曲尺割
南方録(だけ)の提唱する謎テク「曲尺割」。
私の理解では、道具の置き合わせのテクニックである。
多くの流派では、道具の配置位置を「畳の縁から数えて何目」という形式でカウントしていると思う。
この方式の欠点は、畳の大きさや、畳一目の大きさが不定の為、毎度毎度は同じ位置に配置できないことである。
曲尺割は、それを解決する。
- 畳に仮想的な線を5本引き、畳を6分割する。
- さらに、6分割のそれぞれの中央に線を1本ずつ引く。
- この計11本の仮想の線上に道具を陰陽の理論にしたがって置く。
ま、ここまではいいんだけど、峯摺というテクニックの存在がやっかい。
物を置くべき線からちょいとずらして配置する、というテクニック。
…これ、せっかくきっちりした仮想のラインを引いたのに、そこからずらしていい、というルールを追加したんじゃ意味無い気がするんだよね。
あと、曲尺割は道具のアドレスを道具の中心でみる考え方なんだよね。
例えば水指を置く場合。
「畳の縁から数えて何目」の方法で水指を置くと、水指の大きさに係わらず常に一定の点前座の空間を確保できる。
しかし、曲尺割だと道具が大きければ点前座が狭くなり、道具が小さいと点前座が広くなりすぎる問題が出る。
結局、ややこしい割にすっきりとは割り切れず、しかも実用的な面で問題がある。
だから南方録は実用茶書の扱いを受けないんではなかろうか。