茶人徒然草2

茶人徒然草。馬鹿っぽい前半に較べ、なぜか後半、芸道の優れた教科書となる。

徒然草のパロディ形式を踏襲しながら、なんか、読んでてタメになる感じの記述がふえていくのだ。

いやしげなる道具は菜籠に炭の多き、三重棚に道具の多き、二客三客の詞の多き、文の懸物に茶の事多き。多くて見ぐるしからぬは水指の水、焙烙の灰。

この頃は炭斗への炭の組み方は自由だったのだろうか?

尊き茶人の云置ける事一言法談と名付て書付け侍る。
一 買ふか買ふまひかと思ふ道具は大方買ぬがよし。
一 茶の湯を思はん人甚兵衛やきにても持まじき候。
(後略)

まーこの辺まではパロディの為のパロディという気もしなくもないが。

上客になるは目利者は不目利になり、 辯舌者は不辯に成り、學ある人は不學に成るべし。

言いたい事は良く判る。

規矩手前ばかり覺えたる愚人は夫を樂と覺えて變くわの理をしらず。

法師の身にもあらず、上ミ京下モ京に茶を好むひと多かり。百會亭主して百度客をせずんば、茶人の部へは入がたし。其故は變に乗じて茶の湯を出す事、手前ばかりにては成がたし。茶の湯を心安くして始て名をあらはすべき。なしいけらん程は茶に誇るべからず。我流にあらずんば、非を以て益なき事なり。

茶の友とする人に面白からぬもの七ツ有。一ツには高き道具のはなしばかりする人、二ツには脇竈ものつかふ人、三ツには何も知らぬ氣強き人、四ツには變好む人、五ツにはせんしゃうなる道具屋、六ツには吝き人、七ツには自慢する人。

総合すると、教えられた通りにやるだけの人は駄目で、TPOに応じて変化を付けれるようでなくてはいけない。でも、変を好んではいけない、という事か。難しいじゃんかよ。


なんか馬鹿っぽい気もするが、かなりの含蓄があり、読む価値があると思う。


近世文芸叢書 第7巻にも収録。
23区では深川/下丸子/大田の図書館。