現代語訳南方録

熊倉功夫/中央公論新社/2009年。

既に「南方録を読む」を出版した熊倉さんがなんでこの本を出したかと言うと:

まだ研究は途中ですが、ひとまず私なりの現代語訳をまとめることにいたしました。

だそうです。

では「南方録を読む」とどのくらい違うか。

  1. 覚書は同じ。
  2. 會は34会→56会に増加
  3. 棚は6項目→69項目に大幅増
  4. 書院は11項目→36項目に大幅増
  5. 台子は7項目→72項目に大幅増
  6. 墨引は14項目→58項目に大幅増
  7. 滅後は42項目→86項目に大幅増

結構違うな。さすがに。

今回内容的にいっちゃん違うのはこの部分かも:

なお、文中に「ス」という文字がある。字形からみると、最も近いのは片かなの「ス」であるが、「又」の誤写とか、「以上」の草書体とみることもできる。
置かれている位置は、道具置合せの記述のあと、運び出しの点前がはじまる前がほとんどなので、まず客が入室したときに見える道具を列挙して「以上」とした後、亭主が入室する。
この意味では「以上」の略字とみるのがよいだろう。前著「南方録を読む」では炭の意味で「ス」ではないかと考えたが、ここに訂正したい。


ちなみに「南方録を読む」ではこう書いていた。

会記中に「ス」という文字が登場するが、意味は不明。炭手前の意味かもしれない、と解釈してみた。

「南方録を読む」は勿論間違い。一つの会記に二個「ス」がある場合がある。懐石の前と後座の道具組の後の、炭手前2回もするわけがない。


んで私の意見。
「ス」のある位置は、置合せの道具と運ぶ道具の間にあるんだけど、おそらくこれは「水屋へ戻る」ぐらいの意味だと思うんだよね。
「現代語訳南方録」の解釈も若干足りない気がする。

現代語訳 南方録

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