男子の茶の湯ことはじめ

堀内議司男/原書房/2004年。

壷中庵さんの書く自叙伝…なのかな?若干エッセイと自叙伝がゴチャマゼで中途半端な感はあるが、そこそこイケる。

この人の自己紹介は

昭和63年より遠州茶道宗家12世小堀宗慶宗匠のもと秘書を務め、茶道の修行をする。平成10年に壷中庵、宗長の茶名をいただいて独立。

とか書いてあるが、この本を読むと、秘書、というのが内弟子である事が判る。

今の御時勢に秘書的な仕事もしてくれる内弟子を探すのも難しいし、内弟子に給料出すのも憚られるから秘書、という事になったんではなかろうかと推測。

本書の面白い部分は、小堀家の生活が垣間見える所だ。

遠州流の家元の道場には、何十年も稽古に通っている師範もいれば、その傍らで昨日入ったばかりの若い人が袱紗捌きの稽古をしていたりもします。

家元での一日も朝の一服から始まります。
(中略)
茶道の家元のところですから、お茶は当然抹茶です。
(中略)
抹茶と聞くと、茶室の中でお湯が沸く松風の音を聞きながら、というイメージなのではないかと思いますが、茶の間での抹茶はもっと手軽です。袱紗さばきもなく、お点前というほど仰々しいものはありません。

意外にフランク。

独立する時に貰う号が壷中庵、素敵にオモロイ絶縁状みたい。


この本の残念な部分は、独立しますと宣言し、壷中庵の号を貰うまでのその意図と経緯とがあまりちゃんと書いてない事。


家元との緩やかな対立。家元が上にいる/流派を背負うという閉塞感。

家元へ相談する。独立を勧められる。壷中庵の号を貰う。

壷の中の世界はお前の好きにしていい。だがその壷はワシの与えたもんだからな、というネストした構造。


なんかそういう物語が読みたかったぜ。

家元のもとで仕事を続けるなかで、私は思い悩むようになりました。今の自分にできることはないのかと。
ならば外に出ればいいのではないか。そして導き役になろう。それが私の結論で、独立の大きな動機でした。

このくらいしか書いてくれていない。とってもおもろ楽しい話になると思うんだけどなー。
…でもま、書けねーか。


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男子の茶の湯ことはじめ―サラリーマンが茶人になりました

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