松屋会記について
この2日間、松屋会記をベースに、床飾りに関して考証してきた。
松屋会記は、長期に渡るデータが有り、記述レベルも安定していて、比較的信頼できる。だから、こういう考証のベースにしやすい。
だが、留意しなければならない事もある。
松屋さんは、奈良の豪商であり、最上級の道具持ちである。
そして奈良のハイソのお茶は、すっごい豪華系のお茶なのだ。誰がいつ来てももてなせるように年中鶴の吸い物の準備を切らさない、そんな事をするお土地柄である。
松屋会記に表れるのは、そんな松屋さんの交遊関係においての会のありようである。
比較的信頼できるもう一つの会記である天王寺屋会記も同じ問題を抱えている。
お茶には派手な世界と地味ーな世界があって、前者の資料ばかり残っている。
だからもしかすると、しもじもの侘び茶人達の活躍は、彼の目には写っていなかったかもしれない。松屋会記が教えてくれるのは、ある社会階層に属している茶のありようだけかもしれないのだ。