女性と茶の湯

篭谷真智子/淡交社/1985年。

歴史に残る女性茶人に関して書いた本。なんだけど、お茶飲んだ事あるとか、それっぽい道具寄進したというだけで茶人扱いするのはどうだろうか?いくらなんでも日野富子とか蓮如の孫とかを茶人扱いするのは厳しいと思う。

私は亭主としてお茶を点てた、という事が同時代史料で確認できないと、歴史上の茶人とは認めらん無いな、と思っている。

宗恩にしても、大津袋とか袱紗とか、いろいろ後世のエピソードはあるのだけれど、本当に茶人か?と言われると同時代史料にはなーんもないのだな、とか逆の意味で確認してしまった。

宗恩=松永久秀の妻説は紀州徳川家伝来、了々斎作成の「千家系譜」が初出らしい、というのが判ったのは収穫か。

宗旦と交流のあった東福門院も、自ら茶を点てた、という証拠はなさそうだ。女官に点て出しさせるやんごとなき方、かもしれないからねぇ。

吉野太夫は明確に茶を点てているが、それって仕事の一部だしなぁ。

野村望東尼に至っては

「茶、しやうきせんすこしばかり、時々よき茶なりとものせば(後略)

上喜撰なんだから、単なる煎茶好きの話である。作者は少々勉強不足なのではなかろうか?

ちょっと強引なこの本の人選。結局、この本が立証したのは江戸時代以前には女性の茶人はいなかった、という事になってしまうのではないか。

女性と茶の湯 (茶道文化選書)

女性と茶の湯 (茶道文化選書)

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