雅俗三昧2

"東西美術工藝談"で、逸翁は欧米の美術館を巡った思い出について書いている。

結局、日本の美術工藝の優秀なるものは、西洋には餘り行つて居らない。
日本に居る時には、日本の美術品の立派なものは、いつか知らぬ間に西洋人に持つて行かれたと聞かされて悲觀して居りましたが、行つて見ると、ボストンとワシントン、この他に獨逸にはいヽものもありますけれど、さう心配する程は行つて居らないので安心致しました。

熊倉史観では、明治になって大量の美術品流出が起き、それに対抗する財界人達の保護策が茶道を新興させたのだ、という事になっている。

だが、外国の美術館にある日本美術コーナーは小さく、また、輸出向け商品(つまりオミヤゲ)がかざってある事が多かったそうである。特に陶器は。

では、日本美術が流出しなかったワケは何か?


…ゴミみたいに汚らしい品なのに、妙に高価だったから、だそうである。


こりゃー一言もないや。お茶の美はお茶の美と言う文脈の中でしか評価できないもんなぁ。