掛軸の横物

茶道具としての掛軸は縦に一行、禅語かなんかが書いてあるいわゆる「一行物」が主流だ。

それに対し、横向きに字が書いてある掛軸は横物という。
おそらく一番有名な横物といえば「懈怠比丘不期明日」ではなかろうか。


横物は“侘び”というよりも“堂々たる”という印象の強い掛軸。

横幅の広い横物は、そもそも床も立派でないと掛ける事ができない。
堂々たる人が堂々たる茶室を建ててその床に堂々と飾る他ない代物だと思う。

…一畳台目の今日庵の壁床に横物を掛けるのはどうだろう?とか疑問もある。


ところで横物。堂々たる楷書が多いのだが、崩し字のものも見掛ける。

でも横書きの崩し字って意味が判らない。


崩し字って一つ一つの文字を右上から書いて左下へ抜ける様に書くわけじゃない?

横書きの時って崩して書いても字が連続しない。

しかも昔は右から書いていた。例えば「懈怠比丘不期明日」ならば実際には「日明期不丘比怠懈」になる。

字は右上から書いて左下に抜ける。
しかし文は右から左へ移動する*1
すると筆は今書いた字の右下から、書いた字の上を通り次の字の左上位置に行く。

…崩し字の横物かなり無理が有る、と思う。

*1:逆に書いてた。訂正しました