書画骨董偽物がたり

佐々木三味/河原書店/初版は1937年。多分、骨董にせもの雑学ノートと同じ本。

この本は偽物の鑑定の仕方の本ではない。どういう手口で偽物が広まるかを書いた本である。

箱を変え、経緯を偽造し、破損した真物を継ぎ剥ぎし、広まる偽物達。

偽物に限らず、インチキっぽい商売もいろいろ載っている。

例えば悪い道具商がお寺に道具を置き、壇家が買って○○寺所蔵、なんて箔を付ける話も有る。でも○○寺蔵、だったのは3日間とか。

曩時、某家の入札に仁清作の香爐があつた。何でも二萬圓餘りも出して買つた香爐であるから目録にも原色版で堂々と掲載されてある。
さて開札するとなんと最高金一千圓也とあつて、みす/\二萬何千圓かの損失となるので親引きとなつた
(中略)
何しろ札元は一流の古美術商、それに二日間の下見で有數無數の商人がグツト睨んだ品物だ、その香爐が眞物か否かの見分けのつかぬ筈はよもあるまい。
これはクサイ(贋物の符牒)と折紙のついた香爐など、どう踏んでも五十圓か高々百五十圓迄の値打ちである。それを一金一千圓と思ひ切って札が入れてある處に曰く魂膽があるといふ譯だ。

判ります!
入札で安くなったら偽物認定なので、ぎりぎりの低価格で落札し、目の効かない人にそこそこ高く転売する気っすね!

…なんて手口がいっぱい載っている本。
役に立つのか?というと、もちろん微妙。

あと:

處で昔から「宗旦の手紙は讀めたら贋物だ」といふ程で、

確かに宗旦の消息は読めねっす。


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