じぶんなり中棗製作記5 中塗り〜仕上げ

中塗りは、本来中塗り用の黒漆を塗って、下地の上になめらかな黒い漆の層を形成するのが目標である。実は錆び漆の下地は上に塗る漆をまばらに吸っちゃうのです。なのでまずコーティング。

私は多種の漆を使い分けるのが面倒なので黒呂色漆で代用しています。


んで、上塗りは、黒呂色漆を塗って、仕上げに足る美しい平面を作るのがお仕事。

どちらも塗って→風呂で乾かして→サンドペーパーで平滑にするの繰り返しで、塗る漆もおんなじなんであまり差が無い。だんだんサンドペーパーの目が細かくなっていく程度の差だ。


ただ、最終的な上塗りは、サンドペーパーで平滑面を作る時に、最後の一回分の塗膜を研ぎ破らない様にできるだけ厚い塗膜を作りたい。研ぎ破ると上下の層の境界にモアレ縞模様みたいなのができてしまう。


…ところが、分厚い層を作る、というのが大変に難しいのだ。


厚く塗ると、空気に触れている表面が内部より先に乾くため、収縮差でチヂミという皺ができてしまうのだ。

そうなると削り落して塗り直し、しか無くなり、塗装の無限ループとなってしまう。


漆にテレピン油を混ぜて硬化を遅くすれば収縮差が小さくなり、チヂミが出来にくい。しかし塗料が緩くなる分、垂れて局所的に溜って固まり、チヂミになってしまう、という別の問題が発生する。


できるだけ均一な塗料の面が欲しいのだ。

こういう場合、定期的に向きを置き換えて一箇所に漆が溜らない様にするとよい。

これが私の作った回転装置。バルサ材削り出しの治具で棗の身を固定し、タミヤのギヤーボックスでぐるぐる廻す。

重力による塗料の偏りを極力防ぐ、という装置である。これで少しはマシになった。


プロも似たようなものを使っている。が、私の作ったのはスペースの都合もあり、回転軸方向いまいちだったりする。私の作った物は円周方向一番太い部分に漆が偏りやすい欠点が残っているのだ。


で、満足行く塗膜を研ぎ出したら、あとはコンパウンドでさらに磨く。

タミヤコンパウンドは目が細かくて良いのだが、界面活性剤入ってそうなので磨いた後中性洗剤で良く洗う必要が有る。


で、かなりつやつやの面に、黒呂色漆を擦り込んでは拭き取る、というのを繰り返すとさらに艶がでる。
えー、せっかく塗ったのに完全に拭き取っちゃうの?ぐらい拭き取るのが良い。
拭き残しはムラになるだけだ。

5〜6回くらい擦り漆を行い、軽くコンパウンドで磨けばできあがり、である。