飯からか汁からか

懐石で、最初に箸をつけるのは飯からか汁からか、という事に関し、佐々木三味「お茶事」に以下の記述があった。

なお、初めの飯と汁とを、どちらを先に食べるかについては、それぞれ議論があり、流儀によっても相違している。
現に『風興集*1』でも昭和十一年の初版では「まず飯を一口いただきまして、つぎに汁を吸う」とあるが、昭和三十五年の改訂版では「汁を一口いただきまして、つぎに飯をいただく」と反対になっている。
改訂版で改正されたのであろう。なお元伯宗旦の『宗旦伝授』には「まず飯を取揚げ、少しづづ二箸ばかりすくい喰べて、さて汁の椀取上げ汁を吸い」と教えてある。

つまりひとつの流派の中も時代によって変遷する事があるってことだわいな。


ちなみに佐々木さんの御意見は以下の通り:

ところで実際には汁を一口吸った方が飯の咽喉通りがよいし、ことに老人などにはしかりである。
これらはあまり固く言わないでもよいことで、客の好みにまかしてよいと思う。

私の考えでは、わざわざ蒸らすのさえ惜しんで炊きたてを出した飯なんだから、そっちを先に食うのが亭主の心入れに対する礼儀な気がする。

お茶事

お茶事

*1:フーコー集、とか書くとなんか違う