茶のみち

西堀一三/晃文社/1946年。

茶書の解説、そして茶史に関する本。

珠光「お尋ねの事」について:

又珠光との關係について云へば、珠光は最初能阿弥の花の弟子であつたらしい。

香道の方の流派から云ふと、珠光は志野宗信の門下であり、宗祇牡丹花肖伯などとは同門の關係にあつた。

これらの話の根拠原典はなんだろう?とか頭上に疑問符が浮かぶ。でも西堀博士は教えてくれない。研究書の体裁ではないからね。


西堀一三博士は、茶道に於ける、博覧強記、碩学。そういった人の、おそらく最後の存在なのではなかろうか。

そう、こういった物知りは、原典をいろいろ取り揃えて読むのが難しい情報流通の乏しい時代にはその情報収集の熱意と能力で他を圧する事ができるが、探せば概ねほとんどの茶書を読む事ができる今、こういった人の存在は検証され批判されるばかりで、ありがたがる人は少なかろう。

そういう意味で、茶道古典全集が出版された事が彼の様な存在を生かしてはおかなかった、というのは否めないのではないか。