返してつるつるの器面を構築する。

かなーり根気のいる作業だ。


研ぐ、というのは、器面にできた凸凹を削ってきれいな面を作る事である。
それには耐水サンドペーパーを使う。

耐水サンドペーパーを水で濡らす。これでごしごしとでこぼこを削るのである。水研ぎという。

この水研ぎの時、たっぷりの水を使ってごしごしと削る。当然しぶきが飛ぶ。

この飛沫が肌に飛んでしまうのが漆かぶれの一大原因である。…かといって水を使わず空研ぎしたら微粉末が飛んで、これはこれでもっと目も当てられない事になる。


漆の飛沫を浴びたら、作業終了後にその場所に食用油でも擦り込んでやれば、漆の反応を殺せる。…私はずいぶんオリーブオイル臭い人になってしまった。


なお、底などの平面は、ガラス板の上に耐水ペーパーを置き、その上で器物を大根でもおろす様に研ぐと、いい平面ができる。


錆び漆に生漆を塗るのは何故か。

錆び漆って奴は水研ぎで削れすぎ/とろけてしまう。盛って→研いだら→もとの黙阿弥ってな展開になりがち。

錆び漆を盛った後、生漆を浸透させないと、とろけてしまうのだ。


ただ浸透させるだけでなく、何層か生漆を塗って十分な強度をつけてから研いだ方が、いい結果を呼ぶみたい。


あと、時々は密封した高湿の風呂の外で器物を「普通の意味で」乾燥させた方がいいと思う。

水で練った錆び漆を水じゃぶじゃぶ掛けながら水研ぎして整形しているので、全体に水分を含みすぎている。このまま仕上げまで進むと、完成後に水分が抜けてヒケができてしまうからだ。