「寸松庵色紙」の筆者

北畑観瀾/角川書店/1991年。

作者は言う。様々な古筆が伝わっているが、ほとんどは「伝…」である、と。本書は「寸松庵色紙」の筆者を解き明かす、というチャレンジャーな本である。

まずはいきなり漢字の歴史である。

文字の発見

ええっそこまで遡りますか。「寸松庵色紙」の旅は甲骨文字から始まります。

ついで槍玉に上がるのは蘭亭序。

まず彼の生年が三〇三年とも三〇六年とも言われるが、いずれにしても当時はまだ楷書の概念に相当するような書体がない時代に、行書の表現技術の頂点を示すような『蘭亭序』を王義之が書いたか否か、私はこの重大な疑問について、長年書に携わってきた者として常に心中のどこかに疑心暗鬼の思いを拭えなかった。

著者は郭沫若の蘭亭序偽作説を支持する方らしい。

そして、次は:

日本への漢字移入

…すごいな。万葉仮名の話からか。

さらに:

古代の紙

ここまできっちり順に追われると、なんかこー、謎解きとしてワクワクするね!

そして:

第六章 『寸松庵色紙』の筆者は藤原佐理

あれ?いきなり決めつけですか?

紀貫之の寸松庵色紙の筆者を藤原佐理と同定した理由は結局「字体が似てる」だけなんだよね。でも素人の目からみて別人の書にしか見えんのだけど…

つーか、今まで延々書いて来た書体や紙の話、全然関係ないやん。ぽかーん。

『寸松庵色紙』の筆者

『寸松庵色紙』の筆者

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