茶碗と私

小森松庵、田山方南、黒田陶々庵/光芸出版/1968年。

日本各地の様々なマニアに、自分の茶碗を語らせた本。

名品名物だけでなく、掘り出し物の正体不明の茶碗や、自身の手捏茶碗の人もいて、いろいろ楽しい。

川上閑雪は不白手造赤茶碗。千宗室アメリカ製天目釉平茶碗を出品。いかにも「らしい」セレクト。

白州正子は三つ持ってた唐津茶碗について。

その唐津も、三つとも筒茶碗であった。一つは青山二郎さんが持っていたもので、
(中略)
もう一つは小林秀雄さんから譲られたもので、
(中略)
三番目は、壷中居の広田煕さんが愛蔵しており、いくらねだっても売ってくれない。ある時、旅行へ出た留守に、奥さんに電話を掛け「あれは私にゆずって下さるそうですから」
と嘘をつくと
(後略)

な、なんて奴。…青山二郎愛蔵品も、多分勝手に持ち出しちゃた奴だろうしな。
困ったオバハンである。


あと、最後には監修3名の対談もあるが「利休って業が深いよね」「織部も業が深いよね」で要約できるかな。